ぼんやり、ひとやすみ。

虫明元さんは、こう言います。
「求められる知識が指数関数的に増加しているが、学校や社会における学びはその速度に追いつかない。我々の知識は細分化・専門化が進み、その知識は認知スキルとよばれ、教育の一番の目標になっている。時代に適応した生き方を考えなければいけない。

虫明元さんは、3つの共感性を挙げます。

(1)感覚運動的共感性(ミラーリング、動作や表情の模倣)

(2)情動的共感性(具体的な他者の情動表現を見ただけで、よろこびや悲しみなど様々な情動に共感するしくみ)

(3)認知的共感性(他者(のそれぞれ個人)がどう考えているか(信念という)を理解する共感性

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相手の星になる

上田閑照『生きるということ』の一節より。

きれいな空のある晩、星を見るともなく眺めていると、たまたまあるひとつの星になんとなく集中していた。その時に、ふと奇妙なことを思いついた。あの星に誰かがいてもしこちらをみていたとしたら、私にあの星が見えているように、向こうの誰かにもこちらがみえているのかなと思ったのだ。

そうすると、またかわって、私があの星にいるような感じがした。私があの星にいてこちらの地球を見ていて、こちらの地球があの星のように見えている。いや、いまあの星が見えているそのままが、あの星にいる私に地球が見えていることだ、という感じ。

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静かに待つ。共にある。

なだらかな山野辺の道。春のトレイルは爽快だ。
道の端でひと休みする私のすぐ近く、目の前の花に、一羽の蝶がひらりと舞い降りた。
ゆっくりと羽合わせとしている。そよ風がふいて、なんとも気分よさそうに、坐っている。

共感素『ゐ』。
『ゐ』ー 共にいる。静かに、坐って、待つこと。

この雰囲気、この光景。私は、佐々木昆(こん)先生のことを思いだした。みずからを昆と呼んで、虫や花、「小さないのち」を探求した。

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ふるまいで変われるじぶん

ある学生さんと、こんな雑談をしました。

りっこう:好き嫌いある? 嫌いな食べ物とか。
学生:えーと、〇〇がきらいですねー。
り:ほう、〇〇が。
学:XXだから。苦手です。
り:なるほど。でも、知らないうちに変わるかも。
学:うーん、どうですかね。
り:これまで、XXっていう重みづけがされてきたんだ。
学:重みづけですか?
り:そう。重みをつける。脳でね。無意識的に。
学:そうなんですか。
り:無意識のじぶんが「好き嫌い」に映っている。
学:自分がしていることなんですよね?
り:重みづけが変わればね、別に嫌いでもなかったんだとか、好き・嫌いの話でなかった、とか思うかもしれないよ。

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心の世界は五感を結いあわす

古池や 蛙飛こむ 水のおと

『松尾芭蕉・奥の細道』について、長谷川櫂さんは、このように説きます。

  

「ふつうこの句は、古池に蛙が飛びこんで水の音がしたと解釈されるが、本当はそういう意味の句ではない。「古池や」「蛙飛こむ水のおと」の順番にできたのではなく、最初に「蛙飛こむ水のおと」ができて、あとから「古池や」をかぶせた。このうち最初にできた「蛙飛こむ水のおと」は、じっさいに聞こえた現実の音を言葉で写しとったもの。

一方、「古池」は現実の古池ではない。なぜなら、蛙が水に飛びこむ音を聞いただけで、蛙が水に飛びこむところは見ていないから。芭蕉は、蛙が飛び込む音を聞いて古池を思いうかべた。「古池」は「蛙飛こむ水のおと」が芭蕉の心に呼び起こした幻影。」

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タコの身になる

タコの生態なんかで、人間の心がわかるんですか?共感?下等な動物の共感的な情動はあるだろうね。

つい、そういう「常識目線」で考えていますよね。

ピーター・ゴドフリー=スミスさんは、海の底に潜る哲学者。生物学、心理学など幅広い研究をするダイバーです。深海でタコとふれあい、共にじっくりと時を過ごしながら「心」について考えます。『Other Minds (ほかの心)』では、驚くような事実が紹介されます。

スミスさんは、こう言います。
「タコは、相手(人間のこと)を実によく知っている。気に入らないと、嫌がらせをしたり、いたずらしたりする。しかも、人間の反応を「楽しんでいる」かのような行動をとる。

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想像を声にする

『旅の絵本』は、自分が旅人になって、旅をする絵本です。

ひとつの文字もありません。
旅の風景の中にはいって、たのしむ絵本です。

本全体がひとつの旅、見ひらきのページが、旅の情景です。いろんな物語のひとこまが、あちらこちらに、ちりばめられています。

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養生をまなぶ一歩

貝原益軒は、『養生訓ようじょうくん』で、こう説きました。
養生とは。庭に草木を植えて愛する人は、朝晩心にかけて、水をやったり、土をかぶせたり、肥料をかけたり、虫をとったりして、よく養い、その成長を喜び、しおれるの悲しむ。どうして自分のからだを草木ほどにも愛さないでいいことか。若い時からはやく養生の術を学ぶことである。身を慎み、生命を大事にするのは、人間最大の義務である。

人間にはいろいろなわざがある。わざをみがく道を術という。そのすべてのわざには、習熟すべき術がある。その術を知らないとそのことができない。そのうち至って小さい芸能も皆その術を学ばないで、そのわざを習わないと、そのことができない。たとえば、みのを作ったり、かさをはったりするのは、たやすいわざであるが、その術を習わないと作れない。

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雲になる

雲の気分。
トレイルとは、山辺や丘陵地帯の細い小道をたどって自由に歩くことだ。空と雲、木々のざわめき、路傍の花や虫と共に、五感に印をつけながら歩くことだ。いま、雲になっていることだ。

トレイルは右に曲がり、左に折れ、前も後ろもないが、すべての道はつながっている。ざらついた土の上を歩くと、自分の足音が湧き上がってくる。

風に漂う花々の香りに誘われて、こんな気になる。

もともとのじぶんは、空っぽ。そのまわりは、目の前の草木山河。光があり、音があり、香りがある。この空気が、じぶんだ。

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ひとりになるから、わかる

ひとりになりたい。ひとりはさみしい。

あいだみつをさんのことばから。
「子どもも大きくなるにつれて、ひとりになって気持ちを安めたり、思索をしたりする時間や空間が必要であろう。くつろぐこと以外にも、希望、反省、計画、さまざまなことに思いをめぐらしながら、ひとり静かに自分と対話する時が欲しい。子どもでなくたって誰でもひとりになりたい時がある。

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無意識はじぶんの土台

「意識」って何ですか?何かと言われても説明に困りますね。脳科学の話に興味はあっても、だんだん話が複雑になってきて、よくわからなくなります。起きて活動している時は「意識があります」というぐらいの認識です。はて?無意識の反対が意識?

ほとんどは「無意識」なんですよ、私の日常は。
いいえ、無意識は「意識がない」ことではありません。意識も無意識も、環境と相互に作用しあう身体の働きであり、そのあらわれです。刻々と変化する状態の全部をあわせて「心」と呼んでいます。脳の中に「意識」とか「無意識」とか「私」という何か、実体が入っているのではありません。

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心は不思議

世界は不思議で満たされている。

井上円了は生涯をかけて、宇宙と心の「不思議」を探求し、その哲学を日本の隅々まで伝道した人です。全国津々浦々、5400回、人々に語りました。哲学は、本を読むだけのものではなく、実践し活動するもの。生きる対象であるー。

円了先生との語らいを再現してみます。

先生、「不思議」ときくと、気分がいいです。世の中も自分の生活も、わからなくてはいけないものだらけなので。

宇宙の霊妙 不可思議なることが分かりてわかればわかるほど、不思議。

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推測するじぶん

「私たちは、ふだん気づいていない潜在能力である「適応的無意識」(*注)上で行動し。生活している。」
ティモシー・ウィルソンさんの『自分を知り、自分を変える』の原題は、Stranger to Ourselves。「私たちは自分という土地に不慣れな人」という意味です。

「人間の心の働きで、意識はとても小さな部分。言ってみれば、私たちはじぶん自身に対する他者。高度に洗練された無意識と、意識が互いによりそって、世界を解釈しながら生きている。」
「周囲の世界が私たちに直接影響するのではなく、その世界をどう受け入れ、意味を感じ取っているかの解釈が影響する。それは無意識的に形成される。」

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色つぶに見立てた、小さな時空。

「メタファー」をご存知ですか。
作文を書くときの「比喩」表現のこと?いえいえ、メタファーは表現の工夫だけではなく、物事を知ろうとすることです。

見えないものを、見ようとすること。ふれられないものに、触れようとすること。直接感じられないものを、間接的に感じられるようにするための方法です。

何かに見立てたり、たとえたりして、見えるものに置き換えることです。知っていることを素材にして、そこから想像することです。

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目的は希いの中にある

人は何のために生きるのか?

どこから、どう考えてよいものか。などと考えている間にも、「生きている」という状態は、刻々と展開しています。だから考えないでもよい、という意味ではありません。「生きること」について、数えきれないほどの本や記事があります。でも、じぶんを導いてくれるような、導きのことばはどこにありますか?

メーテルリンクの童話『青い鳥』で、兄妹チルチルとミチルは、夢の中で、青い鳥を探しに行きます。過去の国にも未来の国にも、どこにも、その青い鳥は見つかりません。ところが、家に戻ってみると、青い鳥は、いちばん身近な、鳥カゴの中にいました。

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作法を共にする道具

ママ:のびちゃん!いつまでスマホやってるの!
のびた:スマホじゃないよ、チャットしてるんだ。
マ:いいかげんに宿題やりなさーい。
ドラえもん:みんながやってるんだから。やめろって言ってもムリ。
マ:ドラえもん!なんとかしてちょーだい。
ど:のびちゃん、大切なことをする時間がなくなっちゃうよ。あ、ほかに大切なことないのか。
の:だったら、「しない」スイッチってないの?
ど:のびちゃん自身の「心が変わらないかぎり。。
  じゃあ、「じぶんを手入れする」スイッチ。

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絵に映る心

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホは、1枚しか絵が売れない苦難を生きながら、精神性の高い絵画を描き続けたが、精神の病ゆえに、みずから命をたった偉大な画家。それが長い間、「定説」でした。

ゴッホは、900通を超える手紙を書きました。最近になり、この膨大な手紙や資料を研究し、綿密な取材を重ね、定説を覆す「ゴッホの死の真相」に迫った人がいます。美術史家・スティブン・ネイファーは『Van Gogh : The Life』で推理を詳述します。

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Be accountable.

その昔、ソニーに入社した翌日、専務の田宮謙次さんから贈られたメッセージのことばです。

Be a doer.
(行動する人であれ。勇気をもて)
Be accountable
(自らのふるまいを省みよ。高潔であれ)

doer は、ドゥアーと読みます何事も「する人」でありなさい。accountableは、自分の行動について、いつでも語れるような、という意味です。最近は、日本語でも新聞などで、アカウンタビリティということばが使われるようになりました。「説明責任」と訳されています。

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原因は後からできる

のびた:だって、きらいなんだもん、ピーマン。
ドラえもん:どうして?
の:だってまずいよ。小さな頃からずっと。
ド:ずっと食べてないのに、ずっとまずいの?
の:そう。
ド:そう思い込んでるだけじゃないのかなあ。
の:昔に原因があるから変わらないよ。
ド:その昔のピーマンの味は、のびちゃんの舌にももうどこにもないんだよね。いまも。
の:あるある頭の中に!考えただけまずい!
ド:いつもまずいまずいって言う癖のことだね。

ふだん、私たちは、何かの原因があり、その原因によって結果が引き起こされる、という考え方に慣れています。

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いそがなくたっていいんだよ

岸田衿子さんの詩集から「南の絵本」を。

いそがなくたっていいんだよ
オリイブ畑の 一ぽん一ぽん
オリイブの木が そう云っている
汽車に乗りおくれたら
ジプシイの横穴に 眠ってもいい
うさぎにも 馬にもなれなかったので
ろばは村に残って 荷物をはこんでいる
ゆっくり歩いて行けば
明日には間に合わなくても
来世の村にたどりつくだろう

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感情は感覚の意味づくり

感情とは何でしょうか?
自然に起きる気持ちのことですよね? 何か外部に原因があり、その刺激に対して、内部で反応すること。
一般に、そう思われていますが、少し違います。実は、「感じる」という現象は、外界に起きていることを身体で受け取った感覚の「意味の産物」です。

リサ・バレットさんは、このように説きます。
「感情は、意味を生成する作用(シミュレーション)によって、つくられます。シミュレーションは、精神作用・心理現象の基本設定モードです。心拍とおなじように、無意識的、自動的におきています。

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安らかに生きるプラクティス

大和和尚さんは、このように説きます。

「古来、「ほとく」ということばがありました。こんがらがったヒモを「ほどく」と同じです。「ほとけ」とは、ほどかれた、安らかになった状態のことです。

仏教ということばは、仏の教えと書きますが、これは明治につくられた言い方で、それまでは「仏法」でした。長い間、仏法とよばれていたものが派生して、もっと広い範囲で解釈されたものの全体が仏教です。

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環境は共感的な世界

ユクスキュルは、こう説きました。

生物種ごとに住む世界のイメージは異なっている

アリにはアリの世界、チョウにチョウの世界、サクランボにはサクランボの世界がある。みな、それぞれちがう、「じぶんの世界」を生きているのです。

生物にとって、意味あることだけが知覚されます。ユキュスキュルはそれを、環世界 (Umwelt) と呼びました。「行動は刺激に対する物理反応ではなく、環世界あってのものだ」というのです。

ひるがえって、私たち人間はどうでしょうか。

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水の作法

5歳の頃、私の家は「井戸水」でした。

手押しポンプの柄は、へびのようなかたち、いえ、ウルトラセブンの頭にのっていた飛び道具的「アイスラッガー」のようなかたちでした。

その把手をつかんでいったん上むきにひっぱり、それを振り下ろすと、勢いよく水がでてきます。小さな手からは水が溢れてしまいますので、はじめに、下にたらいを用意します。手からこぼれる水が、下のたらいの中に落ちるように、姿勢に細心の注意を払います。

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ものに語りかける

柳田邦男さんは、こう言います。
「おでこを物にぶつけた時、怪我をして痛みを生じさせている部分のみに目を向けるのは、近代科学の視点。さらに怪我の程度を調べて、治療法を決めるのは、近代科学の方法である。その視点と方法に従う時、柱や棚や石という物の側は関心の対象外になる。可哀想と思ってもらえるのは、おでこの怪我をしたところだけなのだ。

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ふるまいのメソッド

矢田部英正さんは、『からだのメソッド』で、こう語ります。

古来、日本人の態度として、人間の力によらないものについてはあえて意味づけをしない風習のようなものがあった。ある意味それは自然に対する畏敬の念からでもあったろうし、人知をこえたところで働いている秩序に対して、人間の理解可能な理屈のなかだけで向き合おうとするの不遜な態度であると、昔の人はそう考えたからかもしれない。

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ポエジーを生きている

昔、おばあちゃんのラジオで地球の裏側の人の声を初めて聞いた時、それは「ぼくの大宇宙」でした。谷川俊太郎さんは、それがポエジー(詩情)だと言います。「詩には、行分けで書かれた詩作品という意味と、英語でいうポエジー、詩情、その二つの意味がある。」

ポエジーはあらゆるところにあります。
人は詩情を求める。/p>

「オーストラリアの短波放送なんかを受信すると、すごくうれしい。「オーストラリアが聞こえた!」とかね、一種の空間の隔たりみたいなものがあって、それが詩の言葉の出方と似ている。そういう宇宙の中に自分がいる。意識社会内存在としての人間と、宇宙内存在としての人間。人間は、二重に生きている。」

詩は声の力が大きい。

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エンパシームへの路(2)

声のことばが、希いになる
実は、私には長い間、じぶんでも気づいていなかった「希い」がありました。

20歳の時、父が病気で不随になり、声を発することができなくなりました。私は無力感に苛まれながらも、父が他界するまでの5年間、「ひらがな文字盤」を使い、手と息とまなざしで、ふれあうことを学びました。これが「エンパシーム」の原点です。

そのことに気づいたのは、10年前に、姉が急逝したことです。開発した新しいスマホを世に出す間に、いちばん身近で大切な人が、突然、消えてしまいました。
当時私は、ネットスマホ社会の「希いの場」という意味あいをこめ、スマホを生み出す土台、その商品シリーズに「エクスペリア」と名づけました。世界を奔走する日々を送りながら、エクスペリアの思いとは裏腹に、私は何ひとつ、姉の助けになることができませんでした。その喪失感と挫折感に苦しんだことで、私ははじめて「存在のありがたさ」に気づきました。

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ふるまいが、ことば。

身ぶり、手ぶりと言いますね。だれかと話をする時、自分では気がつかないけれど、いろいろな身ぶり、手ぶりをついています。もちろん、姿勢も表情も、声の調子や間合いも。その全体がことばになっています。

私たちの身ぶり、手ぶりはジェスチャーとも呼ばれますが、ジェスチャーは、音声言語と同期し、コミュニケーションの重要な通路になっていることが知られています。

マイケル・コーバリスさんは、「言語は呼び声からではなく、手、腕、顔のジェスチャーから進化した」という説を唱えます。野生の動物の観察や人間の言語の研究、特に、霊長類の行動・コミュニケーションの進化の経緯などを研究し、このように言います。

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ハーモニーとは、生きていること

Harmony(ハーモニー)ということばがあります。

全体が調和した様子を表すことば。ハーモニーということばを聞いて、何を思い浮かべますか?

音のハーモニー。味のハーモニー。色のハーモニー。
演技のハーモニー。心と体のハーモニー。自然のリズムとのハーモニー。魂のハーモニー。

ギリシャ語に由来するハーモニーとは、「つなぎあわせる」「むすびつける」という意味でした。そこから、調和という意味が生まれました。

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ピタゴラスのそら豆

ピタゴラスの定理。幾何学を習えば必ず出てきますね。ピタゴラスは、ドレミファソラシドという音階の発明者でもあります。1オクターブとは8個という意味ですが、ドからドは音の周波数が2倍になります。
音を整理してならべる音律の法則。それが、人間なら誰でも美しいと感じるコンセプトになっている。不思議ですね。音は自然現象、整数比は人間の概念。それもシンプルな算数で。

ピタゴラスが鍛冶屋のそばを通りかかった時に聞こえてきた「相づち」の音を聞いてひらめいた、という伝説があります。和音の起源は相づちだったのです。

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共に痛む

エンパノートをひらくと、母のseed(声ことば)にこうあった。

「大和さんは、ギックリ肩みたいなもので激痛が走り、夜も眠れないのだそうです。」

身につまされるとは、このことである。

I feel your pain. 痛いよね。

私にも二回、おなじ受難体験があります。
滑液包炎。人間の体の関節には潤滑油の袋がああります。
それが炎症を起こします。問題は、違和感がある時に、無理に動かしてしまうことです。無理をして、本格的に炎症を引き起こすこと。
腫れて、神経にふれるから激痛が走る。ギックリ腰より、苦しい。痛みにふれないように寝ようとしても、腕の位置はずれるから、それこそ、1ミリでも動こうものなら、激痛!まったく寝られません。

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見えるものを見よう

のびた:ドラえもん、大切なものは目に見えないんだ。
ド:へぇー、のびちゃん、どうしたの?
の:『星の王子さま」を読んだら、出てきたよ。

ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。

いちばんたいせつなことは、目に見えない。

ド:のびちゃんはどう思うの?
の:見えるものだけでいいじゃない。ドラえもんは?
ド:見えないものを見ようとしても、見えない。
の:じゃ、どうするの?
ド:見えるものを、見るんだよ。
の:見えるものを見る?じゃ、いつも見てるよ。

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身をもってつくる、じぶん情報

西垣通さんは、こう言います。
「情報とは、知識の断片のような実体ではなく、関係概念である。人間、生物にとっての意味作用が情報。共感も実体ではなくて、関係概念である。」

じぶん自身が関わること、そのつながりや結びつきによって生まれる意味作用を情報とよぶのですね。

養老孟司さんも、このように言います。
「情報化することと、情報処理の作業はまったく違います。情報化とは、パターンを認識して、それを言葉にすることです。データ生成、データ処理だけでは情報化ではありません。たかが一匹の虫のことを書くだけでも、情報化とはえらく大変なことなんです。」

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精神とは相互作用の連続

グレゴリー・ベイトソンはこう言います。

知と思考をつかさどる<マインド>というものに、思考する人間の外側にある自然界の大きな部分、数多くの部分が映し出されている。

動物的ーアニマルということばは、本来、こころーアニムスを授かった、という意味でした。

精神とは、相互作用する構成要素の集まりである。

世界は、結びあわせるパターンのことである。パターン同士が結びあって、パターン間のパターンができる。

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ホモ・エマパテマ 共感する存在

これまで、人間の本質を表すことばが、数多くつくられてきました。

・ホモ・サピエンス(知性をもつ存在)
・ホモ・ファーベル(ものをつくる存在)
・ホモ・ルーデンス(遊ぶ存在)
・ホモ・ロクエンス(ことばを話す存在)
・ホモ・モビリタス(動く存在)
・ホモ・ソシアリス(集まる存在)
・ホモ・レリギオスス(祈る存在)
・ホモ・エステティクス(趣味人)
・ホモ・ピクトル(描く存在)
・ホモ・ムジカ(音楽人)
・ホモ・エコノミクス(経済人)
・ホモ・ポリティクス(政治人)
・ホモ・リデンス(笑う存在)
・ホモ・パテイエンス(痛みを持つ存在)
・ホモ・クレアトール(創造する存在)

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ひとり、くるくる、たのしむ。

画家・熊谷守一さんは「ひとりたのしむ」達人でした。

わたしは好きで絵を描いているのではないんです。絵を描くより遊んでいるのがいちばん楽しいんです。

絵を描くのに場合によって、初めから何を描くのかわからないのが自分にも楽しい。描くことによって、自分にないものが出てくるのがおもしろい。

「すること」そのものが楽しいのですね。はじめから決まった「答え」を探すのではなくて、なにかおもしろいものに出逢えること。それが、たのしい。
そのようにしているうちに、絵ができる。

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I’m humbled.

アートさんにたくさんある、Seedから。
I’m humbled. (humbleな気持ちになるよ)

humble (ハンブル)とは、「謙虚な」という意味です。「あの人は謙虚な人」というふうに。
I’m humbled. というと、じぶんがそのような気持ちにさせられる、謙虚になれるという意味です。
じぶんには、もったいないこと、ありがたいな、と思える気持ち。

共感の力が発揮されている時なのです。

物事を、素直に受け入れることができるのは、じぶんが humbleになっている時です。何かに共感を抱く気持ちは、物事を素直に受け入れる、心のとびらになります。

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思う以前に感じる

泣くから、悲しい。震えるから、怖い。
ウィリアム・ジェームズは、感情と動きの関係について、このように説きました。常識を覆す発言としても知られます。「悲しいから泣き、怒るからなぐり、恐ろしいから震えるのではない。その反対である」と。

身体心理学・春木豊さんは、こう語ります。
「動きと心の因果関係は、常識的には、「はじめに思い、次にそれを行動に移す」と考えられている。この考え方は非常に強固である。一方、思う前に動いているという事実は、日常体験からも常識であろう。

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共感のまなざし

浜までは海女も蓑着る時雨かな
(浜までは あまも みの きる しぐれかな)
江戸時代の俳人・滝瓢水(たきひょうすい)の読んだ一句です。

これから海に潜る海女さんが浜を歩く光景。
雨に濡れないように、蓑を着ているのです。
これから海に入るのですから、すぐ身体は濡れてしまいます。どうせ濡れるのに蓑を着るなんて。

この俳句に映し出されている光景は、それでもじぶんの身体をいたわる海女さんの姿に、一瞬
ハッとしたこと、そしてじんわりと、共感のまなざしを抱いた様子です。

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道具と共に

の:ねぇ、ドラえもん、ひらめく道具ない?
ど:あ、ダニエル・デネットさんが「ひらめきのポンプ」という本を書いているよ。
の:本なの?
ど:そういう比喩で人間の感性・知性を高める「思考の道具」の話をしているよ。
の:ぼくもそのポンプほしいな。
ど:うん、そこで紹介されているのは:

人間は、素手だけでは大した大工仕事はできないし、脳みそだけでは大した思考はできない。

ボー・ダールボムさんのことばを引用して、デネットさんは言います。

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だれかをはげまして

Cheer someone else up.

だれか他の人を勇気づけると、じぶんが勇気づけられます。

なぜかというと、相手にむかって本当に声に出して言うからです。声ことばを発すると、じぶんの身体の内側にひびき、その声はまわりの空気の振動になって、耳に聞こえてきます。相手に語ることを通して、じぶんもその相手と共に、その声ことばを聞くからです。

マーク・トウェインはこう言いました。
The best way to cheer yourself up is to try to cheer someone else up.

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私たちは連続している

コミュニケーションということばを聞いて、何を思い浮かべますか?

思いや考えを伝えること、相手の言うことを理解すること、でしょうか?
だとすると、伝えるべきことばが先にあって、それを表現し伝達する、という順番になりますね。それは本当でしょうか。

コミュニケーションというと、「意志の伝達や理解」の部分だけを考えますが、実は、実態は、すこし違うのです。

ことばよりも先に、相手とじぶんが、何かをわかちあえる状態、つながった状況が先にあります。
赤ちゃんとして生まれた頃、お母さんと共にあり、それを感じあう状況が先にありました。そしてそこで、ふれあいのやりとりが生まれていたはずです。
そのような状況が、刻々と、連続的にできる中で、「コミュニケーション」を身につけてきたのです。

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一枚の葉っぱ

一枚の葉っぱが手に入ったら、宇宙全体が手に入ります。

日本画家・小倉遊亀(ゆき)が大切にしたことば。
師・安田靫彦(ゆきひこ)の座右の銘。

小倉さんは言います。
「見た感じを逃さないように心掛けて行けば、その都度違う表現となって、いつの間にか一枚の葉っぱが手に入りますよ。そして、一枚の葉っぱが手に入ったら、宇宙全体が手に入ります。

「絵を描くことは坐禅と同じ、対象に宿る美しさを発見するためには、無心に物を見る態度を養わなければならない。」

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授かったものを活かして

ギリシャの哲人・エピクテトスのことば。
自分にないものを嘆かず、あるものを楽しめ。

じぶんが授かったものに気づき、それを使う喜びを感じることが大切ということです。
与えられたものを受けよ、それを活かせ。

持って生まれた能力とか、潜在能力とか、むずかしく考えるのではなく、じぶんの身体、声、授かったもので、すぐできることをやってみましょう。

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いつでも会える

絵本『いつでも会える』の主人公、犬のシロは、大好きなミキちゃんと死に別れます。飼い犬を失って悲しむ話ではなく、犬が飼い主をなくして悲しむのです。

悲しみにくれるシロを呼ぶ、なつかしい声がします。

空にいるよ。
いつでも会える。
いまも これからも。
ずっと かわらない。

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じぶんを聞くふるまいの力

「自分で自分に言い聞かせる」と言いますね。
文字通り、声に出して「じぶんに」語りかけ、そのことばを、「じぶんが」聞くことです。

「一人二役の芝居」のように聞こえますか?実は、毎日、生きて暮らしていること自体が「じぶんに向けて演ずる」こと。芝居ではありませんが、演じています。
「言い聞かせる」というと、精神的に「がんばる」掛け声のように聞こえるかもしれません。でも、実は、そうではないのです。
「声に出す」ということは、全身で感じるということです。身体の中の響きも、空気からやってくる音も感じています。文字を黙読しているのとは、決定的な違いがあるのです。

演ずるセリフは、じぶんのことばです。でも、それはじぶんでつくったのではなくて、古来より、語り継いで、聞き継いできた、声のことばです。先人のことばを声にして、同時に聞き、想像や連想が浮かぶのです。
「じぶんの声にするふるまい」を演じる力。

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実生

実生(みしょう)。種子から芽生えること。

岩田慶治『花の宇宙誌』の一節から。

禅では「莫妄想』、つまり、「妄想することなかれ」ということをいう。気がかかりなこと、考えても仕方ないことを綺麗さっぱり忘れる。クヨクヨと無駄な思わくにとらわれない。そうすると、あたらしい、ユニークなアイディアがうかびあがってくる。雑多なイメージを切り捨てるところから、新鮮な着想がうかびあがってくる。つまり、禅は創造的活動のためにはたいへん有益。そういう意見であった。

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しあわせとは共に感じる道

アリストテレスは、人間の理想とすべき幸福について説きました。
それは、「善き心」という意味の、「ユーダイモニア」ということばで知られます。

幸せは、人生のゴールでしょうか?

なんとなく、人生のゴールは、幸せになることだ、とどこかで聞いた気もしますね。

しかし、そもそも、人生のゴールというものを、じぶんひとりで持てるのでしょうか?
じぶんひとりの「幸せ」は、あるのでしょうか?

やさしそうで、むずかしいこの問いに、カントは明快に、こう説きました。

道徳とは、幸せになるための教えではない。幸福にふさわしいふるまいをするための教えである。
「哲学を学ぶ」のではない。哲学することを学ぶのである。

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ひ、ふ、み。

良寛上人に、心月輪というエピソードがあります。

ある家を訪れた際、桶屋が大きな鍋ぶたを作っていました。うまくいかず、壊そうとしたので、良寛さんはそれをもらって「心月輪」と書き、そこに置いていきました。
心月輪(しんがちりん)とは、月のように澄み切った心。清らかに輝く、悟りの境地を表します。

このような解説を見ると、そのような境地に達することは、現代社会に生きる人間には至難のことのように思われ、凡人俗人には無縁な話と決めつけていないでしょうか。

でも、月を見上げて、澄んだ心持ちがする、そのわずかなひと時が、誰にもまねのできない話のようには思えません。月のようなまるい形の板切れに、心が踊る気分になれない、ということでもなさそうです。

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じぶん民俗学

谷川健一さんは、こう語りました。
「民俗学は魂の学問です。神と人間と動物の交渉の場です。人間と神、人間と人間、人間と自然の生き物、この三者の間の三者間の強い親和力が、民俗を生んだのです。

民俗学は民間伝承を取り上げて研究していきますが、それは口承の形が多い。文字記録や、遺跡・遺物がないところで、日本の過去・歴史、あるいはその民衆の生活史を探ろうとする時には伝承に頼る以外にはありません。そこに民俗学の置かれた立場があります。

伝承の特徴は、時代あるいは時間を超越しているというところにあります。歴史学や考古学は始原から始まる時間です。しかし、人間の記憶というものはだんだんと遡っていき、最後にその始原に到達する民俗学は現代から遡行するというが特徴。そこに民間伝承を重視する民俗学の特徴があります。

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地球に共感する

ライアル・ワトソンさんは、こう言います。
「昔から、ふたつの世界観が存在してきた。ひとつは互いに因果関係をもち、互いに影響している事物や事件でも、実はまったく別個のものであるという日常的な現象。もう一方は、すべてが大きなパターンの一部であると考える、やや特殊な見方。生活していく上で前者の世界観が一番価値があるため、幼児期からそのように行動することを覚える。後者の考えは、ただちに実用化できるような重要性をあまりもたない。だが、この考え方こそすべての生命に大きく作用するもの。正式な教育と自然な直感とを調和させる方法はないものか。それができないことは、もっとも重要な資源の大きな無駄である。

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ひと時の数を

人生は何でできていますか?

ものや場、つまり空間でしょうか?
ことや時、つまり時間でしょうか?

とても、ひとことでは言えそうもありません。

長田弘さんの詩のことばから。

人生は完成でなく、断片からなる。
断片のむこうに、明るさというか、ひろがりがある。

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いまを実感する単位

ジル・ハンソンさんの『マインドフルネス』の冒頭の一節です。

「最近、ある緩和ケアの看護婦から聞いた話。 彼女の仕事は、終末期の患者が人生の最期に、後悔に苛まれたり、死を恐れたりせず、残された「いま」という時間を最大限、意味あるものにする手伝いをすること。確かに、意味のある仕事だ。ただ、聞けば聞くほど、疑問が湧いて来た。

なぜ、それほどたくさんの人が、臨終を迎える段になって初めて 「いま」を学ぼうとするのか?。
生まれてから死ぬまで、「いま」という瞬間以外に人生はなかったはずなのだが。。」

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小さな、ひと時の鏡から。

松下幸之助『道をひらく』に収められた「心の鏡」の一節から。

「身なりは鏡で正せるとしても、心のゆがみまでも映し出しはしない。だから、人はとかく、自分の考えやふるまいの誤りが自覚しにくい。心の鏡がないのだから、ムリもないといえばそれまでだが、けれど求める心、謙虚な心さえあれば、心の鏡は随所にある。自分の周囲にある物、いる人、これすべて、わが心の反映である。わが心の鏡である。すべての物がわが心を映し、すべての人が、わが心につながっているのである。」

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想像の冒険

『チム・ラビットと かかし』という童話があります。

ぼうけんにでかけようかな。

チムは麦畑でかかしに出会います。だれも相手にしてくれず、ひとりぼっちのかかしに、チムは言います。

ぼくに、なにかしてあげられること ある?

かかしは、雨が降ってもぬれないように、服を着せてくれ、と答えます。チムは、近所の農家から素材を集めてきて、カカシに着せてあげます。立派になりました。チムは、新しいともだちに、詩をつくります。

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共感する原子

波が打ち寄せてくる 膨大な数の分子が
互いに何億万と離れて 
勝手に存在しているというのに
それが一斉に白く波立つ波をつくる

それを眺める眼すら 
存在しなかった遥かな昔から 何億もの年を重ね 
今も変わりなく 波濤は岸を打ちつづける
ひとかけらの生命もない 死んだ惑星の上で
誰のため 何のため 波は寄せてくるのか?

ひとときも憩わず エネルギーにさいなまれ
太陽に亡ぼし尽くされ 宇宙に放たれる
そのたったひとかけらが 海をとどろかす

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練習の矛盾を克服する

集中している間はよいのだけれど、結果を気にするとうまくいかなる。集中しているかどうかに意識が向くと、集中がとぎれてしまう。そういう経験がある人は多いのではないでしょうか。

トーマス・スターナーさんは言います。
どんな練習も、肝心なのはプロセス、結果ではない。結果に気が向くのは、「判断」しているから。
いい・わるいの評価を瞬時にしている。知らないうちに、ある理想の尺度にあわせている。自分自身の「判断」が実はバリアになってしまうのだ、と。

脳は、状況を先回りして、まだ事が起きる前から「失敗しないように」という瞬時の判断ができます。私たちが、生まれてこの方、身につけてきたものです。

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共感の心は、月かげ

和尚さまへ

法然上人のお月さまみたいにつくってみました。エンパシームのアプリ、そこに映し出される、『あ』の時空です。

『あ』:あけた、空けた、ひらいた心。やわらぐ時。
エンパシームは、静かにすわり、落ち着く時だけに、はたらきます。

特別にそっと。中身をのぞいてみます。小さな数字は、作法のプログラムとセンサーの情報です。
ものとものとの間に働く引力によって生じる加速度。
止まりつづけよう、動きつづけようとする力によって生じる角速度。
回転によって働く遠心力。地球そのもの、大きな磁石の働きが、地磁気。

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「人生の目的は幸福」ではない

「人生の目的は幸福である。」 さて、これは、Yes か Noか?

アリストテレスはこう言いました。

Happinessが、生きる意味であり目標であり、人間の存在理由、存在価値のすべてである。

やはりそうか、幸福であると。でも、よく見ると、「人生の目的は幸福だ」とは言っていませんね。主語はHappinessです。では、Happinessって何?

Happenということばがあります。物事が起きるという意味です。“hap”という語幹には、起きる、そうなる、という意味がありました。Happyも、よろこびやしあわせの心が起きること。状態を表すのです。そのように生きることに、人間の存在の意味がある、と。

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ひとりだけではない

想像してごらん。天国なんてないことを。
やってみれば、かんたんだよ。
ぼくらの下にも、地獄なんてない。
上には、広い空があるだけ。
想像してごらん。世界のみんなが今日という日を共に生きていることを。

夢を見ているだけだって君は言うかもしれないね。
でも、ぼくひとりじゃない。
いつか、君もいっしょに、
ひとつの世界を願おうよ。

ジョン・レノンの『Imagine』(イマジン)です。

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出力こそ、まなび。

読書百遍ひゃっぺんおのずから通ず。
(百回、つまり何度も繰り返し読めば、内容が自然にわかるようになる)

このことばをどのように受けてとめていますか?
→「そうなんだろう、きっと。頑張ってたくさんやれってことね。」(たいへんそうだなあ。めんどうくさそうだし、よくわからないから、やらない。)
→「そうなのかなぁ。わからない文章を100回読んでも、意味なんてわからないんじゃないか。」(では、やってみる?でも、疑っているので、やらない。)

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空気・じかん・音のつぶ

5歳の夏休みでした。その箱のふたを開くと、箱ぜんぶが機械でした。出っ張った2本の棒、小さな四角い箱、それに丸いボタンがついています。

父は、タイヤのようなものをふたつ、片方の車輪の真ん中を片方の棒に、もう片方の車輪をもう片方の棒にはめました。車輪はヒモでした。そのヒモで、四角い箱とふたつの車輪を結ばれました。ガチャリと音がして、そのヒモがくるくると回りだしました。

「なんだろう、これ?!」思わず、そう言いました。

父がレバーをガチャリとすると、キュルキュルという音がしました。もう一度ガチャリとすると、「なんだろう、これ?!」なんと、声が飛び出してきたのです。それは、ぼくの声だと思いました。

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じぶんとあいて

大切なこころの糧は、われとなんじの体験。

神谷美恵子さんの『こころの旅』から。

人間は過去からの蓄積なしには新しいものを創り出す素材にさえこと欠く。何もかもはじめからひとりで創り出すということはありえず、文化への新しい貢献も過去の人々の業績や同時代の人びとからの啓発や協力によって、生まれてくるのだとすれば、「学ぶこと」の大切さは文化や歴史をつくる上で、

こころの世界をまとまりあるものとするため、はかり知れない。

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It may work うまくいくかも

英語にこんな言い方があります。何かを試した時。

It works!
 (思ったように、動いている。うまくいった。)
It’s not working.
 (動いていない。うまくいっていない。)

Work (ワーク)は、働くという動詞、仕事という名詞、だと教わるかもしれませんね。「はたらく」ということばは、「何かが動くこと」です。例えば、疲れていて、頭が回らない、という時なども、workしていない、はたらいていない、というふうに。

It works は、よく使われる平易な表現ですが、ひとつ、意外な効用があります。

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コミットメントとはじぶんと結びつけること

人は語れるより、多くのことを知っている。

マイケル・ポランニーのこのことばは「暗黙知」(Tacit knowing) ということばで知られます。

「ことばに表現できない知」という意味です。伝統の職人技とか、すり合わせの文化といったこと以前に、そもそも、人間の知性の本質には、「身をもって関わること」があることをポランニーは説きました。

著書『個人的知識』では、「コミットメントによる知」ということばが使われています。一般に、約束とか使命といった意味で使われる「コミットする」とは「結びつける」という意味です。

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身に結びつける学び

学校は「教育」の場です。先生が、生徒に教えるところ、学生を育てるところ。何を教えてもらうかといえば、物事についての知識です。やり方や名前、道具の使い方などです。

現代社会は、便利に、色々な知識を入手することができます。Google 検索でも、Wikipediaでも、膨大な情報やデータにアクセスして、知識を手に入れることができます。

それでは、それらの知識を使って、どのように行動できるでしょうか。そのための知識もあります。ただ、どこまでいっても、それはひとつひとつの知識です。

ギルバート・ライルは、そのことを、「knowing howと knowing that」ということばで表しました。knowing that とは、知っていること。獲得、入手できる知識のこと。knowing howは、知識を自分で使えること、人のためにも活かし、行動できることです。

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共に歩む事業の中で

絵本『カモメに飛ぶことを教えた猫』より。

黒猫のゾルバは、タンカーから漏れ出た油で瀕死となった母カモメ・ケンガーが最後の力を振り絞って産んだ卵を託されます。そして、知り合いの猫、ネズミや人間の力を借りて、子カモメ・フォルトゥナータとして育て、飛び方を教えることに成功します。

歓喜して大空を飛ぶフォルトゥナータと、それを見守り、詩人のように呟くゾルバのラストシーンです。

ゾルバ:さあ、飛びなさい。大空のすべてが君のものだ。
フォルトゥナータ:決して忘れません、あなたと皆さんのことを。
ゾルバ:勇気を出してやってみる者だけが飛べるんだ。

Sólo vuela el que se atreve a hacerlo.

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そのものになっちゃうこと

先日、まゆさんがこんな話をしてくれました。

「ヨガのインストラクタをしているのですが、私も「なりきる」っていう思いが大切だって、本当だなって思いました。そのものになってしまうかのように、演じることが、本当にそうなってくるんだって。

この間、TEDで観ました。エイミー・カディさんは、こう言っていました。

Fake it till you become it.
>そのものになりきるまで、演じること。

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くりかえしは、いのちのリズム。

柳澤桂子『 いのちとリズム』から。

「宇宙には、10の22乗個の星があり、10の80乗個の素粒子がある。生命が誕生してからこの方、太陽は10の11乗回のぼったり沈んだりしている。人間は地球上に10の9乗かい繰り返され、独りの人間を構成している細胞は6の14乗回繰り返されている。

宇宙の中の時間的/空間的に繰り返し現象にまで考えを進めるとき、生きていく上での安心感が、この繰り返し現象の予測になりたっている、という考えに導かれる。

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歌があるから

A bird doesn’t sing because it has an answer, it sings because it has a song.

鳥がうたうのは、答えがあるからではありません。歌があるから、うたうのです。

何かの理由があるからではなく、何かの目的の手段でもない。心に歌があれば、自然に歌声になって現れる。
なぜ、歌を歌うのですか?

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ものにささえられて

哲学者・西田幾多郎の歌から。

かの椅子に よりて物かき 此床このとこ
入れて
またふす 日夜夜毎にちやよごと

この椅子のおかげで物を書き、この寝床に入って寝る毎夜よ。このじぶんを、椅子が、布団が支えていてくれるー

じぶんひとりが頑張っているのではない。じぶんと共にいるものがある。

それは、エンパシー(共感)です。「相手」を感じること、ふれあっていること。共感の相手は人間に限りません。

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身体に丸ごと取り込むことから

小林秀雄のことばから。
「暗記するだけで意味がわからないければ、無意味なことだと言うが、それでは『論語』の意味とはなんでしょう。
それは人により年齢によりさまざまな意味にとれるものでしょう。一生かかってもわからない意味さえ含んでいるかもしれない。
それなら意味を教えることは、実に曖昧な教育だとわかるでしょう。丸暗記させる教育だけが、はっきりした教育です。

そんなことを言うと、逆説を弄すると取るかもしれないが、私はここに今の教育法がいちばん忘れている真実があると思っています。
『論語』はまずなにをおいても、万葉の歌と同じように意味を孕んだ「すがた」なのです。古典はみんな動かせない「すがた」です。その「すがた」に親しませるという大事なことを素読教育が果たしたと考えればよい。

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おこないが、じぶんを決める。

ジョン・マーシャルさんのSeedから。
Our deeds determine us, as much as we determine our deeds
自分が行動を決定するように、行動も私たちを決定している。

ジョンさんは、こう語ります。
「ジョージ・エリオットのことば。ペンネームだから、メリーアン、女性の詩人。このことば、本当にそうだな、って実感する時があるよ。

ふだん、ぼくらは、まず自分があって、判断や行動があるみたいに思っているよね。でも、実は、その反対なんだなって。行動が自分なんだよね。自分のアクションがあつまって「行い」になる。ぼくらは、その行いで、できている。それ以外に、自分ってだれ?

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対話が、じぶん。

浜田寿美男さんは、こう説きます。
「ことばとは何か?「語と文法からなるシステム」と言うと、ことばが先にあり、それを使ってやりとりするように聞こえるが、そうではない。他者との対話(ことば以前の対話)から、ことばが生まれてくるのであって、その逆ではない。対話性があるから、そのように、ことばを獲得するのである。他者との関わりこそが本質である。

自分の声を聞くという行為。しゃべる行為そのものは無意識だが、実は、相手が自分の声を聞いていることを確かめている。決して、おまけに自分にも聞こえるのではない。話すという行為は、聞くという行為と一体になっている。

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共感とエコノミー

共感とエコノミー(経済)って何か関係があるの?
経済といえば、モノやお金の流通、商売や景気、社会のしくみの話。でも、それらもみな、人間の感情や行動によってもたされることは違いありません。

近代経済学の父・アダム・スミスの著した『道徳感情論』は「人間がまず隣人の、次に自分自身の行為や特徴を、自然に判断する際の原動力を分析するための論考」という副題がつけられている通り、人間の心の研究でした。

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実感の切り取り

カルペ・ディエム (Carpe Diem) 。

ギリシャの詩人・ホラティウスの詩にあるこのことばは「今日を楽しめ、今を生きよ」という意味として知られています。

ラテン語の原文は「後のことを考えるのは最小限にして、今日を摘め」。
こちらの方が「今を生きよ」より、直裁で明快なアドバイスのように聞こえますね。

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動機ではなく、抱負を大切に。

「モチベーションが上がらないなぁー。」
よく聞くことばですね。モチベーションを維持する努力、高めるスキル。何をするにも、モチベーションを持って頑張らないといけない、そう言われます。

その肝心な、モチベーション (motivation) とは?
外部から力を加えて、動くようにすることです。動機づけること。動かして、はたらき(機)を促すこと。

「じぶん」を炭火にたとえてみます。はじめ、外から火をつけることがモチベーションです。着火しても、じぶん自身が燃えないかぎり、消えてしまいますね。

モチベーションは、そもそも、減衰するもの。

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全部ひっくるめて、じぶん。

私は、私と私の環境である。
哲学者オルテガのことばです。私と私の環境は、連続した、不可分のものである。私とは、私ひとりの身体や思考のことではなく、この全体のこと。

ふだん私たちは、自分と周囲は別々のものと思っています。身体は内側、環境は外側というふうに区別しています。でも実は、内と外はつながっています。空気に包まれているから、呼吸をしたり、会話をしたりできるのです。
空気はじぶんの一部。じぶんは空気の一部。

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共感の宇宙

宇宙にあるすべての物体は、共感によって結びつけられている。

ライプニッツは言いました。宇宙は、共感の結びつきでできている、と。そこから出発する方が、わかりやすいかもしれません。つながりあう宇宙のなかに、私たちは生まれてくるのです。

ライプニッツは、宇宙の、これ以上、わけられない最小の単位を「モナド」と呼びました。どんなイメージでしょうか。魂みたいなものか、エネルギーみたいなものか、表象する微小なピースか。何かにたとえないと、想像しづらいですね。

私たちは、みな、モナド。小さなじぶん。

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共に生きる知恵

私たちは、「問題」は解決すべきもの、だと習ってきました。問題に直面した時に、解決するための知識を探しにいきます。

でも、いくら知識を集めても、解決できないことがあります。

たとえば、「悲しみ」は、解決することはできません。死別・離別の悲しみは、解決するのではなくて、乗り越えるものです。克服するものです。

克服とは、悲しみの心を抱き、それでも、生きていくことのよろこびとありがたさが感じられるようになることです。

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すべては失敗からはじまる

バルセロナの冬の風物詩、Calçot (カルソッツ)。
スペイン・カタルーニャ地方の郷土料理「焼きネギ」。

炭火で真っ黒に焦がした太い長ネギ。片方の手で、焦げたアツアツの外側部分をつかみ、もう片方の手で内側の芯をスルリと抜き出します。ぶらぶらするネギの下先をロメスクソースに浸し、天をあおぐようにして、口の中に差し入れます。

とろけるような甘み!ロメスクは、アーモンド、ガーリックとオリーブオイルでつくる、特製ソースです。絶妙のとりあわせ。

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じぶんの自然リズム

梅の花、桜の花、アジサイの花。植物は、みな、いっせいに花を咲かせます。藤の木も、野花も、ブナの林も、植物は、みな、根をからみあわせたりしません。自然の世界は、自他をわけへだてず、共に、調子をあわせて生きています。

人間も実は、同じように、じぶん自身のなかに、同調するしくみを備え持っています。

人間の行うことはすべて相互に結びついている。

ウィリアム・コンドンのこのことばを引いて、有馬道子さんは、こう言います。

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見え方が、変わるには?

マルセル・プルーストのことばに、こうあります。

真の発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目で見ることなのだ。

よく、「見方を変えよ」などと言われます。
どうしたら、見方が変わるのでしょうか?

ライプニッツは、こう言います。
同じ町でも異なった方角から眺めると、まったく別な町に見えるから、ちょうど見晴らしの数だけ町があるようなものである。

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じぶんが、そうなること。

The only way to have a friend is to be one.
友を得る、ただひとつの方法は、みずからが、友になること

隣人のアート・テイラーさん曰く:

意外にね、だれも言ってくれないものなんだ。
だからね、じぶんでじぶんに言う。それだけ。

みんな思ってるよね。
すばらしい師、先生、メンター、コーチが欲しい。
有望な弟子、教え子、生徒が欲しい。
すばらしい伴侶、パートナー、同志が欲しい。
すばらしい支援者、後援者が欲しい。
有望な若者、ポテンシャルのある人が欲しい。
すばらしい、友人が欲しい。
そうだよね。だれだって、願っている。
すばらしい相手が欲しいって。

唯一の問題はね、じぶんを忘れちゃっていることだよ。
じぶんがすることを。じぶんが、相手の友になるんだ。

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ひとりのじかんに

長田弘『一日の終わりの詩集』の一節から。

黙る。そして、静けさを集める。
 こころの籠を、静けさで一杯にする。
 そうやって時間をきれいにする。
 独りでいることができなくてはできない。

静けさのなかには、
 ひとの語ることのできない意味がある。
 言葉をもたないものらが語る言葉がある。
 独りでいることができなくてはできない。

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じぶんへのサイエンス

かつて、中谷宇吉郎は、こう言いました。
「科学とは、再現可能な現象を自然から抜き出して、それを統計的に究明していくこと。まず、観察によって、ある現象やものの性質をよくみること(定性的研究)。測るべきある性質がきまった場合に、測定によってそれを数で表す。数で表されたら、それに数学をつかって知識を整理統合していく(定量的研究)。

科学の本質は、人間(の科学的思考)と自然の協同作品である。

電気というひとつの題目だけをみても、考え方が始終変化している。電気があるとは「空間がゆがむことなのか」、「電子というごく小さい玉が空間を走ったり振動したりしていること」なのか。玉の性質もあれば波の性質もあるようなひとつの数式自身が電子だということになったが、マイケル・ファラデー以前も以後も、電気現象自身は何も変わっていない。

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One and the same

The way up and down are one and the same.

ギリシャの哲人・ヘラクレイトスのことば。

それを、英語の声のことばにして言ってみます。
The way up and downをひとつのフレーズ、
one and the same をひとつのフレーズにして、あいだにほんのひと息いれてみましょう。

道は上りも下りも、ひとつでおなじもの。

なんだか、あたりまえじゃない?

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見えないけれど、あるんだよ。

金子みすゞ『星とたんぽぽ』より。

青いお空の そこふかく、
海の小石の そのように、
夜がくるまで しずんでる
昼のお星はめにみえぬ。
        見えぬけれども あるんだよ
        見えぬ ものでも あるんだよ。

ちって すがれた たんぽぽの
かわらのすきに だァまって、
春の くるまで かくれてる。
つよい その根は めにみえぬ
        見えぬ けれども あるんだよ、
        見えぬ ものでも あるんだよ。

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Life happens

Life is what happens.

生きるとは、何かが起きているということ。「人生」という名詞でひとくくりにすると、動きが感じられなくなりますね。Lifeは、生きていること、生きていくことです。

ジョン・レノンの 『Beautiful Boy』の歌詞にあることばから。あるインタビューでも、このように語りました。

Life is what happens to you when you’re making other plans.
人生とは何かって?そうやって、いまじゃないことの、いろんな計画を立てている間に起きていることだよ。

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ふるまいの縞模様

安田喜憲さんは、「環境考古学」という新しい道を切りひらきました。その中核概念である「花粉と年縞」を発展させ、「文明の環境史観」を唱えます。

「花粉分析とは、地中の堆積物に含まれる花粉の化石を調べる分析手法である。花粉は強い膜を持っているので、落下したところが湿原や湖底など、紫外線や酸化作用を受けにくいところでは何万年も残る。花粉は種類によって形が異なるので、その形によって種類がわかる。花粉分析によって、数万年の過去、森の変遷や気候変動を再現することができる。」

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思い描きを生きる

ヘンリー・ソローのことばです。
Life isn’t about finding yourself; it’s about creating yourself. So live the life you imagined.
生きるとは、じぶんを見つけることではない。じぶんをこしらえることだ。だから、希ってふるまったように生きてみよ。

通常、createは「創造」、imagineは「想像」という訳されること多いですね。「人生とは、自分を創造することである。だから、想像した人生を生きなさい」というふうに。

しかし、the life you imaginedが「想像した人生」だとすると、それはどういうことでしょうか?
「思ったような人生を生きなさい」では、意味をなしません。考えたように、期待したように、思い通りには生きられないからです。思い通りにはならないからこそ、つくりあげていくものだというのです。

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まず、和らぐこと。

聖徳太子が制定した十七条憲法。国を治める基本原理のエッセンスが17の文章で語られています。

そのいちばんはじめに、こうあります。「以和為貴」
「和(わ)をもって貴(とうと)しと為す(なす)」
お互いの心が和らいで協力することが貴い。調和し、道理にさからわないことを基本せよ。

「和をもって」は、和らぐ(やわらぐ)をもって、とも読まれていました。まず、やわらぐことがいちばん大切だというのです。和らぐとは、やわらかくなること、おだやかになることです。

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なんとかなるべ

柳田邦男さんは、こう語ります。
「人生を旅にたとえるなら、誰しも生涯、平坦なところを歩いているわけではない。山や谷や暴風雨などと遭遇することはしばしばある。予想もしていなかった障害物に道をふさがれたら、大抵の人はたじろいで、しばらくはどうしてよいかわからなくなってしまうだろう。そんな時、私の脳裏に浮かんでくるのは、母が口ぐせにしていた言葉だ。

しかた、なかんべ
>なんとかなるべさ

この二つの言葉は、私がパニックに陥ったりうつ病になりそうになった時に、どれほど防いでくれたかわからない。」

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空気は生きる力をつくる

梅田規子さんのことばです。

水は体を、空気は情動、生き物の動く力を作る

「水は見える。写真に撮ることもできる。そして水は、生命の体を作る。体というものは、実体があると私たちは思う。見ることもできれば、触ることもできる。存在を確認することができる。さまざまに細分して、分析して、医療に役立てることができる。

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手がかりは、身のまわりに。

人間は宇宙の一部。この身を包んでいる自然と共に生きています。すべてのものごとは、きっとおなじ原理で働いているのだろう、と想像したりもします。でも、それは、なかなか、確かめようがありません。

そうです、自分で自分を観察することが、なかなかむずかしいのですね。観察者になろうとしても、自分は当事者であるからです。私たちは、気がつかないうちにいろいろな判断をし、また体験をしながら生きています。

観察者であり、当事者。判断者であり、体験者。
そのような存在であることは、変えられません。

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じぶんでひらくように

Open, Sesami.(ひらけ、ゴマ)

アラビアンナイト『アリババと40人の盗賊』の物語にでてくる「魔法のことば」として知られます。宝物を探して、このことばを唱えると「とびらが開く」。
無意味な呪のセリフが命令の合図になった、というふうに受け取られていますね。

世界諸国のことばに訳されている「ひらけ、ゴマ」。
なぜ、ゴマなの?だれに言っているの?

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フローをつなげる

ど:のびちゃん、何してんの?
の:フロー体験。チクセントミハイの本。有名でしょ。
ど:我を忘れて、物事に没頭している状態のことね。
の:偉い人には、みんなフロー体験があるって。
ど:なんでまた急に?
の:創造的になって、すごいことして幸せになれる。
ど:そんなことを言ってたっけ?
の:とにかく、我を忘れると幸福になれるってこと。
ど:忘れるどころか、我がいっぱいって感じだね。
の:じゃあどうするのさ?

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脳にそっと働きかける

脳の可塑性(かそせい)ということばがあります。
英語のニューロプラスティシティ (Neuroplasticity) から来ています。どちらも、ちょっとむずかしそうに聞こえますが、形を後からいろいろ変えられる「プラスチック」のように「脳はやわらかい」という意味です。

ノーマン・ドイジさんは、こう言います。
「脳は、自ら形を変えていく力を持っている。それどころか、自らをつくり直すことすらできる。これまでの常識と事実はちがって、人間の脳は、驚くほどの回復力と環境適応力を持っている。」

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地を踏んで、空を見上げる、ひと。

ヒューマンということばをご存知ですか。
ひと、人間という意味ですね。

鷲田清一さんによると、英語のヒューマン (human) という語は、フムスhumusという、地面とか腐食土を意味するラテン語からきている」そうです。

「人間はこの地上の被造物であるということでヒューマニティ (humanity)と呼ばれる。
よく似た単語に、ヒューミリティ (humility) がある。謙虚さという意味。実は、これもhumusを語源としている。」

もともと、「地面」に近いことば、ヒューマン。

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We are all one

oǒ’boǒntoō (Ubuntu)

アフリカのズールー語で「ウブントゥ」ということばがありました。人の心を表す太古からのことばです。

I am because we are, 
 (わたしは、みなと共にあるから、存在している)
We are all one
 (私たちは、みな、ひとつ)

共にあると感じる心。共感を意味することばです。

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かぞえるように、生きる。

Count your blessings.
 (これまでに受けた恩恵の数をかぞえてみよ。)

アートさんとのエンロくんの会話から。

アート:大切なことばだなって、いつも、思うなぁ。
エンロ:文字どおり、本当に数えるように、ですね。
アート:そうだね。数えるって、じぶん自身でたしかめることだから。
エンロ:アクト(act)する。本当に演じるんですね、じぶんでしないと意味がないから。
アート:そう。そんなふうに、素直にできるかどうかが、すべて。
エンロ:大切だなとおもうことばを、声に出すことですね。
アート:そうそう。その気になれると、実感がわいてくるもの。
エンロ:ひとつひとつ、数えられるようにすることが、実感になるんですね。実感って、数えられること。
アート:頭の中で、言えばいつだって言える、っていう気になるけれど、それはぜんぜんちがうだね。ちゃんと vocalize (ことばを声にする)こと。
エンロ:なんでも頭の中でできてしまうように思っていることが落とし穴なんでしょうね。
アート:そう。言ったつもり、やったつもり。だから、やらないまま。
エンロ:「つもり」でいると「つもり」にならない。ところが、実際にやってみると、「つもり」が本物になっちゃうわけですね。
アート:不思議といえば不思議。でも、かならず、できる。

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しかかり中のじぶん

ダニエル・デネットさんは、こう言います。
「私たちの頭の中は、出来事や計画、考えなどに関する、しかかり中のドラフトが複数存在する。そうしたドラフトの中で、もっとも多くの処理活動をおこなっているものが、意識である。」

意識は、中央コントロール室のようなものではなく、脳内に分散された情報である、というのです。デネットさんの考えは、意識が中央で制御する装置のようにして、自分自身の活動を支配している考えたデカルトとは、正反対です。デカルトは、経験した感覚データを上映するスクリーンのようなものと考えましたが、デネットさんは、多元的ドラフトのようなものだと言います。

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アタラクシア

アタラクシア。

ギリシャ語に「アタラクシア」ということばがあります。「平静な心」を持つことです。

哲学者エピクロスは、「心の平静」を人間の幸福とみて、そこに生きるための目標をおきました。
ところが、当時のギリシャ哲学において、それが「禁欲主義」に対して「快楽主義」という名前で呼ばれたために、大きな誤解を生むことになりました。
現代の日本語でも、このことばを耳にした人のほとんどは、快楽が「心の平静」という意味だとは思わないでしょう。

エピクロスは、言います。

「快楽とは、一部の人が誤解しているような、享楽のなかにある快楽のことではない。それは、身体に苦痛がなく、魂に動揺がないことである。」

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ふしぎ

そこから とびだしてきた!
みんな おとのなかに はいってる
おとのなかに、ぼくも くうきも

おとのほうが
みえるへやよりも ずっとひろい
おとなのに よくみえる

えは そのはんたいの ふしぎ
とまっていたのに みんな うごきだす

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じぶんという土壌

Cultivate Soul. 心をやしなう。
Soul(精神、魂、こころ)を養い、育てる。Soulの代わりに、Soil (土)を比喩に使ってみます。

じぶんという土壌の手入れが心を育む。
じぶんとは、身心の土壌。資源に見立て、もっと活かせるようになりたいですね。

デイヴィッド・モンゴメリーさんは、『土の文明史』でこう書いています。「アリストテレスは、土・水・火・風を4大元素としてあげたが、土は軽視されてきた天然資源である。土は地球の皮膚として、生態系において土が果たす役割は計り知れないが、土の中ほど未知の世界はない。」

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共感でじぶんが育つ

私たちは、二度、この世に生まれる。
一度目は存在するため、二度目は生きるために。

『エミール』の中のルソーのことばです。 孤児のエミールに、ルソー自身が親代わりの家庭教師になって語ります。ルソーは、自分自身を育て、同時に、みんなのために生きる人間が育つ社会について説きました。 二度目の「生きる」とは、「世のため、人のため、じぶんのために生きる」自覚と思いやり」をみずから育てるという意味です。

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ゆっくりと、円をえがく。

ゆっくりと、ていねいに、円を描く。

それは、小さなひと時をつくることです。
静かにすわり、エンパシームの流れに委ねます。
『ゐ』の円をなぞるだけです。何の構えも、飾りもいりません。
シンプルに、そして、ミニマルに。

ミニマルとは、手持ちの、最小限の力を、最大限に活かす、という意味です。
流れにゆだねれば、自然に備わった力が発揮されます。

自然に備わった力?そうです。
呼吸、声、周りの空気とふれあう力です。

円を描いてはじまり、もういちど円を描く。
区切りをつけるまでのひと時。それで小さな[いま]ができます。

小さな今?
今という瞬間はいくらでもあるよ、と思うかもしれませんね。でも、本当にそうでしょうか?

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生きている、ということ以外に何もない。

パティ・ダイさんのことばから。
生きていることのすべてが、アート。

Creative(創造的)は、いのちのふるまい。
生きていることそのもの。だから、

Creative is a Verb. クリエイティブは動詞。

The only real way to be creative is to create.
 
(創造的であるための、真に唯一の方法。それは創造すること。)

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無意識の力を活かす

ティモシー・ウィルソンさんは、こう言っています。
人間には、無意識のうちにきちんと働く、潜在的な能力が備わっている。

私たちは、ことばを意識レベルで理解しているのではありません。相手が発する一連の音の流れを解析したり、奥行きのある世界の対象物をいちいち分析して、理解しているのでもありません。

意識的にアクセスできない心的な過程を「適応的無意識」(The Adaptive unconscious)と呼びます。人間の能力には、意識して発揮しようとするとうまくいかず、むしろ流れに任せて身体を動かした方がうまくいくものがあります。潜在的だけれども、意識して発揮するのがむずかしい力。それは、知らないうちに働いていて、自分の行動にも影響している力です。

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おかげさまで

ショーペンハウアーは、こう言いました。
「自分が持っていないものを見ると、ともすれば「私のものだったら、どんなだろう?」という考えが頭をもたげてきて、ないものねだりをしてしまう。そうではなく、自分が持っているものに対して、「これが私のものでなかったら、どんなだろう?」としばしば自問してみよう。つまり財産や健康、友人や恋人、妻や子、馬や犬、何であれ、自分が持っているものを仮に失った場合を思い浮かべ、時おりそうした角度で自分をながめるように努めよう。たいてい失ってはじめて、そのものの価値がわかるからである。」

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楽にして

はい、体の力を抜いて、楽にして。

このことば、聞いたことはありますよね。なぜかわからないけれど、体に力がはいっているのでしょう。
Breathe out, breathe in. (吐いて、吸う)

息は、ゆっくり吐くのが先。つい、先にいっぱい吸おうとしそうです。それも、頭で先に考えてしまうせいかもしれません。

静かに坐って、何もしない。というと、かえってむずかしそうなので、すこしガイドが欲しいですね。

I feel relaxed.
リラックスすること、休むことです。ヨガみたい?

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みんな、おなじ。

ん?どうしたんだろう?
前に並んでいた女性が、突然、泣き出しました。何かの思いが込み上げてきたのでしょう。

ある夕方の、地元スーパーのレジにて。
私の番は次。ぼんやりと、あたりを眺めていただけなので、はじめ、何が起こったのか、よくわかりませんでした。

すると、レジの女性がカウンターから出てきて、すぐさま、その中年女性をギュッと抱きしめたのです。
It’s OK (いいのよ)

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じぶんが、相手になって。

『ダーウィンのミミズ』ってご存知ですか?

チャールズ・ダーウィンといえば、『進化論』。生物の進化のしくみを説いた人ですね。あるいは『ビーグル号航海記』でしょうか。

実は、ダーウィンは家の庭で40年間、ミミズを相手に土の世界を研究した人でもあります。ミミズが土壌の運搬の担い手であることを明らかにしました。

ミミズの力で地表に積もる土の量は、10年間で5センチぐらいの厚さ。

ミミズが土を耕しているのです!

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共感 = まなび

タ・パテマータ、マテマータ。

古代ギリシャ語の格言にあることば。

人は痛みによって学ぶ。
心の痛みが学びである。

パテマータは、身に受ける痛み、その体験。
パトス、パッションといったことばと同じ語源で、受け身の感情です。

マテマータは、学ぶこと、日本語で「数学」と翻訳されたマテマティクス (mathematics)の語源と同じで、人間のもつ想像、抽象、推論の働きです。

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みずからに語り、つづる。

ローマ皇帝であり、哲人であったマルクス・アウレリウスの『自省録』から。

英語では 『Meditations』(瞑想録)という題で知られる、ギリシャ語の原典は「自分自身へ語られたもの」という意味があります。

アウレリウスは、日々、静かにじぶん自身と対話をもち、自らに語り、自らにつづりました。

その日々の糧が「自省録』です。

じぶんの自然と、宇宙の自然とに従って、まっすぐな道を歩め。
これらふたつの道はひとつのものだ。

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心の免疫力

「レジリエンス (Resilience)」 ということばがあります。
何かがあっても、負けないで元気を取り戻せること。回復力のことです。

レジリエンス、こころの回復力こそ。

藤田紘一郎さんは、こう言います。
人間が本来もっている「こころの回復力」を引き出す新しいパラダイムが必要になっている。
「レジリエンス」すなわち、に目をむけよ、と。

「こころの病」が増加する一方の現代社会。こころの問題は、単に「脳の問題」ではありません。免疫系、つまり食べ物や腸内細菌までもふくめた、体全体の問題です。

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実は、オウンゴール?

目に見えないものは、心に映して、見る。

春らんまん、でも、今年の春は、世界中、いつもと様子がちがいますね。

電子顕微鏡で映された新型コロナウィルスの画像は、花粉のように見えます。

英語では、COVID-19 (Coronavirus Disease 2019) と命名されています。

丸くて、小さくて、草間彌生さんデザインのような、赤いツブツブ模様のついた服を着たコビッドさん。

ウィルスは、生物ではないの?

一般に、そう言われます。自力で生きているわけじゃない。代謝しない、複製しない、から、と。

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小さな時間の単位こそ

Small things add up.
小さなことが積みあがる。

頭に抱えこむと、積み上がるばかりでなく、複雑化してきます。デビッド・アレンさんは、こう言います。

「自分自身との約束が守れないことがストレスの原因。なぜ守れないかといえば、物事を頭に抱えこんだまま、処理する「しくみ」がないからだ。話を簡単にして、気楽にならなければいけない。脳は貯蔵庫ではない。頭を乱していることを書き出して、頭をスッキリさせること。一枚の紙とペンがあればできる。」

整理・片付け、事務処理にかかわらず、頭をクリアにすることで、大事なことを選ぶ、エネルギーを失わないようにすることがポジティブな効果を生む。これが、アレンさんのメソッド・GTD (Get Things Done)の基本思想です。

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時のかけら

エンパシームは、じかんの粒。そのイメージの原初体験になったのが「矢じりとり」です。

5歳の春。小高い丘陵をのぼっていくと、雑木林があり、そこは矢じりの宝庫でした。矢じりは、その辺に散らばっているものもあれば、地中に埋まっているものもあります。土を手で集め、竹のふるいにかけると、その中から小さな石のかけらが出てきます。

私の指の先でつまむような、小さなやじりがたくさん見つかりました。小さいけれど、先が鋭く尖った針のようでした。小さな動物を射止めるための矢じりだったのかもしれません。いえ、きっとこの川の渓流でハヤやアユを採っていたのでしょう。

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相互存在のじぶん

ティク・ナット・ハンはこう語ります。

一枚の紙がある。この紙は、紙でない要素といえる、多くの要素の結実であるように、
ひとりの人間は、その個人ではない要素で成り立っている

この紙の中に、雲が浮かんでいる。
雲なしには水がない。水なしには樹は育たない。樹々なしに紙はできない。だから、この紙の中に雲がある。

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心が映っている

なぜかわからないけれど、心が落ち着かない、複雑な気持ち。
そんな時、この絵は、すこし気持ちを和らげてくれるかもしれません。

一匹のアリが砂地を歩く様子です。アリが歩いた軌跡を描くと、こんなふうに見えるでしょう。複雑です。

ハーバート・サイモンはこう言いました。

砂浜上のアリの軌跡は、砂浜表面の複雑さであって、アリの内面の複雑さではない。
複雑にみえる行動も大体のところ、人間が置かれている環境の複雑さを映し出している。

「サイモンのアリ」の環境を、絵にしてみましょう。

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夢と共感

江戸時代の禅僧・明恵みょうえ上人は、月の歌人でもありました。

隈もなく 澄める心の 輝けば
  我が光とや 月思ふらむ

「隅もないほどに澄んだ心を月が見て、じぶんの光だと思うかもしれない。」
明恵上人自身が月になり、世界を見ている歌です。

古来、花を歌うのは、花になること、月を歌うということは、月になることでした。
明恵上人の心境にいたるのは、一朝一夕ではありません。
いえ、一朝一夕ごとに、ひとつずつ、共に感じる心を育むことなのでしょう。

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じぶんという素材

上田淳子さんのレシピーから、
「カリフラワーとホタテとオレンジのマリネ」。

「オレンジは果肉だけでなく、果汁の甘みをソースに生かします。焼いたホタテを先につけ込み、そのうまみが染み込んだオレンジソースに、生のカリフラワーをからめるとおいしくなります。」

シンプルな素材をシンプルに組み合わせるだけで!
「じぶん」がカリフラワーだったとしたら、どんなに楽しいことしでしょう。じぶんという素材が活かされていて、共演のみんなも喜んでいます。

すべての素材は、固有の存在

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多くを生きる

『生きがいについて』の中で、神谷美恵子さんはこう語ります。

ただ、呼吸しているだけでなく、生の内容がゆたかに充実しているという感じ、これが生きがい感の重要な一面ではないか。

ルソーは『エミール』の初めのほうで言っている。

最も多く生きた人とは、生を最も多く感じた人である。

私たちは、じぶんよりもずっと大きな「自然」に包まれています。宇宙の一部です。

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エンパシームへの路(1)

20年まえ私は、「ネット・スマホ」社会の黎明期の開発に関わりました。携帯電話・スマホの商品・技術開発、事業の責任者として、10年、グローバル企業の経営に従事しました。その後、8年にわたり、独自にエンパシームの研究開発、そのための発明特許取得、それを活かした「互恵協働の社会事業」の模索に専念してきました。

ここ至るまでには、多くの困難と失敗、葛藤がありました。また、多くの声援と激励、ご縁をいただいてきました。そして、エンパシームに携わり、日々、声のことばをじぶんにむけて放って、自分自身の使命に気づくようになりました。それは、この時代においてこそ、技術と日常の実践をしっかりと結んで、共感のつながる、あたらしい路をひらくことです。

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あとから、共感素ができる。

エンパシームって何? Empatheme 共感素(エンパシーム)と書かれているけど。

そのお話をします。

エンパシームは、呼吸のつぎ目や静かな間あいで区切りをつけ、自然な流れをつくります。この流れに委ねて「間」をつくり、声を残すと、その場を後から手にとるように、ふりかえることができます。

エンパシームは、共通の形式・単位でその流れを記録し、表現し、共有するためのメディアになります。ひと時の落ち着いた時間をもち、間をつくる体験を、エンパシームで共有することで、自然に共感の力が引き出されるからです。

そもそも、エンパシームという名前はどこから来ているの?

こういう経緯があります。

アンドレ・マルティネは、人間の言語における「二重文節の原理」を唱え、言語が持つ最小の単位を「形態素」(Morpheme)と、その形態素を構成する最小の音形を「音素」 (Phoneme)と呼びました。

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やり直せるチャンス

全米大学バスケットボールのコーチ・ジョン・ウッデンのことばから。

If you don’t have time to do it right, when will you have time to do it over?”
(ちゃんとやる時間がない?じゃ、いつちゃんとやり直すのかい?)

物事はきちんと、丁寧におこなうことで身につきます。でも、時間がないからできない。練習でも、つい、めんどうくさいところを端折って、一度ぐらい、たいした影響はないだろう、と考えたりするもの。

数秒のことなのだけど、それができない。あとでちゃんとやるから、大丈夫。本番の時は気をつけるから。誰にでもあるでしょう。

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共にいるよ。

哲学は、宇宙の真理探究である。

師と共に学ぶ。友と共に学ぶ。「共にある」という思いが、目に見えない大きな支えになります。その力によって、知識の習得だけではなく、知恵を身につけることができる。それは、楽しいときも、困難なときも、生きてゆく心を支えること。

日本の近代黎明期、井上円了は生涯をかけて、宇宙と心の「不思議」を探求し、その哲学を日本の隅々まで伝道しました。全国津々浦々、その数、5000回以上、人々に直接語りました。

哲学は、本を読むだけのものではなく、実践し活動するもの。生きる対象であるー。

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共感力を活かす

じぶんらしく、精一杯生きる。
そのために、じぶんひとりでできることは何か?

どのように生きなさい、という教え(道徳)や価値基準(教育)に対して、「じぶんが手持ちの力
で生きていくこと」を「倫理」として説いた人がいます。
その名をスピノザと言います。

人間の本質とは、その人の自然な力が発揮されることである。
スピノザは、人間の「じぶんらしい」の本質的な性質を「コナトゥス」と呼び、ひとりひとりの「コナトゥス」を大切にできる自由について説きました。

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やさしく、つつむ。

Dream Snow by Eric Carle.

エリック・カール『ゆめのゆき』。
小さな農場でおじいさんは、5匹の動物を飼っていました。 そこで、動物たちに、イチ(One)、ニィ(Two)、サン(Three)、シィ(Four)、ゴー(Five)という名前をつけました。

おじいさんは、毎日、一生懸命、イチ、ニィ、サン、シィ、ゴーの世話をしました。 えさをやり、そうじをして、夕方仕事がぜんぶすむと、 じぶんの家にもどりました。 そして、いちばんお気に入りの椅子にすわって、 あついミントティーをのみ、はちみつをぬったパンをたべました。

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向き不向きより、前向き。

ある人から、こんな話を聞きました。
「これ、自分に向いていないなーとか、よく聞きますね。だから、「やらない」ってね。不思議ですよね。自分に向いていない、って何でわかるんでしょう。まだ、何もしていないうちに。」

「自分に向いていないことは、やらないほうがいい。」誰かそんなこと言ったんですか?格言にあるの?
「自分に向いている、向いていない」っていう架空の条件づけね。「やりたくない」理由を自分でつくりだすから、何にもなかった話が、それで厄介なものになっちゃいますね、私が思うに。」

「あ、私の仕事?倉庫のマネージャしています。たくさん、ものを運ぶ仕事です。頭も使いますよ。でね、
よく、言うんですよ。」

向き、不向きより、前向き

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かけがえのない、このじぶん。

数学者・遠山啓さんと、ある高校生の往復書簡から、原文を抜き書きしてみます。

「一面識もない先生にとつぜんのお手紙をさし上げるのはなんとなく気がひけましたが、思い切って書きました。半年ばかりまえに、先生の講演をきいたことがあります。お話のなかで、先生がテストの点数なんかで人間のねうちをきめるのはまちがいだ、という意味のことを話されたのを覚えています。

ぼくは高校二年生です。ある悩みがあります。ぼくは生まれつきのろまなのです。何をやるにも人一倍の時間がかかります。ぼくはにんじんよりみじめだと思うことがよくあります。高校を出たら、どこか遠い田舎にある窯元をさがしだして、そこで修業したいのです。ご意見をお聞かせください。」

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「に」は、表れる。

市川浩さんは、こう言いました。
「相手がにっこりすると思わず私もにっこりします。これは相手がほほ笑んでいるから、こちらもほほ笑みかえさなければ礼儀上悪いと思ってにっこりするわけではありません。
相手のほほ笑みをみると、こっちも思わずほほ笑んでしまう。
他者の身体というのは、表情をもった身体であり、私の身体もまた気づかぬうちに表情や身振りでこれに応えています。
これがいわゆるノン・ヴァーバル・コミュニケーションですが、もしこうした間身体的な場の共有がなければ、言葉のうえでは話が通じても、心が通わないでしょう。(*注)

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あたりまえフィルターをはずす

画家・熊田千佳慕のことばから。

心の目、心の耳、心の口。

虫や花の美しさを愛することのできる目。
虫や花の言葉のわかる心の耳。
虫や花に自然に話しかける口。

ほぼ百年の生涯に、身の回りの自然を描き続けました。
このように聞くと、それはきっと、じぶんにはできない特別な才能だったのだろう、と思えますね。

でも、同時に、こうも思えます。

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勇気は小さな夢に

大きな夢と、小さな努力。
小さな夢と、大きな努力。

祭壇の壁に貼られた墨の書体。それが目に入ってきた瞬間、そのことばと再会した。
40年前、中学校時代に、確かに聞いた、ことばだ。

高橋先生は、私の数学の恩師である。
問題を解くだけでなく、問題をいっしょにつくり、共に考える体験を授けてくれた。

大きな夢。それには小さな努力の継続がいる。
小さな夢。それには大きな努力と勇気がいる。

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謙虚、思いやり、感謝の心。

ダン・オキモトさんのご縁で、シリコンバレーにお見えになった山中伸弥先生のお話を聞く貴重な機会を得た。

山中先生は、「26才の時に父を肝炎で亡くした、その時の無力感」が科学者としての出発点であり、より所になったとお話になった。ミシン開発者のお父上は、病床で、あとをつがずにサイエンティストをすすめ、そのお父上の死が外科から研究に向かわせたのだと。

先生が大切にしていることばは、このふたつ。
おかげさま
身から出たサビ

よいことは他人に感謝、うまく行かないのは自分のせい。お母上のことばをそのまま、シンプルなモットーにして、大切にしている、と。

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心はどこにあるの?

こんな会話を思い浮かべてみます。

の:もう疲れちゃったよ、ドラえもん。
ド:えーっ、のびちゃん、もう疲れたの?
の:こんなに石段があるなんて。
ド:のびちゃんがお寺に来たいっていうから。
の:もうたくさん見たよ。で、お寺はどれなの?
ド:どれって、今いるところじゃないか。
の:どれどれ?この石段?あの鐘?仏像?おさいせん箱?それとも、お坊さんのこと?
ド:その全部でお寺っていうんだよ。
の:お寺ってものはないの?
ド:どれがお寺、じゃなくて、全体でお寺。建物も仏像も、お坊さんも、お経も。この雰囲気もお経もみんな含んで、お寺っていうんだよ。
の:なーんだ。早く言ってよ。
ド:だからこうして来たんじゃないか。
の:お寺って、ひとことで言えるのに、こんなに歩かないとわからないんだね。

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了海になった日のこと

絵に描けるほど、目に焼きついているシーン。声がきこえてくるような思い出。
そう聞かれたら、何が思い浮かびますか?

私は、ある紙芝居です。

その日は、天神講の集まりでした。小学校にあがる直前の、うららかな春の日。
天神講は、天神さま、菅原道眞のおまつりです。
同じ地区のこどもが、年長の小学生の家に集り、丸一日遊んで過ごすので。10人の小さな集い。

天神さまへのごあいさつをすまして、さっそく遊びます。そのいちばんはじめが、紙芝居でした。

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他になにができる?

What else can you do?
他に何ができる?

ロジャー・フェデラーさんは、あるインタビューでこのように語りました。

「どんな選手も、毎週毎週、勝てるわけではない。調子の出ないときはいくらでもある。でも、何も心配はいらない。じぶんの練習にもどればいい。それを続けるだけ。失うものは何もないよ。」

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痛むから、じぶんを学ぶ。

People will remember how you made them feel.

「私は学びました。人は、他人のことばや行動は忘れてしまいます。でも、人のことばやふるまいで、どんな気持ちにさせられたか。それは忘れません。」

I’ve learned that people will forget what you said, what you did, but will never forget how you made them feel.

マヤ・アンジェロウさんのことばです。

日頃、私たちは、このことを、いろんなところで経験していると思います。
その態度が気に入らない。そんな言い方ないよね。他人行儀、舌先三寸、上から目線、不遜な態度。よそよそしい、えらそう、ごますり、などなど。
人に対して、心のないふるまいをじぶんがしてしまう時。無神経な態度を、人に取られる時。どちらもあるでしょう。

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1本のロウソクになる

『ロウソクの科学』は、マイケル・ファラデーが行なった青少年のためのクリスマス講演の記録です。

科学を学ぶのに、1本のろうそくほどすばらしい教材はありません。

ロウソクは、自分自身の力で光り輝き、自らを照らし、ろうそくをつくった人をも照らすのです。

ロウソクの燃焼で起きていること、私たちの呼吸によって身体内で起きていることは同じである。
ファラデーはそのことを、さまざまな実験で明らかにしました。

異なる物質どうしが親和して、化学物質をつくりだす様子は、すべてのいのちあるものと、じぶんとがつながっていることを、想像させてくれます。

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わけへだてをしない

どうしたら、心は自由になれるのでしょうか? 『荘子』に、こういうことばがあります。

常に自然にりて生を益さざる。

「自分にとって何のためになるかということを考えるのではなく、物事の自然に従って生きなさい」という意味です。

自分にとってよい・わるいという「わけへだて」をしない。どんなをことをしたらよいのでしょう?

『荘子』に、「胡蝶の夢」と呼ばれる寓話があります。
ある時、荘周(じぶん)は夢の中で蝶になっていた。心ゆくばかりにひらひらと舞う蝶の身になって、じぶんが荘周であることを忘れていた。

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手にとって小さな変化が見えること

アリストテレスは、こう言いました。
We are what we repeatedly do.
(いつもくりかえしすることが、じぶんという存在。)

人生は、習慣の蓄積からできている。何かに秀でるということは、行為ではなく、習慣である、と。

「すべては、小さいことの積み重ねなんですよ。」こんなセリフをどこかで聞いたことがあるでしょう。
そして、納得したり、少し反省したり、しますよね、そうだろうま、まず習慣を身につけないといけない、と。

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こわれて、はじめてわかる。

陶芸に勤しむユキさんから聞いた話です。
「今日、とてもいいことがありました。陶芸のスタジオで、先生からもらったアドバイズ。先生は、言い方が少しきついんですけど、本当によかった。はじめて、気がついたんです。

筒あげと呼ぶのですが、ろくろにのせた土の塊を引き上げつつ、均一な厚みを保つ作業。努力しても、完璧はむずかしい。どうしても底にある土を最大限に引きあげることができない。それで、私、そこまでできません、といったところ、先生がこう言いました。

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共感を、うつす。

ある写真の鮮明な記憶がある。

『ライフ』に特集された『排水管から流れ出る死』。ユージン・スミスは水俣の人々と共に暮らし、被害者家族との関係を築きながら、共同体の内側をを表現した。母に抱きかかえられて入浴する娘は、四肢全身が麻痺し、目も見えず耳も聞こえない。環境汚染による水銀の鉱毒が人間の中枢神経を破壊する事実。公害の被害者・遺族にふりかかった苦難の現実。その中で生きる人間の勇気。

古からいのちをつないできた土地の名前が「病気の名称」となり、それが「救済の線引き」対象にされたミナマタ。共に生きる人間に対しても、自然に対しても、「共感のまなざし」が欠乏する社会の現実。妨害の暴行にあって脊椎を痛め、失明しながらも渾身の仕事を続けたスミス自身はこう綴る。

写真は小さな声に過ぎない。だが、一枚の写真が人の心に響き、感性と理性の触媒となって、遠い人々への理解や共感をもたらすこともある。

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毎日が贈りもの。

Everyday is a gift.

毎日が、贈りもの。

本川達雄さんは『ゾウの時間 ネズミの時間』で、こう語ります。

「動物が変われば時間も変わるということを知ったときは、新鮮なショックを感じたものだ。時間は唯一絶対不変なものだと、あたまから信じ込んできたのだから。」

ゾウとネズミ。動物のサイズが違うと、ふるまいの速さも寿命の長さも違う。つまり、動物ごとに、時間の流れがちがう。どこに住んでどのように暮らすかも、身体のサイズと関係がある、と。

ところが、一生で脈を打つ回数や、体重あたりの総エネルギーは、サイズにかかわらず同じなのだそうです。
心臓の拍動総数が決まっているって?心拍数には個人差もありますが、平均寿命を生きるとすると、15億回から20億回とか言われます。

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みんな、そう言います。

「あのぉ、今お使いの棒、何て呼ぶんですかね。それで歯をガリガリやっても、削れないんでしょうか?」

今さら、聞くのものなんだが、口をついてその質問がでてきた。何でも聞いた方がいいとわかっていても、聞くほどのことではないと思えたりもするのだが。

「そうそう。みんなそう言いますね。大丈夫ですよ。歯石を取るだけ。歯は傷つけませんから。」

歯の検診の一シーンです。歯医者さんに行った人なら、この器具が口の中で奏でる反響音をご存知ですね。

じぶんが「歯」だったとしたら?
上下の二列になり、並んで検査を受けている。

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葦になる

人間はひとくきのあしにすぎない。

それは自然のなかで最も弱いもの。だが、それは考える葦である。

「人間は考える葦」ということばでよく知られるパスカル『パンセ』の一節です。

「動物や植物とは違って、人間はよく考えることができるから、人間が自然の中でいちばん偉い」という意味ではありません。

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I am blessed

I have been blessed with many gifts.

ある日、隣人のアート・テイラーさんが語ってくれました。
一日一回、言っているとね、そのことばが出てくるんだ。

アートさんは、毎日、エンパシームに、たくさんのseedを残します。

いいことばは、たくさんあるよね。ほんとに、たくさんある。
文字でみるとね、聞いたことがあることばばかり。
でも、肝心な時に出て来ないね。ふだん声に出して言ってないと。

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姿勢は考えるもとになる

考える姿勢について、考えてみます。のびドラ風に。

ドラえもん:のびちゃん、人間は「どこで」考えてると思う?
のび太:頭の中でしょ。
ど:じゃ、知性は「頭の中に」あるのかな?
の:そうじゃないの?
ど:実は「動き」の中で考えるんだ。アクションによって外界との相互作用ができる。そこで考える。
の:でも、考えているのは、頭でしょ?脳みそで。
ど:脳もその一部。でも、体があって、動きがあって、環境とやりとりがないと、考えることがないよ。
の:じぶんの体を使わないと、わからないってこと?。
ど:そう。自分中心じゃなくてさ、環境にいることで考えるんだ。だから、体の延長となる道具も思考のうち。
の:だからドラえもん、いっぱい道具があるんだね。

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迷いなさい、未知に出会えるから。

『アランブラ宮の壁の』 岸田衿子

アランブラ宮の壁の
いりくんだ つるくさのように
わたしは 迷うことが好きだ
出口から入って 入り口をさがすことも

* * * 

スペイン南部のグラナダにあるアルハンブラ宮殿。
La Alhambraとつづります。アは発音せず、ラ・アランブラです。アラブ語の、夕陽に映える「赤い城」という意味です。

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お地蔵さまは、じぶんの鏡。

ある日、電話をとると東北なまりの強い男性からの声。
「わたしは戦争で耳がきこえなくなりました。耳によく効くお地蔵さまがおられたら教えてください。」
「耳のお地蔵さんですか?…」
「片方の耳がほんの少しきこえるので、何とかお話できるのです。もうダメだと諦めているのですけど。もしやと思って先生におたずねします…」

市井の石仏愛好家に何ができるというのだろう。相手が満足できる答えなどない。お医者さんにも見放された人が頼ろうするのは、路傍に立っておいでのお地蔵さまなのか、それならば、こころを決めよう。

「私の住んでいるところには耳専門のお地蔵さんはいないのですが、でもどこかにいらっしゃるはずだから探してみましょう。お宅の近くにお地蔵さんはいませんか?きっと小さなお堂か雨ざらしになっている石のお地蔵さんがおいでになると思うので、毎日お詣りにいらしてくださいな。一生懸命お願いすれば、きっと願いを叶えてくださいますよ。」

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声が、心身をつくる。

心身が声を生み出し、その声がまた心身を作る。

山崎広子さんは、このように言います。

「あなたの声があなた自身に与える影響こそがもっとも大きい。人は食べたもので身体が作られます。栄養のある新鮮なものを食べていたら健康になるし、ジャンクフードを食べていたら身体もそうなりますよね。

自分が出し続ける声は、食べ物のように取り込まれ、それによって心身が作られるのです。心身にとっての声も同じです。「本物の声=オーセンティック・ヴォイス」を出し、それを聞き続ければ心身もオーセンティック、つまり真実性のあるものになっていく。作り声を出して聞き続けていれば、心身も作り物、まがい物のようになっていきます。 

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水滴のじぶん

私の体、私の心、私の命。
私の健康、私の幸福、私の人生。。

こうして並べてみると、なんだか、みんな自分の「持ちもの」のように聞こえます。そういう言い方に慣れているから、忘れているのかもしれません。

本当は、じぶんという「身心」は自然の一部であるということを。

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身をもって、じぶんに関わる。

「何をやるにも、時間がない。目的意識を持ち、計画を立て、時間をもっとうまく管理しなくては!」

忙しく、スケジュールいっぱいの毎日。ふだん、そんなふうに思っていますよね。しかし、時間を管理するとは、一体、どういうことでしょうか。時間は、管理するどころか、直接何かできる対象ではないですね。

トニー・シュワルツさんは、こう言います。

It’s not time. It’s energy.
「時間管理ではなくて、自分のエネルギーの活用。
個人でも組織でも、手持ちの力を使えるかどうか。」

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素の力

「素」ということばほど、とても身近で、大事なことばは、他にあまりないかもしれません。

素とは、手を加える前の、もともとの、自然のままの、素(もと)になるものです。物事の、はじまり以前の、シンプルな、姿、形、質。

素のつくことばをあげてみましょう。

素手、素顔、素肌、素足、素心、素ぶり。
素直、素朴、素人。素性、素養、簡素、質素。素地、素材。元素、要素、素子。素敵な、素晴らしい。

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声にもありがとう

声は、空気のつぶ。

の:ねぇ、ドラえもん、声は何でできているの?
ド:声は空気のつぶだよ。
の:つぶなの?
ド:そう。音は気圧の変化。その繰り返し。
の:この声はどこから出てくるの?
ド:肺から押し出されてくる。空気の気流。
の:気流なの?
ド:横隔膜を押し上げると上昇気流ができる。
の:ふーん。
ド:のどは狭い菅。声の門がある。気流がそこを通りぬけると 両脇のヒダが振動するんだ。
の:それが声なの?

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じぶんを手入れする路をこしらえる

創意工夫をして、こしらえるのが、愉快。

中学生の頃、井深大さんのこのことばに出あいました。ことばの響きだけで、いい気分になりました。

他人がやらないことに全力を注げ
The One and Only (唯一、無二であれ)

そこにこのことばが重なり、私はソニーに入社しました。いまでも「じぶんひとりでも、だれもしないことをするんだよ。」というふうに聞こえます。

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共感素を、みんなでつくろう。

すべての物事は共感しあっている。
心はつながっている。じぶんという存在は、みな共に、その中にある。
このことを、身をもって体験でき、その実感を身近な日常に活かせたら、きっと世界はちがって見えるー。

世界は「共感素」でできている

思い切って、声に出して、毎日じぶんに語ることで、わたしは気づきました。
共感素とは、相手とじぶんを結びつける瞬間のこと。ものでも、生きものでも、人間でも、自然でも、じぶんがふれあい、関わるものすべてが相手です。
その小さな実感を捉えることができたらー。

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もともと、つながっている。

メルロ=ポンティは、こう言います。

共感とは、私が他者の表情の中で生き、また他者が私の表情の中で生きているように思う、というその単純な事実のことである。

相手の表情にふれた時。私によってもたらされた雰囲気がありありとしている。
また、私の表情の中にも、相手の様子が反映しているだろう。

そのようなことが、日常、いつでも起きている。
共感は、自己意識と他者の意識との本式の区別ではなく、むしろ自己と他者の未分化を前提にするものである。

共感は、じぶんと他者がつながっていること、そのもの。

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近づいて手にふれて、夢中になる。

Like a boy playing on the seashore.
(海辺であそぶ少年のように、生きた。)

死の直前に語ったと伝えられる、ニュートンのことばです。
「世間は何て言うか知らないけれど、私は海辺で遊ぶ少年みたいなものだった。ちょっとなめらかな小石があったり、きれいな貝殻があったりすると、それで夢中になっている。真理の大海が手つかずのまま、目の前にあるということも忘れたままで」

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共感という「ふしぎの力」

恩師の高橋先生が亡くなって1年近くになる。先生の家を訪れる野道、菜の花が昨春と同じように咲き乱れている。

40年ぶりの再会を果たした1年前、先生は、笑顔いっぱいのことばで私を励ましてくれた。

「あの日からしばらくして容態を崩して、みんなが見守る中でね、静かにバイバイって手をふるように亡くなったの。」
奥様の京子さんは、静かな微笑みを浮かべ、そう語ってくれた。

昨春、突然思い立って、先生に会いに行き、40年を凝縮するかのように、共に時間を過した。
「ふしぎ」の力が働いていた。

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かけ声の力

あまい あまい かぶになれ
おおきな おおきな かぶになれ
うんとこしょ どっこいしょ

聞いたことがありますか?

『おおきなかぶ』
ロシア民話をトルストイが構成し直して、絵本になりました。

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そのように、声に出すこと。

ソクラテスはこう言いました。

ただ生きるのではなく、よく生きよ。

どのように自覚し、それを表現するかは人それぞれでも、だれにも、そのような願いがあります。よく生きるとは「上手に生きる」ことでしょうか?

汝(なんじ)を知れ。

ソクラテスは、「じぶん自身を知ること」だということばを残しました。 そして、そのためには、どうしたらよいか?

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その場になれば、思い出す。

「ルーティンを忘れることもありますよ。」
あるテニスプレイヤーのコーチから聞いた話です。

コート、天候、対戦相手、自分の調子。いろんな状況がある。選手は状況に応じて心を落ちつけられることが大切。無意識にできるように、日々練習を積んでいる。決まった所作を繰り返して身につけることで、「覚えている」ということを忘れているかのように。それが、ルーティン (Routine) 、「作法」です。

私たちの日常にも、実は色々なルーティンがあります。例えば、歯磨き。わざわざ、覚えていなくても、忘れることはほとんどありません。覚えている、ということを忘れているぐらい、身についています。

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それ、じぶんかも?

おもしろいミステリー・サスペンス映画といえば?
何と言っても、予想外の展開、意外な結末ですよね。大どんでん返し、なんて言いますね。その中でも、いちばん意外な結末は、というと?

それは、「なんと、犯人は自分だった!」です。

主人公に共感を抱きながら、誰だろう、なぜだろうと、ドキドキ緊張しながら、すっかり映画の中に浸ったところで、突然、話が急展開します。

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だれの都合で探してますか?

こんな話があります。

ドラえもんとのび太の会話風にやってみます。

ド:のびちゃん、何を探しているの?
の:財布落としちゃったんだよー。
ド:あ、それはたいへん。
の:ドラえもんも一緒に探してよ。
ド:どこで落としたの?
の:あの暗い道で。
ド:えー!? じゃ、なんでここで探してるの?
の:だって、あそこは暗くて何も見えないよ。
ド:落としたのはあっちなんでしょ??
の:ここは明るくて地面がよく見える。

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落花生の都合

それにしても、落花生は不思議な植物です。地中にカプセルをつくって身を結ぶ花。なぜだろう?

落花生農家のおじさん曰く:
なぜって言われてもねぇ。カプセルができるから、実ができるんだ。カプセルができないと実にはならない。もしかして、あれかい?なんでわざわざカプセルを地面につくるのかっていいたいの?空中にぶらさがったカプセルができて、そこに実ができればいいんじゃないかってね。

そうじゃないんだなぁ。カプセルができることと実ができることは同じこと。土の中だからね、カプセル。空中だったらカプセルいらないだろうね。

落花生にもね、都合があるんだな。人間の都合じゃなくてね。

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窓をあける

窓をあけよう。

よく、「風通しをよくする」といいますね。
窓を開けることです。
自分自身を「気づきの窓」を見立てた、「ジョハリの窓」と呼ばれるモデルがあります。心理学的な、対人関係や自己分析に使われます。

・「自分が知っている / いない」を横軸
・「他人が知っている / いない」を縦軸

このふたつの軸を組み合わせると、このように、4つの領域ができます。この4つが自分の窓です。

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かえられるのは、じぶんのいま。

日頃、思うようにならないことや、息のつまりそうなことが、いろいろありますね。

でも、身の回りの世界を変えることはできません。
どうしたらよいのでしょう?

こんなことを言った人がいます。
You can only change your next action.

(物事がどうあれ)自分の次の行動だけは、自分で変えることができる。それだけが、できること。

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『知魚楽』に共感

中国の古典『荘子』にこういう話があります。
荘子:魚が悠々と泳いでいる。あれが魚の楽しみ。
恵子:君は魚でもないのに、どうしてわかる?
荘子:君は僕じゃないのに、僕が魚の楽しみをわかるかどうか、わからないだろう。
恵子 :僕は君じゃないから君の心はわからない。
でも君だって魚じゃないんだから、魚の楽しみはわからないだろう。

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ひらめいて、ゆっくりと、ひらめく。

ダニエル・カーネマンさんは、人間の思考の特徴を「速い・遅い」という比喩を使って説きました。
脳内の情報処理を二つに区別します。

システム1:速い思考。直感的に情報を処理。
システム2:遅い思考。意識的に情報を処理。

日常生活の大半は、無意識的に行なっています。意識せずに、物事を一瞬で把握するシステム1です。歩いたり食べたりするのに「考えない」。
気づいていないだけですが、無意識は、生まれてからこの方、学び、身につけてきた大切な力です。

一方、システム2。意識的に考えることによって物事を理解したり、判断したりします。こちらも、「人間らしさ」の特徴です。

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いのちのつぶを注ぐ

日野原重明さんは『十歳のきみへ』でこう語ります。

「寿命とは、生きることに費やすことのできる時間です。それは、生まれた時に、平均寿命に見合った時間をぽんと手渡されるようなものではありません。わたしがイメージする寿命とは、手持ち時間をけずっていくというのとはまるで反対に、寿命という大きなからっぽのうつわのなかに、せいいっぱい生きた一瞬一瞬をつめこんでいくというイメージです。」

からっぽのうつわのなかに、いのちを注ぐこと。それが生きるということ。

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さかなの気持ち

絵本『さかなは さかな (Fish is Fish) 』から。

ある森の池に、一匹のさかなが暮らしていました。同じ池で一緒に暮らしていたおたまじゃくしは、やがて、かえるになり、水中から陸にあがっていきます。かえるは、陸上の世界を見て帰ってきました。かえるはさかなに、鳥のこと、牛のこと、人間のことなど、陸上の世界について楽しそうに語ります。

さかなは想像を膨らませ、ついに、陸に上がろうと勢いよく飛び跳ねました。が、陸では息ができず、動けません。さかなは助けられて、水に戻りました。

さかなは、さかな

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野花はともだち

牧野富太郎『植物知識』より。
われらを取り巻いている物の中で、植物ほど人生と深い関係をもっているものは少ない。まず世界に植物すなわち草木がなかったら、われらは決して生きてはいけないことで、その重要さがわかるではないか。

われらの衣食住はその資源を植物に仰いでいるものが多いことを見ても、その訳がうなずかれる。植物に取り囲まれているわれらは、この上もない幸福である。

自然の宗教!その本尊は植物。
なんら儒教、仏教と異なることはない。

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ふしぎのおかげ

おどろきは、知ることのはじまり。
「知」は、おどろくことからはじまるー。

おどろくとはどういうことでしょう?

こんな会話を思い浮かべてみます。

の:よーし、これから驚くぞー。
ド:のびちゃん、自分ひとりで驚くの、ムリだよ。
の:どうして?。いっぱい驚いて頭よくなるんだ。
ド:うーん。じゃ、まずやってみればいいよ。

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共感のふるまい

「生涯、行うべきことをひとことで言うと何でしょうか?」

「論語」の中で孔子は、弟子の子貢に答えて言います。

それは「恕」(じょ)。おもいやりである。

相手の身になること。

じぶんがされたくないことは、人にもしてはいけない。

相手に身になる心、「恕」。それは、じぶんの中から表われ出る共感の心。

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いのちを、いただく。

もぎたてのトマトの瑞々しい香り!

天の恵みとは、このこと。
地の恵み、光の恵み、風の恵み、水の恵み、育てる人の恵み、共に味わう人の恵み、いのちの恵み。

身体全体でじんわり染み込む味わい。
このひと時に、恵みが映っています。

Count your blessings.
 (恵みの数をかぞえよう。)

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腸のじぶんに、共感。

人間の体を構成する細胞は60兆個。ところが、微生物は腸内だけで100兆個。腸内はサンゴ礁のような生態系。ちょっと、驚きですが、本当の話。

細胞は自分の身内、細菌は他人?それとも、「他人のほうが多いわが家」の方が自分?なんだか、不思議ですね。

この内なる生態系をマイクロバイオータと呼ぶそうです。身体全体で1000兆ぐらい微生物が住んでいるらしい。なるほど、そうだとすると、その「環境」を表すことばが必要だった、というのはわかる気がします。

アランナ・コリンさんは言います。

じぶんは、チューブのようなもの。

「人間は、独立した存在というよりも、マイクロバイオータの容器である。進化で(つまり自力で)やろうとすると、とてつもなく長い時間がかかることを、微生物にお願いして、一緒に暮らすことになった。栄養の摂取は、微生物自身の酵素の働き。わたしたちは腸と共に生きているー」

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じぶんが、欠けている。

『The Missing Piece』の主人公ぼくは、自分に欠けた部分「ミッシング・ピース」を探しに旅に出ます。
野山を超え、海を超え。花やカブト虫、いろんなピースに出会いますが、ぴったりの相手がいません。

ようやく、出会えました!ところが、ミッシング・ピースを探していた時のような楽しみがなくなってしまいました。足りないものを探している時のが幸せだったのです。ぼくは、また欠けた自分にもどりました。

自分のミッシング・ピースを探すストーリー。そのさかさまの絵を描いてみました。小さいピースが、じぶん。いえ、そのまわりもふくめて、じぶんです。

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希いとドリル

「ドリル」と聞くと、何を思い浮かべますか?

電動ドリル?計算ドリル?マーチングバンドのドリル?防災・避難訓練のこともドリルと言います。
アメリカでは、トルネード(竜巻)ドリルもあります。

これらは、みな、おなじ「ドリル」です。電動ドリルは、小さな穴をあける工具ですね。
避難訓練は、火事や地震に備えて、避難する予行演習です。

共通点があります。それは、「一点集中」です。ドリルが一点に穴をあけるように、ひとつのテーマに絞り、繰り返し練習すること。
ドリルとは、一点集中の反復練習のことを言います。こんな諺があります。

雨だれ石を穿つうがつ

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Life is in the giving(プラクティスの秘訣)

Life is in the giving.

アートさんの、日々の seedから。
Getだらけだからね、世の中。日常の頭の中も。ホント、バランスが悪いよ。Life ということばは、こうして「生きていること」もあるけれど、これからも「生きてゆく」って意味だよ。

Giving。あげること。捧げること。その中にね、じぶんが生きていることの証があるよ。それはね、こうして、声ことばではっきりいうからこそ。

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『英プラの路を共にゆこう1』

プラクティスを身につける路

いま、ある路をつくっています。だれもが歩ける路。仲間と共に歩ける山路のトレイルのように。まず歩いてみる。すると、名前も知らない美しい野草や、いろいろな鳥の鳴き声、小さな生きものが活動する姿に出会います。ふりかえると、後ろにじぶんの歩いたところが、路になったよう思える。

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毎日がプラクティス

新春の静かな山路。トレイルを歩いていて、こんな光景に出会いました。

ひょっこりと穴から顔を出しては、草をかじり、また穴に。するとまた、穴から半身のり出して、草をムシャムシャ。脇目もふらず、何度も何度もくりかえす夢中な姿は、少しぎこちない感じで、なんとも愛らしい。すぐ目の前で見守っているうちに、こんなことばを思い出しました。

歩く前に、走ることはできない。
ダナ・サスキンドさんは、こう言います。
「歩けるようになる前に、走ることはできないように、聞こえるようになる前に、話すことはできない。乳児の言語能力獲得は、声のことばに触れる回数、その家庭環境に依存する。3歳になるまでに3000万語のことばが入力されることで脳が発達する。」

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つぶのメタファ

目に見えない世界。

想像とは、見えるものを介して、見ようとすることです。見えるかようのようなふりをすることです。あたかも見えているような、その気になって、じぶんと結びつけることです。フリをするというと、なにかの演技のように聞こえるかもしれませんが、実は、想像するというは、絵を描くように、演じていることなのです。

Imagine (想像する)ということばも、真似をする、ふりをするという意味と同じ語源のことばです。脳の仕事は、「演じる仕事」をすることです。でも、脳だけではありません。環境の中で物事とふれあい、相互作用が生まれる時、そのフリができるのです。

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ゆだねる、ひたる。

「生ハム・メロン」とよばれる料理があります。
ほどよい大きさに切ったメロンの生ハムがのり、オリーブオイルのかかった、シンプルな料理です。

スペイン産・イベリコ豚の熟成生ハムはJamón (ハモン)、イタリア産の生ハムはprosciutto (プロシュート)と呼ばれます。生ハムにメロンをあわせるのか、メロンに生ハムを添えるのか、いずれにせよ、オリーブオイルとあわせた、3つの素材が調和して、それぞれの風味を引き立てます。

はじめて、完璧に熟れたメロンスープの中に、熟成ハモンに出逢った時のことです。衝撃的でした。

メロンスープの海に浸っている!

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念ずる先にある日

クイズをひとつ。

人生には、二日、重要な日がある。

ひとつは、生まれた日。では、もうひとつは?

このふたつには、切っても切れない関係があります。ひとつめがあるから、ふたつめも「ありうる」のですが、それは未だ、訪れていない日かもしれません。

ふたつめの日が訪れたときに、ひとつめの日ができる、ともいえるのかもしれません。

生まれた日のことを覚えている人はいませんね。それなのに、あとから、さかのぼって、重要な日のひとつめとなるのは、ふたつめの日が、訪れるからです。

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共感のまなざしがじぶんをつくる

澄み渡った秋の夜空にくっきりと浮かぶ月を見上げて、谷川健一先生を思い出す。

多くを生きるとは、多くを感じること。

それは宇宙に脈動し遍満する生命のリズムを感受すること。

これまで私は、谷川先生のことばに勇気づけられ、「独りで学ぶ」ことを学んできた。

心がひらかれていれば、何とでも、つながれる。

共感のまなざしと姿勢が、じぶん自身をつくる。

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あとから、種になり、芽生える

私が20歳の時、父は病床に伏しました。脳梗塞の後遺症で運動神経が麻痺し、半身不随でした。目も耳も意識も明瞭でしたが、「声のことば」を発することができませんでした。構音障害という病気です。

「声ことば」は、肺からの気流を、声帯で振動でさせ、ノドや口・鼻で共鳴させ、舌や顎によって、区切りをつける身体運動です。声の「つぶ」が連なり、空間に濃淡がつく現象。それが、失われていました。

父が他界するまでの5年間、「ひらがな文字盤」が声ことばのための道具でした。父の左手を支え、指先がひらがなにふれるごとに、私が一音ずつ発音します。息づかい、目くばせ、うなづき、表情。雰囲気の中の「ひらがな列」を、共に話し、共に聞くのです。

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地球とサッカーボール

の:ねぇドラえもん、ナノってどれぐらい小さいの?
ど:10億分の1とかいってもピンとこないよね?
の:わかんない。すごく小さいんでしょ。
ど:じゃ、地球はどれぐらい大きいと思う?
の:わかんない。すごく大きいよ。
ど:のびちゃん、地球になったつもりで、いいかい?
の:地球?いいよ。
ど:このサッカーボールぐらい。
の:へぇー、小さいねー
ど:クロトーさんの絵本にあるよ。

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静寂の開放感

アルプスの山麓、イタリアのピエモンテ州。

幾重にも重なりあう葡萄畑の丘陵の合間を縫って車を走らせ、ようやくたどり着いた。

煙雨にひっそりと佇む、ロマネスクの修道院。周りに人家はなく、人影も見えない。ゆるやかな谷の傾斜に立つ修道院は全身がレンガ色で、雨にしっとり濡れた屋根の所々が光ってまだら模様に見える。すぐむこうの森は霧に包まれて、その先は何も見えない。

何という静寂だろう。

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やわらいで、ゆっくり

ストレスは、心身の健康に大きな影響を与えることが知られています。精神的なストレスは、心臓や血管に影響を与え、自律神経失調症をきたしたり、命に関わるいろいろな病気の要因にもなります。

それでも、「ストレス」をなくすことはできません。
なぜかといえば、ストレスは、私たちの身体の反応だからです。じぶんの一部なのです。

「ストレス」の発見者であるハンス・セリエはこう言いました。

「すべてのストレスは、私たちに傷跡を残していく。でも、それは同じようなストレスに襲われた時に今度は私たちを守ってくれるもの。ストレスというものが存在しなければ、人間は滅んでいただろう。」

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空気つぶの海で

の:ドラえもん、音って何だっけ?
ど:空気分子が運動してできる気圧の変化のこと。
の:気圧?天気予報みたいに?
ど:そう、空気の状態。それをどう感じるか。
の:音は波だってきいたよ。
ど:動きが波のように伝わって、濃淡ができるだね。
の:波が飛んでくるじゃないの?
ど:つぶがぶつかりあい、波のように伝わるかんじ。
の:波線みたいなのがやってくるのかと思ってたよ。
ど:絵にする時に、そう表現するだけだよ。それにあうようにグラフの目盛りをつくって。
の:何で聞こえるの?
ど:耳はすごいんだよ。気圧の変化の全部じゃないけど、耳は速い気圧変動には敏感なんだ。
の:ぼくの声も気圧の変動になるの?
ど:そうだよ。喉の奥、声帯のふるえで。人間の身体でいちばん速く動く筋肉。1秒に何100回もね。

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すぐにイメージできること

リチャード・ワーマンさんは、こう言います。

You only understand something relative to what you already understand.
すでにわかっていることに関連づけたことしか、わからない。

いくら情報があっても、情報自体は、何も言ってくれません。自分でつながりをつけないかぎり、情報にはならないということです。

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共感をあじわう

おいしーい !

それを言わずに、食べることができない。
そんな時ってありますよね。

じんわり、しみてきて、ほんとうに、おいしいの。
それを「声ことば」にしないままでいるなんて。

五感のすべてが活かされています。
私たちはみな、この世に生まれてからすぐに、そのことを身体で表現したのだと思われます。

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縁の路へ

その声は、とても穏やかだった。
「このまま、ずうっと続いていくみたい。生と死の境目がある、という気がしなくなったの。このように生きて、このまま続いて、死ぬのだろうなって。」

「生きているように、死も続いているんだね。メメント・モリって地続きだったんだね。」私はそうこたえて、「生の中に死があり、死の中に生がある」ということばを思い出した。十年前、姉が突然のように他界した時から、他者の死が心の中に生きるという実感を抱くようになった。そしていま、母の存在ともじぶんは、地続きであるという気がする。

 

心拍停止の状態が十五分続いた救命室から、母が生還して三年半になる。あの時以来、「毎日が贈りもの」ということばは、家族の合言葉になった。

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サイエンスは人のこころ

グリネル大学長のレイナード・キングトンさんと。

レイナード:アメリカ中、どこの学長さんと会っても同じ話題になります。最大のチャレンジは「偏り」。どうしてもSTEM(*注)に偏りがち。
学生は卒業後の稼ぎに目がむく。それから、多様性(Diversity)。色々な背景、経済事情をもった、個性ある学生を含めて、ひとつの全体を構成するの大きな課題。言うのは簡単だが、なかなか大変。

りっこう:そうですね。サイエンスはスキルだけではなく。サイエンスの心、つまり人間の心を養うことですね。

レ:そのためにはできるだけ、いろいろの学び、いろいろの学生、それらの体験がつながる必要がある。

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共感でじぶんが見える

ヘンリー・ソローのことばから。

It is as hard to see one’s self as to look backwards without turning around.
(振り返らずに後ろを見るのと同じくらい、自己を見ることはむずかしい)

デカルトに代表される近代、「私」は「私」によって定義されるようになったと言われます。現に「自分」とは、当たり前のもの、わかっている前提ですね。

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身につけたサイズでまなぶ

英語にこんな表現があります。
Size matters.(サイズが重要)

「大きいほうがよい」という場合も、「小さいほうがよい」という場合もありますね。でも、肝心なことは、「ほどよい大きさ、適切なサイズ」ですね。

実は、私たちは、それを身につけています。
手のひらサイズ・ひと口サイズ・じぶんサイズ。

ひとりひとり、その人にあった、固有のサイズ。それは、身体サイズ。それが、「じぶんサイズ」です。

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Less is More

Less is more.(少は多なり)

何かを減らすことで、多くなる。また、何かが増えることは、何かが減ることでもある。この less = more という等式について、少し考えてみましょう。

数量的に何を減らすのでしょうか?
身にあまる量、入りきらない数。速すぎるスピード。
早すぎるタイミング。これらを少なくすることです。

質的に少なくすることは何でしょうか?
うるさすぎ、飾りすぎ、構えすぎ、考えすぎ。自分の都合中心すぎ。これらを減らすことです。

わけへだてを、へらすこと

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春花秋月これ心なり

大和和尚さんとの対話から。

春歌しゅんか秋月しゅうげつこれ心なり。

りっこう:「花も月も心だ! 」というのですね。
大和:そうです。心の働く様子が、花であり月である。
り:心とは、じぶんと春花秋月のぜんぶだと。
大:はい。『正法眼蔵』はそのオンパレードです。
り:自然宇宙世界が、一枚の詩画になっています。
大:道元さんが生涯をかけて取り組んだ主題です。弟子にむけて語ったことばでできた、絵のような詩です。

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インドラの網のように

宮沢賢治『インドラの網』。

インドラのあみとは、無数の宝珠ほうじゅが結びあい、ひとつひとつがたがいに映しあうという、大乗仏教の宇宙観を表すメタファです。

「ふと私は私の前に三人の天の子供らを見ました。その燃え立った白金のそら、湖の向うの鶯いろの原のはてから熔けたようなもの、なまめかしいもの、古びた黄金、反射炉の中の朱、一きれの光るものが現われました。それは太陽でした。厳そかにそのあやしい円い熔けたような体をゆすり間もなく正しく空に昇った天の世界の太陽でした。光は針や束たばになってそそぎ、そこら一面かちかち鳴りました。」¥

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心得のメソッドとは

道元禅師『典座教訓』(てんぞきょうくん)から。

典座(てんぞ)とは、炊事係のことです。
料理の心得をこのように説きます。

食材を管理は、自分の瞳のように大事にしよう
米を洗い菜を調える時、真心をこめ細心の注意を
食材の量や質を気にせず、親切丁寧に調理しよう
ご飯を炊くには、お釜が自己となる
米をとぐときは、水そのものが自己となる
食材と道具は自己そのもの。分け隔てないこと
食事を作ることはありがたきこと、喜びの心を
食べ物は、親が子供を思いいたわるような心で

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放てば手に満てり

はなてば手にてり。

はじめに聞いた時、ふぅっと気が楽になり、救われました。「放てばいいんだよ」という響きです。
このことばは、「古いものを捨てたら、新しいものがやってくる」という意味ではありません。真理は外からやってくるのではなく、じぶんの中にある。所有物を捨てる話ではなく、心の出来事を整えること。

道元禅師『正法眼蔵』第1巻「弁道話」にでてきます。しかも「最上無為の妙術あり」(この上もない不思議な力に出会うことができる)と冒頭に前置きした上で、出てきます。どんなイメージなのでしょう。

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さかさまに考える

「逆問題」と呼ばれる問題の捉え方があります。

物事を想像したり、調べて推測したりする時、順方向に考えるか、逆方向に考えるか。順方向とは、原因から結果、入力から出力を求めること。逆方向とは、結果から原因、出力から入力や入出力の関係推定することです。どうしてこうなったの?何が原因?と。

上村豊さんは、こう言います。
「すいかをたたいて、その音からすいかの味を推定する問題は、逆問題的。密度と音の高さの関係を法則とし、音の高さの観測結果からすいかのおいしさの原因である密度を推定する。ただし、これだけでは定性的な観察に過ぎない。すいかのおいしさの指標を数値として定め、その指標を音の高さから決定するパスを通し、「すいか美味計測器」なるものを考案するのは、逆問題。考案しても商品化する人がいないから工学者はやらない。また理学的に面白いことが発見できそうにないから、理学者も手を出さない。」

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くりかえしをみちびく

マトリョーシカ人形をご存知ですか?
体の中央を上下に開けると、中にひと回り小さい人形が入っている。その人形をあけると、また小さい人形が。というふうに、入れ子の人形が繰り返されます。

入れ子が繰り返されることを「再帰」と呼びます。
マイケル・コーバリスさんは、この再帰が、人間の最大の特徴であり、進化の原動力であったと説きます。

「人間の脳内の1兆のニューロン、ひとつのニューロンで3万もの接続で起きている再帰現象。言語・数・記号をつかって抽象化できるのも、再帰の働きがある。人間は、考えの中に考えを埋めこみ、プロセスの中にプロセスを入れて発展させることができる。」

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おどろきに心をひらいて

木下清一郎は、「心の働きの原理」について、このように説きました。

「心の世界の基本原理は「自己回帰」とそれに由来する「抽象作用」である。心の体系がつくられるには、何よりも情報が流れ去ることなく、系のなかにとどまることが必要である。これが情報の自己回帰運動であり、それは記憶の働きとしてあらわれる。記憶に先立って照合のための想起があり、その結果をふたたび新しい記憶として記銘するという一連の循環の過程からなりたっている。つまり、情報の自己回帰。

自己回帰という閉じた回路をもつことは、情報が循環して自分自身に言及することを可能にし、それによって本来なら流れさるはずの情報をひとつの場に閉じ込めて、そこで統合を果たすきっかけをつくったといえる。これが、基本原理としての抽象である。

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心の路をひらく

梅田規子さんは、長年、ニューヨーク大学で音声研究の要職をおさめた後、心の研究に専念しました。

「音韻とか音節という言語単位が、それが現れる場によって、自由自在に変化する。私たちがどんなしゃべり方をしているかは、その現象が起こる場が決めている。私は、その変幻自在な変化を素直に受け入れて、何年もかけて、幾重にも重なり広がる大きな階層波を発見した。そして、その変化の動きこそが、私たち人間の命のエネルギーであるのみならず、生きとしいけるもの、そしてそれらを育む地球の自然が持つエネルギーだということを理解するようになった。

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おなじ空気を吸っている

ある禅寺にて。
「これは、ギンモクセイね。」誰かがの声がした。中学時代の秋の夕暮れ、通学路で通り抜けていた公園を彷彿とさせる。 よく似た、濃密な匂い芳醇な香りがあたり一面に充満している。小さな白い花びらに手を差しのべて、そっと触れてみる。ふと、ある本の一節が思い出された。

「今日、世界中どこにいても、人が息をすると、その呼気の中に少なくとも1個のカエサル由来の分子が含まれている。」岩村秀さんによる、興味深い話。

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じぶんに声できいてみる

森博嗣さんは、こう言います。
「リンゴは赤いという言葉を知ると、子供はリンゴの絵を描くときに赤いクレヨンを塗るだろう。本当にそんな色なのだろうか。

どんなものにも、いろんな面がある。一方向から眺めているだけでは本質を見極めることがはできない。また、見極める必要もない。観察できるものを素直に受けて止め、清濁を併せ呑んで理解すればよい。そのためには、ものごとに集中しない、拘らない、思い込まない、信じ込まない、ということが重要であり、いつもあれこれ考えを巡らす分散思考が少し役に立つ。絶対に役に立つとか、すべてこれでいける、というものではない。それでは「分散」の意味がなくなってしまう。

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失うことはまなぶこと

昨日の朝、右の腿に突然の痛みが訪れた。眠っている間にやってきたのだろう。眠っている間も、寝返りが打てなかった。だが、心当たりがない。力をいれると激痛が走る。階段の昇り降りなど、一日かばって歩いているうちに、そのせいか、腿の真ん中にもピリピリと別の痛みがやってきた。神経痛だろうか。

長い時間続けて、物を書いているせいであろうか。そういえば、寺田寅彦の随筆にも、ほとんど瓜二つと思えるような一編があったことを思い出した。

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素心深考

素心深考そしん しんこう

広中平祐さんは、こう言います。
「なぜ学ぶのか?それは、目には見えないが、生きていく上に非常に大切なもの、「知恵」を身につけるために。そのためにいちばん大切なことは、素朴な心「素心」を失わないこと。

私たち人間は日常生活の中でとかく自分の立場にたってものごとを考えがちなもの。自分の希望・願望・主張が原因となって、相手との間にトラブルが生じることが少なくない。このような時こそ、相手の立場にたってものを考えること。

相手と一体になって考える謙虚さが、素心。

素心は、日常生活の中だけなく、学問していく中で、もっとも基本的な条件である。事実を事実として受け入れること、失敗することによって、身をもって修得するために。素心によって深く考えることができる。

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相手のことばを聞き書きする学び

民俗学者であり、介護のあり方を追求する六車由実さんは、このように語ります。

「介護の現場では、非対称的な関係が固定されている。ケアする側(強者) vs ケアされる側(弱者)の関係には相互性がない。このため、言語以外に関心が向かない。メモをとらず、非言語コミュニケーションを過剰に扱い、ケアされる人の、相手の気持ち、思い、心の動きを解釈しようとする。ケアされる人は「隠された気持ち」を深読みして欲しいのではない。ケアされる人の行動を評価しようという考え・あり方では、信頼関係も相互理解も生まれない。

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養生・やさしくなること

養生(ようじょう)ということばがあります。

辞書を引くと、病気の回復、健康の増進といった説明が出てきます。ただ、これだけだと、ことばの本来の意味がつかみにくいようです。

養生は、治療や栄養の補給のことではありません。
結果的に、病気の回復にも健康増進にもつながる、ちがう思想です。

江戸時代の本草学者・貝原益軒は、『養生訓』でこう記します。

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共感・ケア・慮る

佐伯胖さんは、保育とは、従来の定義である「子どもをケアすること」ではなく、「子どもがケアする世界」をケアすることだと説きます。「子どもをケアする」という「上から目線」に聞こえるような一方的な行為ではなく、相互的かかわり、共感的なかかわり、相手に対して「共感しよう」という姿勢で関わることが大切である、と。

「共感とは、自分自身を空っぽにして、そっくりまるごと、相手の中にはいってしまうことです。相手が見ているモノ・コトを、相手の立場と視点から見て、相手のふるまいに、自分自身もそうしないではいられなくなり、思わず自分もそのように「ふるまいそうになる」ことです。

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電気のつぶが、身にしみる

杉晴夫さんは、こう言います。
「現代のわれわれの生活は電気によって支えられている。周囲には電気製品があふれ、空間には電波が飛び交っている。

「人類がこの電気を中心とした文明生活を打ち立てるきっかけは、イタリアのガルバ二が2種の金属線をつなぎ、カエルの身体に接触させると激しく収縮することを偶然に発見したことであった。同じく、イタリアのボルタは、この発見からヒントをえて、電池を発明し、電池から得られる安定した電流を使用した研究により、人類は自然界における電磁現象の存在に気づき、現象の背後にある法則を利用して現代の文明社会を築いていった。」

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写す出力が、まなび

白川静さんは、こう語ります。
「手で書くこと。手先から脳へ打ち込む。もちろん、目で見ることは必要です。写すこと、書くことがそれ以上に必要であり、重要です。

私は若い時に日記を書いておったのですが、書くことがない時や、余白が出た時にはそこへ、詩や漢文を写して、余白を埋めていたんです。面白いことに、漢文を写しているうちに、漢文が読めるようになったんですよ。流し読みしただけでは頭に入らない漢文が、書き写すことで、文法や語法的な関係とか理解できるようになっていきました。

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Nurture Empathy

Nurture (ナーチャー)ということばがあります。

育てる、養うという意味です。

どんな情景が思い浮かびますか?

お母さんが赤ちゃんにお乳をあげ、やさしくいたわる様子。

種を蒔き、土に手入れをし、水をまいて、芽生えるのを待つ様子。

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結びつけることば

アルバート・アインシュタインのことば、E=MC^2
宇宙のことば。数学のことば。もちろん、人間のことばです。人間がみる世界をあらわすことば。

数式に使われる等価記号「=」は、「イコール」と呼び、何かと何かを結びつける役割を果たします。このことばが、何を意味しているかといえば、「物質とエネルギー」は「光が進む速さ」の二乗に比例して「入れかえ」ができるということです。

と聞いて、「あー、科学の説明ね」とやりすごさずに、アイシュタイン博士の「声ことば」を受け取ってみましょう。物質は「もの」、エネルギーは「こと」だとして、それらは一見別々の、ちがうものだと思っていたふたつの物事が、実は入れ替え可能な「ひとつのおなじ物事」として結びつけられるよ、と語っているのです。

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いのちは、時間

日野原重明さんは、こう言いました。
目に見えない大切な「いのち」
いのちとは、自分に与えられた時間のことである

「その人が死ぬまでに使える時間が、その人のいのちです。人だけでなく、すべての生き物は「自分の時間」という「いのち」を持っています。
いのちの時間は、できるだけ人のためにつかおう

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素のふるまいが育つ

手の中のエンパグラフ。

ありのまま、自然にふるまったように、エンパシームの連なり、声ことばのseed、ふるまいを包む「空気」などが、たのしく表現されます。

植物のメタファでいっぱいです。

土壌があり、風があり、水があります。
種があり、芽があり、茎があり、
葉があり、花があり、実がなります。
種の中の種子もあります。

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共感の学び、共感による学び、活かす学び

こういうことばがあります。
Government of the people, by the people, for the people.(人民の人民による人民のための政治)

19世紀、アメリカが奴隷制や国政を巡り、国を二分して戦った南北戦争の最中、エイブラハム・リンカーン大統領の「ゲティスバーグ演説」で語られた、新しい自由を誓ったことばとして、よく知られています。

2分ほどの簡潔なスピーチの中で、人民こそが、国・政治の中心、主役であるという思想のエッセンスを、of、by、for という3つのことばで、浮き彫りにしています。

この話と同じように考えてみるとわかりやすいことがあります。それは「学び」です。その中で「共感」は、学びの中心、主役です。

Learning of empathy (Learn empathy)
共感の実体験。共感の心を抱くこと、抱かれること。共感は頭で理解する以前に、それを実感すること。

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なろうとするから、わかる。

森田真生さんは、こう言います。
「松のことは松に習え」ということわざがある。松のことをほんとうに知りたかったら、自分がすっかり松になるくらい、全身で松のことを思いつづけないといけないのである。あたまだけで、なにかをほんとうに知ることはできない。

あたまで「この人は悲しいんだな」と理解することが、悲しみを知ることではない。相手といっしょになって、自分まで悲しくなったとき、はじめてその人の悲しみがわかる。知るということ、わかるということは、自分ではない相手の心と、深く響きあうことなのだ。

数学をわかることも、これに似ている。ただうまく計算したり、知識を増やしたりするだけじゃない。
数や図形の声に耳をかたむけ、心かよわせあうこと。

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ドレミファソラシド、8つの顔

小学二年生の時、私は嬉々としてピアノのレッスンに通っていました。先生が産休をとり、別の新しい先生に紹介されました。そちらに通い始めたある日のことです。部屋で先生を待つ間、私はある計画を実行しました。家のピアノでも試していたので大丈夫。成功を目に浮かべて、期待を膨らませました。

それは、ピアノの練習曲ではなく、先生を喜ばせる、あるアイディアでした。ピアノの鍵盤「ドレミファソラシド」にひとつひとつ顔をつけるのです。ある日、先生がピアノを引く時の鍵盤のあがりさがりが、ドレミファソラシドという小人に見える「ひらめき」でした。小さく丸く切り取った広告の裏紙に描いた8人の顔。鍵盤の上に並べ、そっとふたを締めます。開ける瞬間の「驚き」を想像してうれしくなりました。

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共感=わかる

数学者・岡潔は、こう言いました。

「先生が山とか川とか木とかを教えるとき、例をもって教える。児童のこのわかり方は、「感覚的にわかる」のである。「形式的にわかる」といってもよい。もう少し深くわかるのは、意味がわかるのである。これを「理解する」という。しかしここにとどまったのでは、いろいろの点で不十分である。まず知的にいって、進んで「意義」がわかるまでゆかなければいけない。でないと、えてして猿の人真似になってしまう。意義がわかるとは全体の中における個の位置がわかるのである。だから、全体がわからなければ何一つ本当にはわからない。このわかり方はいわば心の鏡に映るのである。

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希いを生きる

こんなことを言った人がいます。
マークトウェイン風のことばです。

Don’t dream your life.
 (人生を夢見てはいけない)

Live your dreams.
 (希いを生きよ)

人生ということばを聞くと、じぶんが生きる以前に、漠然と「人生なるもの」があるかのような気にさせられます。でも、それは「人生」という概念上のこと。便宜的に、「人の一生」を一般化しているだけです。

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共に読み、語り、歩む冒険

『ジップくん宇宙へとびだす』が忘れられません。
ジップくんがテレビの中に吸い込まれ、電波にのって宇宙へ飛びだしてしまうという話です。

忘れられないのは、内容よりも、姉が読み聞かせてくれたことです。5歳の時です。いっしょに宇宙に飛び出して、冒険した気分でした。

私は「宇宙へとびだす」というフレーズが好きでした。時々、思い出すことがあります。先日も、トレイルを歩いていて、オーク樹林の木漏れ日の間から青い空がのぞけた時に、なぜか、このフレーズが思い浮びました。深い理由はありません。

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あべこべの気分になれる

雨が降ると、カサを持って出かけないといけないし、雨がやめば、そのカサを電車にわすれてきたりもします。服も濡れるし、湿度が高いと、気分に影響します。
でも、こどもの頃、雨がうれしかった思い出はありませんか。雨が降ると、あそびの場が広がります。

長ぐつで、水たまりにはいったり、カタツムリをシゲシゲと眺めたり。

雨の降る河原には、いろんな生き物がでてきます。
どこから来たんだろう、と思うぐらいに。

こんな絵本があります。『カエルのおでかけ』です。

そとは、どしゃぶりの「いいてんき」。
カエルは、うきうきおでかけ。
そうです、カエルにとっての「いいお天気」は、雨の降る日です。

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おくりものは共感体験

絵本『わすれられないおくりもの』より。

誰もが頼りにしていたアナグマの死期が迫っていました。アナグマは、自分が死ぬことを恐れてはいません。死んで体はなくなっても、心は別の形で残ることを、知っていたからです。

「最後の雪が消えた頃、アナグマが残してくれたものの豊かさで、皆の悲しみも、消えていました。アナグマの話が出るたびに、誰かがいつも、楽しい想い出を、話すことができるように、なったのです。

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愛語を思い出す

愛語あいごよく廻天かいてんのちからあることを学すべきなり

愛語とは、やさしいことばをかけることです。親しみの心を抱くような心のこもったことば、愛語には、天地をひっくり返す力があるというのです。

道元禅師『正法眼蔵』45巻の中の「菩提薩埵四摂法」(ぼだいさったしっしょうほう)の巻。そこに、菩薩行(ぼさつぎょう)すなわち「悟りのための」修行のエッセンスがあります。それは四つの行いです。

布施ふせ。見返りなく、あたえること。

愛語あいご。やさしいことばをかけること。

利行あいご。人のために自分を忘れて尽くすこと。

同時あいご。わけへだてをしないこと。

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たたむ

庭の木槿(むくげ)の花がつぎつぎに咲く。百日紅と同じくらい花期の長い花だから、夏から秋にかけて、そのすがすがしさをどれほど愉しませてもらうことだろう。明け方の庭に、木槿のあたりがしらじらとほの明るくなっていて、この花にあさがおをいう別名があったことを思い起こす。

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いのちのふれあう空気

実家の庭に咲いた、大きな牡丹。

その上空で、大きな蜂が、一瞬、宙に浮かんだまま。躊躇しているのか、思索をしているのか。

と思いきや、潜水ダイバーのように、花の中にもぐりこんでいった。蜜の海。朝の大仕事を前に、息を整えていたのかもしれない。

母の米寿祝いの誕生日に、フラワーアーティストのウジさんが届けてくれた花。

ウジさんとは、10年のおつきあいになる。母の誕生日に、私の贈り物として創作してもらう花と、彼が母に贈る花を、直接届けてくれる。ささやかな誕生会に不可欠のメンバーになった。

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声が、思い出てくる。

40年ぶりに、小学校の同級生から便りがあった。
エンパシームのサイトからの「申し込み」メールだった。先日地元で行われた、私の講演会の新聞記事を読んだので、と添えてあった。

さっそく、そのメールにあてて連絡をとった。すると、「40年分をいっぺんに語るのは無理」と言いながら、近況が要領よく、丁寧に書かれていた。

添付された一枚の家族写真に、二人の娘さん、ご両親も映っていた。本人の表情も昔のまま。

お母上の顔を見るなり、話し声が思い出されてくる。文字どおり、光景が、じぶんの内側から、「思い出てくる」かのようだ。

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ふりかえって見えるもの

ふりかえる。首を後ろにむけ、何かをみて、また歩き続ける。後ろをふりかえるとは、前を向いて歩むこと。

「過去をふりかえる」と言います。
いつ、なにをしたか、という形式で、ふりかえります。ふりかえる過去のできごとのひとつひとつは、すべて消え去り、もはやどこにもありません。

昨日、たべたイチゴの美味は、舌の上にも、鼻の先にも、もうどこにも、ありません。でも、思い出す「形式」をもつことで、もういちど、あじわえる。ふりかえる時、ふりかえる場の対象を「過去」と呼んでいるのですね。

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ともにはたらく

最近、アメリカでこういうテレビCMがありました。ある会社の企業広告です。

赤ちゃんのいる家庭や、おばあさんの生活シーンでこういうナレーションがはいります。

「いちばん大切なのは、あなたが何ができるかということです。自分の生活がいちばん大事であって、それがどんなふうにできているかなんて、関係ありません。人々(people) こそ、わが社の行動の目的です。その裏方のテクノロジーは、わが社が考えています。」

製品や技術の優秀さや、サービスのよさを伝えるという宣伝ではなくて、「技術は人々のために」というスローガンをうたった叙情的シーンが映し出されます。

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希いの中に生きている

ヴィクトール・フランクルは、こう言いました。

「これは事実の報告ではない。体験記だ。内側から見た、強制収容所。壮大な地獄絵図は描かれない。
おびただしい小さな苦しみを描写しようと思う。」

「スピノザは『エチカ』の中でこう言っている。
「苦悩という情動は、それについて明晰判明に表彰したとたん、苦悩であることをやめる」

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野の仏にみちびかれる

あるとき、石仏に興味をもつようになった青年の話を聞きました。彼は水質検査の技師で各地の河川を対象に調査に歩いています。そのうち不思議なことに気がつきました。川や沼、池のほとりにかならずといってよいほど、今まで見たことのない石仏が祀られているというのです。それは弁才天、あるいは不動尊などのようですが、彼はなぜ水辺にこれらの石仏があるのか、に興味をもち熱心にみてまわるようになりました。池の中の小さなお堂に祀られていた愛らしい弁才天が彼を石仏の世界に誘いました。

ある山歩きの好きな青年が、苦労して登ったアルプスの山頂で、風に吹き晒された異形の石仏を見て、信仰の力の偉大さに圧倒され、その後は石仏を探して山登りをするようになった話もききました。

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緑に包まれて

「新緑がくっきりと野山の形を描き出す季節になりました。

芽吹きどきのぼうっとした柔らかい輪郭の風景に目を細めていたころとちがって、緑のグラデーションから発散してくる精気に、はっと身をひきしめている日々です。緑という色彩は休息の色でもありましょうが、心を高揚させる色でもあるようで、ひとの活動を促すのでしょう。新緑の季節、世の中人の往来が賑やかです。

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共感を生きる

杉原保史さんは、「共感」についてこう説きます。
「共感は、人と人とが関わり合い、互いに影響し合うプロセスです。リラックスして、感じていることに注意を向けることが共感のはじまりになります。

共感的コミュニケーションは、相手のために。
共感は、誰かのために時間をつかうこと。また、相手との共同作業によって深めていくプロセスです。
人から共感される経験によって身につくもの。

自分自身への共感は自信になる。
共感は相手の気持ちを感じること。そして、感じたことを表現すること、自分を語ることです。

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共感の時つぶ

蜂飼耳さんの詩『梨の音』より。

梨が樹に 実ってゆくことは
この目のなかで実るのと おなじこと

けれど この両目が
地上から きえても
梨はやっぱり実をつける

五十億年後には
地球の水分はすっかり蒸発
(太陽との距離はちぢんで)

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エンパシームは体験の光粒

エンパシームは「時のつぶ」です。そのつぶには鮮明な光彩があります。それはじぶん自身への「共感する」の「時のつぶ」です。いろいろなきっかけで、エンパシーム同士が、つながりあうようになります。

5歳の夏休み、ある体験がありました。ホタルとりです。「ホーホーホータル、こい。こっちのみーずはあまいぞ。」ホタルに呼びかけます。

渓流のせせらぎ、草の匂い、カゴと網。真っ暗な田んぼのあぜ道を歩いていきます。一匹のホタルが、どこからともなく舞ってきたと思うと、次の瞬間には、ここにもあそこにも、現れます。草むらの中にも輝く光に、そおっと近づいていくときの高揚感。

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呼吸はやすらぎ

本間生夫さんは、こう言います。

「呼吸する力は歳とともに老化します。呼吸筋や肺が老朽化して呼吸機能が衰えてくると、この機能的残気量(安静状態でいつも通りの呼吸をしているときに肺に残っている空気の量)が増えてきます。

近年は年齢にかかわらず「浅くて速い呼吸」をしている人がたいへん目立ちます。仕事や家事で時間に追われ、心がやすらぐ間もなく非常にせわしいリズムで生活をしている人が多いため、呼吸にもそういう「せわしいリズム」「余裕のないリズム」になりがち。呼吸のせいで老化している人は多いのです。

呼吸は「体を整える窓口」であり、「心を整える」ことです。

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じぶんの声ことばにふれる喜び

「私が音声の研究は始めたのは昭和29年です。当時、音声という大気の波の複合体を、波長の違いに従って分析する機械は日本にはありませんでした。その後、ソノグラフというアメリカ製の音声分析機械が3台日本に輸入され、そのうちの1台が日本電信電話公社(NTTの全身)の研究所に備え付けられました。それが音声研究という分野の誕生です。

その音声研究の誕生と揺籃期に、私は独占的にその機械を使わせもらい、一人で、こうだ、ああだ、と面白がって過ごしていました。研究のスタートから、私に何かを教えてくれる先生も、専門家も、先輩もいませんでした。何から何まで自分で試して発見して、理解していかなければなりませんでした。それは私の人生に大きな影響を与えました。素晴らしい先生に師事することは貴重なことですが、先生がいないということもまた、なかなかよいことだと思っています。」

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もとの声ことばに戻してみる

オリバー・サックスは、こう言いました。

本当の自分とは、内なる言語の中にある。

「私たちの、本当のことば、本当の自己は、内なる言語の中にある。ひとりひとりの心をつくる意味が、とめどなく紡ぎだされてくる、内なる言葉の中に。

私たちが、自己存在を確かめるのも、じぶんの世界をつくりあげられるのも、この、内なることばによってである。」

ふだん、気づかずにいる、自分自身の「内語(Inner Speech)。私たちは、小さい時から、相手とむきあい、声のあることばで関わりながら、同時に「内なる」ことばの世界をつくりあげています。

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実感の数

じてんしゃで やってきた
きいろくて あかい うみのそらが
みずたまりになった 
そのなかに はいって
ぼくも きいろくてあかいみずに なるよ

6歳の、ある少年の詩。おどろきの声が発せられる時に、自然に詩ができるのですね。

マヤ・アンジェロウさんは、こう言います。

Life is not measured by the number of breaths you take but by the moments that take your breath away.

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内語をふるまう

「考えをうまくことばで表現できない」などと言いますね。このように言うと、発話に先立って思考があるように聞こえます。
信原幸弘さんはこう言います。
考えるとは、発話すること。
内語を行うことが思考。

内語とは、声なき声で語られた発話、いわば音量ゼロ出力の、内なる発話 (Inner Speech) です。

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内語に親しむ

いつも使っているのに、気がついていないことばがあります。それは、「内語(うちご)」です。英語で Inner Speechと呼ばれます。声にして話すのではない、心の中で使っていることば。心当たりがあるでしょうか。

ノーバート・ウィリーさんは、こう言います。
「内語は、れっきとした言語だが、通常の言語とは異なっている。自分の身体的ふるまいと結びついた、対話的性質のある言語。実は、内語は1歳頃から始まっている。気がついていないだけで、自己の行動、大きな判断も内語によって導かれている。」

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詩はじぶんを知るきっかけ

木の葉を 日の光に 透かしてごらんなさい。

一枚一枚に 大宇宙の詩が 書きしるしてあります。

それをどうか読みとってください。

坂村真民

渡邊十絲子(としこ)さんは言います。
「詩とは、あらすじを言うことのできないもの。詩とは、伝達のためのことばではない。

詩は、たとえば、雨上がりの路面にできた水たまり。路面の水たまりを踏まないようにということを、わたしはあまり意識しないで歩く。水たまりは、はかないもので、短ければ数時間で消えてなくなる。道路のアスファルトの表面にある微妙なへこみのかたちを、水たまりはおしえてくれる。

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いたむから、わかる。

「痛み」は、何よりも、学びになります。

怪我や病気になれば、健康のありがたさが、よくわかります。

痛という漢字を見ただけで、「痛い」話は、ちょっといやだな、と思うかもしれません。

そんなとき、このことばを思い出してください。

Pain is companion for life
痛みは生涯の友。

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しあわせる

「しあわせ」ということばについて、玄侑宗久さんは、このように言います。

「日本語に「しあわせ」という言葉がありますが、そこには『荘子』や禅の受け身をよしとする考え方が強く生きているように感じられます。

「しあわせ」は、奈良時代には「為合」と表記しました。「為」は「する」という動詞ですが、その主語は「天」です。天が為すことに合わせるしかない。それが「しあわせ」という言葉の由来です。この言葉はほぼ「運命」と同じ言葉でした。

「しあわせだなあ」というのは、思わぬことが起こったけれど、なんとかしあわせることができてよかった、ということ。自分の意思で事前に立てる計画とは、無縁の世界、完全に受け身の結果なのです。」

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かぞえられる力を活かす

ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー。皿の上の果物を全部足すと、ぜんぶで何個ですか?

ちがう果物の実を「足す」の?ラズベリーの実はやわらかいので、半分にわれて数が増えたら?全部つぶしてミックスジュースしたら?考えるのは自由です。小学校ですと、先生にまじめにやりなさいとか、テストだとバツをもらうか、ありそうですね。

考えてみると不思議です。なぜ、ちがうものを足すことができるのか?私たちは、視覚、触覚、味覚で、違いを知っています。その一方で、そういう小さいことは、いったん忘れて、つぶのような「もの」として、抽象化する能力も備わっています。学校では「小さいことは忘れて」答えよと言っていることになります。

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じぶんを生きている

私が生きている。

そして、みんなも生きている。気がつけば、動物も、植物も、みんな共に生きている。ふだん私たちは、そんなふうに、そういう順序で、考えますね。

金子みすゞ『蓮と鶏』より。

泥のなかから 蓮が咲く。
 それをするのは 蓮じゃない。

卵の中から 鶏が出る。
 それをするのは、鶏じゃない。

それに私は 気がついた。
 それも私の せいじゃない。

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円了学舎

井上円了没後百年記念・円了国際会議において。
エンパシームファウンデーションは、東洋大学井上円了研究センターへの支援・協力により現代テクノロジーを組み込んだエンパシーム・プラッフォーム「えんろ」を活用した、『円了学舎』の特別展示・発表をいたしました。

『円了学舎』は、スマートフォン上で実現する、円了先生との「学びの舎」です。円了先生の「声ことば」とふれあい、日々の自己を結びつけながら、友と学びをわかちあうことができます。

師と共に学ぶ。友の共に学ぶ。「共にある」という思いが、目に見えない大きな支えになります。

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エンパシームで、みちをひらこう。

「じぶん」のかわりには、だれも生きられない。

だれもがみな、おなじように、
一度かぎりの、じぶんを生きている。

だれもがみな、共感するじぶん。
つながりあう存在。

他者とふれあい、共にあることが
感じられる時、心がひらき、

じぶんとまわりの世界を
結びつける路ができる。

共感のはたらきが、じぶんを学ぶ路。

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髪も共に生きている

いったん、気になりだすと、気になって仕方がないもの、たくさん、ありますね。

ずいぶん、伸びてきた。早く、かみを切りたいなあ!

突然伸びてくるわけではありませんが、ある長さの範囲を超えてから、気にさわるようになってきますね。

私の頭髪。自分の所有物、私の身体の一部、ということになっていますが、自分ではまったくコントロールできません。これから髪を伸ばすぞ、などと言ったりもしますが、それは自然に育つのを待つだけです。

自然に生えてきます。植物とおなじです。できることは、手入れをするだけです。見守って、ケアする、相手として。いつも、いっしょにいて、頭を守ってくれる。私にスタイルをつけてくれる友ー

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「学び」を助ける力に

ものや情報、人とすぐにつながれるネットとスマホに代表される現代社会。それらなしでは日常に支障をきたすほど、便利なテクノロジーが私たちの社会生活に浸透してきています。

その一方で、過剰な使用がもたらす様々な影響もあります。 文字・映像情報への過度な依存は、無意識に入りこみ、 じぶん自身で考え、行動するという、大切な学びの妨げにもなります。

学びのエッセンスは、 じぶん自身の体と心で感じること、 身を持って体験すること。ふり返ることばを声に出して、身につけることです。ところが、 地球規模で広がったネット・スマホ社会は、 本来の「学び」ができにくくなる環境でもあります。 これは特に、乳幼児・青少年の育成、学びの現場では、たいへん切実な問題です。

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あんずのインスピレーション

横長の綿雲が群をなし、空低く、ゆっくりと移動している。空に向かって垂直にのびた赤い枝の先に、小さな白い花がひとつ。淡い春の光に安心して、枝の中に蓄えていた力が湧き出てきたかのようだ。柔らかい花びらに顔を近づけると微かに甘い香りがする。この夏、どっしりと腰をすえたような太い幹に支えられた空間に、土と光と空気の恵みを集めて、独特の甘みを備えた柔らかい橙色の実に結ぶ、アプリコット。ここは、あんず畑。

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だるまちゃんのきもち(1)

小さいだるまちゃんと、小さいてんぐちゃんが遊んでいました。「それ、なあに?」「これは、てんぐのうちわだよ。」「ふーん、いいものだね。」

小さいだるまちゃんは、うちへ帰って言いました。
「てんぐちゃんのような、うちわがほしいよう。」
大きなだるまどんが、たくさんうちわを出してくれました。「こんなうちわじゃないんだけどな。」だるまちゃんは、いいことに気がつきました。

だるまちゃんのヤツデの葉っぱを見て、てんぐちゃんはいいました。「ずいぶん、いいものをみつけたね。」だるまちゃんはいいました。「うん、でもーてんぐちゃんはいい帽子をかぶってるね。」

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無限のひと時

岩田慶治『無限と瞬間』より。

「一瞬、枝の小鳥が飛び立ったと言い、ぽっかりと蓮の花が咲いたと言うけれども、それは刹那あるいは一瞬の断片だったのではないだろうか。

その一瞬、山雀が枝を離れたと見ると、すでに数えきれない山雀が群れて空を渡って行く。そのとき、純白の蓮がいっせいに花を咲かせている。一瞬、一刹那のなかに同時という時があって、その時が無限に通じているのであった。

そうでなければ、ブッダの開悟したとき、そのとき草木虫魚同時成道などとは言えないではないか。 われわれは無造作に瞬間というが、実は瞬間と瞬間のあいだには、隙間があった。余白があったのだ。

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i am life

じぶんのふるまいだけが、の唯一のもちもの。

ブッダのことば。

My true belongings are my actions.

私の記録。私の記憶。私の想像。
私の家族。私の友人。私の会社。
私の人生。私の幸福。私の成果。

みんな私の持ち物なの?

他に呼びようがないから?

生きてゆく、このいまのふるまいだけが、じぶんによるもの。ほかには、何ひとつ、ない。
英語で、こんなふうに言ってみます。

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自然を活かす

テクノロジーって何だろう?
ブライアン・アーサーさんは、こう語ります。

一般的には、テクノロジーとはサイエンスの応用、経済でつかわれる機械類と方法論の学問、工業プロセスに関して社会がもつ知識、 工学技術(エンジニアリング)の実践法といわれる。

私たちはテクノロジーについて多くを知っているが、同時にほとんど知らない。テクノロジーの全般的理解がないからである。個々のテクノロジーの方法と手順の特性、使っている機械についてはすべてを知っている。

しかし、内容について知っているのに、原理について知らないということは、珍しくはない。テクノロジーの理論、テクノロジーの「学」が存在しないのだ。科学はテクノロジーを使うだけではなく、テクノロジーからできている。

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共感をのせるパレット

先人のことば、「いまを生きる」知恵。
それらをどのように受け取り、じぶんと結びつけて活かしたらよいのでしょうか。

中田孝次さんは、こう書いています。
われわれにとって本当に必要なのは、一人の哲学者の思想体系全部、一人の文学者の作品すべてというようなものではない。一人の哲学者の、ほんのわずかな言葉、一人の文学者のほんのわずかな言葉、それが自分の中に入って、核となって、根を下ろし、そこから根がはえていくときに、それが自分のものになる。

そして、ゲーテのことばを引きます。
「世の人は常に独創の話をするが、どういう意味だろう。生まれるとすぐ、世界は影響し始め、死ぬまでつづく。一体エネルギーと力と意思と以外に自分ものがあるか。もし私が偉大な先駆者や同時代の人に負うた点を一々あげることができたら、残るところは極めてわずかだろう。(エッケルマン『ゲェテとの対話』)

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自然とのふれあいの中に

テクノロジーということばを聞いて、どんなことを思い浮かべますか?

技術の研究や開発に直接関わっている人も、自分の日常は直接関係のないという人も、テクノロジーとまったく無縁に暮らしているわけではないですよね。

テクノロジーとは、人間の外側で、人間の力を補ってくれる便利なもの、役立つしくみ。それは、もともと、人間が生み出したものです。また、これからも、そうあり続けるでしょう。

伊丹敬之さんは、「技術」を次のように説きます。
「自然が内包しているきわめて豊かな論理の全体の中から、人間の認識の中へ体系的に切り取られ、他者による再現や利用が可能なように体系化された論理的知識の総体」

🌱自然の力をだれもが活かせるようにする

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坐って、何もしない。

「行住坐臥」(ぎょう・じゅう・ざ・が)ということばがあります。これらは、人間の身体の基本姿勢です。そのなかで、坐は、ひとり静かに坐ること。坐るというと、坐禅を思い浮かべるでしょうか。

古来より、ブッダにおける禅定、古代インド諸宗教の瞑想坐、ひとり静かに坐ることが人間の精神にとって根本的であるということを示しています。

『荘子』にも「坐忘」ということばがでてきます。
「端座して一切を忘れ去り、道と一体になった境地」という意味です。

大和和尚との対話から。
り:何のために坐るのでしょうか?
大:「何のために」はありません。
り:ただ静かに坐り、何もしない。
大:そうです。

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点を結ぶ線になる

いろんな情報や知識があっても、そのままでは、信念や知恵には、発展していきません。

Connect the dots.
 (点と点を結べ。つながりをつけよ。)

星空を見上げると、星座が見つかりますね。星座をなす星どうしをつなげているのは、私たち人間の想像力です。遠く離れた星どうしを想像でつなげることができるから、私にとっての星座になるのです。

点と点をつなげるのは、じぶんです。日常の出来事も、自分自身の体験や考えと結びつけようとする心によって、つながりを持つようになります。何もせずに、物事同士が勝手につながることはありません。
それらの物事を相手として関わろうとする姿勢です。

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共感こそ、すべての源泉

佐伯胖さんは、こう訴えます。
「世の中には、あなたの助けを待っている人がたくさんいます。あなたが何かをしてあげることで喜んでくれる人がいるのです。そういう人たちに目を向け、「何か」をしてあげてください。

あなたの周囲にいます。それはあなたに「勉強しろ」とせまる人とはちがい、ただあなたが身を向けてくれるのを待っている人たちです。それは、実は世界中にいるのです。私たちはそういう人たちに囲まれ、期待を寄せられ、じっと待たれているのです。

そういう人たちに共感することで、私たちは「学び」に駆り立てられるのです。これはあなたが誰かの「役に立つ」ことを意味するとはかぎりません。自然界の物事が、あなたによって「知られること」を待っているのです。そういう世界は、あなたが心を寄せて、「いまだに知られていないこと」を「知られるように」してくれるのを待っているのです。

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一度の実感で

「もう、100万回聞いたよ!」「100万回言ってもわからないー」つい、こんな、大げさなセリフがでてきてしまうことはありませんか。

絵本『100万回生きた猫』より。

主人公の猫は、100万年、100万人の飼い主のもとで、100万回、死にます。

王様にはじまり、100万人の飼い主は、猫の死を悲しみましたが、猫は一度も悲しみませんでした。猫は誰よりも自分のことが好きだったからです。

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1回ずつの6000回

庭師の大野さんと、こんな会話がありました。

りっこう:こんにちは。ぼくも登りました。2度目です。
おおの:ああ、それはそれは。ありがとうございます。
り:ありがとう、といわれたのは初めてです。
お:今日でね、5,670回です。
り:えー?!ゴセンナナヒャクですか?
お:そうです。毎日登っていますから。
り:りゅうがい山のあの坂を毎日ですか!?
お:そうです。山頂から一望に見渡せますからね。
り:いつ登るんでしょう?
お:朝日を見て、夕日を見て。
り:1日2回登るんですか?
お:はい。カメラもってね。

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包まれて、忘れている。

私は虫であり、虫は私である。

このことを悟ってからは、自然は自分のためにあり、
自分は自然のためにあることを、つくづく実感する。
そして、身のまわりのごく普通の自然が、いままで以上に大事に思えるようになりました。

画家・熊田千佳慕のことばです。どうしたら、そのような心境にたどり着くのでしょうか?

実は私にも、すこし心あたりがあります。私はカリフォルニアに移住して以来、週末には山野辺の路を歩いてきました。数えてみると、600回ぐらい、サンタクルス山麓丘陵地帯のあちらこちらを歩いてきたことになります。

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みちゆく人よ

道ゆく人よ、道が前にある、のではないんだよ。
歩くことで、はじめて、道ができるんだ。
前にむかって歩く。そして後ろを振り返る時、小道が見えるだろう。
そこにじぶんの足跡ができている。
ただ、その足跡をもう一度踏もうと思っても、それはできない。

アントニオ・マチャードの詩『Caminante』を訳してみました。
原文のスペイン語は、Caminante (道をゆく人)です。Traveller (旅人)よ、といった訳語があてられらていますが、Caminoは道、Caminanteは、道を歩む人という意味です。

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心の人

ラスコーやアルタミラよりさらに1万年以上古い、フランスのショーベ洞窟。アルプスがまだ氷に覆われて時代に、このあたりには多くの動物と人間が暮らしをともにできる、氷の谷間でした。壁画の描かれている洞窟は、入り口から何百mも入った奥まったところにあります。

発見者で研究を指揮してきたジャンマリー・ショーベさんはこう言います。

人間は、「ホモ・サピエンス」(知の人)というよりも、「ホモ・スピリチュアレス」(心の人) だ。

「動物を描く」ということはとても人間の精神にとってとても根源的なこと。生きているものを描くことそのものが精神的な営み、心のできごとです。

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細雨養花

久しぶりの雨で庭の木々がしっとりと柔らかくなった。いつの間にか、洋梨の木に小さな白い花が咲き出している。控えめに芽吹いた新緑の葉に寄り添い、つぼみからふんわりと膨らんだ花が霧雨に濡れてしおらしい。

庭全体が振動する微粒子に包まれ、辺りには樹木の爽やかな香りが充満している。胸いっぱいに湿った空気を吸い込むと、体中がじんわりとしてくる。

風雪培土、細雨養花
(ふうせつばいど さいうようか)

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アメンボ、スイスイ。

アメンボがスイスイ。気持ちよさそうです。

見えますか?小さな円が5つ、影に映っています。

春の小川。岩で水の流れがせきとめられた所で、アメンボが水面を自在にすべっている光景です。

そういう気分が、想像できます。

もちろん、アメンボの世界は、私たちの世界とは違っていることでしょう。でも、きっと同じような気分はあるのだろう、と想像します。

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