
タコの生態なんかで、人間の心がわかるんですか?
共感?下等な動物の共感的な情動はあるだろうね。
つい、そういう「常識目線」で考えていますよね。
ピーター・ゴドフリー=スミスさんは、海の底に潜る哲学者。生物学、心理学など幅広い研究をするダイバーです。
深海でタコとふれあい、共にじっくりと時を過ごしながら「心」について考えます。
『Other Minds (ほかの心)』では、驚くような事実が紹介されます。
スミスさんは、こう言います。
「タコは、相手(人間のこと)を実によく知っている。気に入らないと、嫌がらせをしたり、いたずらしたりする。しかも、人間の反応を「楽しんでいる」かのような行動をとる。
タコと一緒にいると、「下等な」動物という囚われが消え失せるだけではない。進化の過程はひとつではないだろう、という思いを抱かされる。」
下等なものから高等なものへ。単純なものから複雑なものへ。心のないものから心のあるものへ。真実はそう単純ではないのかもしれません。
スミスさんは、ウィリアム・ジェームズのことばを引きます。
「科学のどの領域であれ、重要なのは連続である。連続性において物事を捉えると多くのことが見えてくる。」
世界は、もともと、自他が連続している。
心というつながりが先にあって、その中でみな、共に生きている。
私たちは、そのことを、プラクティスして、まなぶのですね。
出典・参照:ピーター・ゴドフリー=スミス 『Other Minds』(邦題:タコの心身問題)、『毎プラガイド』