Empathemian『Memory is like a trail』

Things that stay make your self.(とどまるものが、じぶん)

ドラえもん:どうしたらとどまるか?っていう質問だよね。
のびた:そうそう。覚えたとしても、すぐ忘れちゃうから。
ド:スポーツとおなじふうに考えてごらんよ。何かを身につけるには?
の:何回もくりかえす?反復練習のことね。
ド:本を読んでも、スポーツは身につかないよね。おなじ動きを何回もくりかえすことで覚える。
の:ことばも、身体をつかった声やリズムの運動だってことはわかったけど。
ド:言ってみれば、失敗をくりかえすってことなんだよ。
の:ふーん。失敗はよくないことだって思ってた。いつもそう言われるから。
ド:失敗って呼ぶからいけないんだね。走る練習をしている時にいちいち失敗っていわないよね。
の:だれか、早く言ってくれればよかったなぁ。
ド:スポーツと同じなのは、やさしいものから順にやっていくこともそうだよ。
の:それはあたり前だよ。いきなりむずかしいことはできないもんね。
ド:そう。やさしいことからマスターしていくとそれが土台になって、いろんなことがつながってくる。
の:英単語を覚えるのもやさしい単語からやってるんじゃないの?
ド:そもそも、単語だけ文字で覚えても意味ないよ。それじゃ覚えられないってだけじゃなくて。
の:で、何がいけないの?
ド:英語の学習の場合、目的は単語をそうやって覚えることじゃなくて、ことばをじぶんで使えることでしょ。
の:そりゃそうだけど。まず、ことばの意味を覚えるのは、日本語とおなじでしょ?
ド:でも、小さい時にことばを覚えるのは、いきなり大人の話から本で読んだりするわけないでしょ。
の:うん。でも教科書がそうなってるんでしょ。
ド:音やリズム、つまり、セリフを声にだしながら、想像してみるってこと。
の:こどもがことばを覚える時の基礎から順番にやれ、っていうこと?
ド:そのとおり。やさしい、みじかいセリフでいいから、じぶんで体験するってこと。それを積み上げていく。

記憶のしくみ「流れと階層」

の:話はちょっとわかってきたけど、こどもみたいにやったら忘れにくいってことなの?
ド:そうだよ。いちばんしぜんなこと。それどころか、そうやって日本語も身につけたんだから。
の:でもさ、日本語だって、すぐ忘れちゃうよ。英語の学習以外も、記憶のしくみがあるんでしょ。
ド:何で忘れるかって言えば、海馬が短期の記憶から長期記憶にする、しわけをしているんだ。
の:記憶ってフィルターされるの?
ド:そう。じぶんが体験して、音やイメージがたくさん結びついていることや、強い印象、感情が影響している。
の:くりかえすことは、海馬にお願いしますってメッセージみたいなものなのかな?
ド:そう。それに、ふりかえろうとすることで補強される。
の:神経回路のつながりが強くなるわけね。
ド:のびちゃん、すごいね。ぼくたちの話を覚えて、連想をつなげているじゃないか!
の:へへ。でさ、海馬ではどれぐらい記憶を保存しているの?
ド:1ヶ月ぐらいらしい。だから、復習することが大事。
の:覚えっぱなしは忘れるってことか。
ド:そうそう。毎週ふりかえって、ひと月でまたふりかえってというふうに、ループにするといいんだ。(*注1)
の:テストの前にいっぱいやっても忘れちゃうのは、復習しないから?
ド:もともとの思いや姿勢、覚え方が大事だし、そのとどめかたにもしくみがあるってこと。復習は必須。
の:いっぺんにやらないほうがいいの?
ド:毎日少しずつやる方がいいよ。
の:何がちがうの?

ド:これもスポーツと同じだよ。ひとつひとつのことが身につく前に、いっぺんにやっても無駄になりやすい。
の:順番につみあげていくといいんだね。それでつながりができる、と。
ド:それから、睡眠も大切だよ。
の:あー、たくさん眠った方がいいんだっけ?眠っている間に記憶を定着させるって。
ド:たくさんというより、眠りの質、それに時間帯もあるよ。(*注2)
の:毎日やるってのは、睡眠をはさんで、継続的にってことなんだね。
ド:そのとおり。
の:他には何があるの?身につけるために必要なことは。
ド:ひとことでいうと、姿勢。
の:姿勢って、背筋を伸ばしてっていう、身体のこと?それとも、気持ちとかの心の姿勢?
ド:まさに、その両方。思いやねがいも姿勢の要素。英語なら、英語を使う人になったつもりでやってみること。
の:身体の姿勢はどうすること?
ド:静穏。静かな場所にすわって、身体の力をぬいて、気を楽に。
の:姿勢が大切だっては話はよく聞くよ。でもさ、記憶の定着にも関係あるの?
ド:もちろん。落ち着いた間をつくることは、すべてにつながること。ゆっくりする部分と身体を速く動かすことは表裏一体。
の:ふーん。でも、その時、脳の神経回路では何が起きているの?
ド:脳波って聞いたことある?
の:瞑想とかすると、ナントカ波がでてくるって話を聞いたことがあるよ。それ?
ド:θ(シータ)波っていうのが出ている時は、たのしい、おもしろい、好奇心や探究心と関係していることがわかっているんだって。(*注3)
の:その波が出るようにするにはどうするの?
ド:想像することだよ。そのつもり、相手に語りかけているつもり、そういうイメージを湧かせる。
の:想像するってのは、そういう気持ちにしむけるプラクティスだったんだね。
ド:ふつう、想像は、しぜんに起こる心の働きだと思っているけど、何もしないと何もおきないよ。
の:想像しやすくする姿勢をつくるってことだったんだね。

記憶のサイエンスとプラクティス ③ ことばを思い出すには?につづく (明日のエンパレット配信後、リンクされます)

記憶のサイエンスとプラクティス ① ことばを覚えるには?にもどる

出典・参照:『英プラ・英プラを詳しく知ろう」「言語と音声のサイエンス」

池谷裕二『記憶力を強くする』、Lisa Genova 『Remember:The Science of Memory and the Art of Forgetting』

Veronica O’Keane『A Sense of Self: Memory, the Brain, and Who We Are』

西川伸一「人間の記憶」

(*注1)「エビングハウスの忘却曲線」と呼ばれる知見があります。学習には、周期的な復習が必須です。

ヘルマン・エビングハウス

忘却曲線

(*注2)睡眠と記憶の関係、ストレスと記憶の関係などの科学的な知見があります。

エンパレット「眠りはいのち」シリーズ①②③④をごらんください。

(*注3)θ(シータ)波は、1秒に5回ぐらいの周波数(0.2秒)で規則正しくリズムを打つ脳波。シータ波によって、海馬で、日々、あらたなニューロンができていることがわかっています。