Empathemian, Toscana, Italy

We are connected in time.(時間でつながっている)

イタリア・トスカーナ地方。

ここは、かつて、エトルリア王国でした。
ローマ帝国以前、600年にわたり、栄えました。
トスカーナということばもエトルリア語から来ています。

エトルリアは、多くの文化遺産を残しました。
が、その存在はすっかり忘れられています。
文字で記された歴史が未解読だからです。

エトルリア語は、インドヨーロッパ語ではありません。
現在のヨーロッパ文明と、直接つながりを見つけづらいのです。

わずかに残されたエトルリア語のアルファベットで書かれた墓誌が解読され、小アジア(現在のトルコ)起源説が有力です。
近年、DNA比較分析で、トルコの地中海沿岸都市イズミール周辺から、集団移動があったことが明らかにされました。(*注1)

Empathemian, Tuscany, Italy

こんな話をしてくれた人がいます。
トルコ人のデミルさんです。(*注2)

「私はトルコ人の建築家です。
出身は、地中海沿岸イズミールに近い小さな港町。

仕事の関係で、よくフィレンツェに行きます。
街を歩いていると、必ずと言っていいほど、起こることがあります。
イタリア人が近寄ってきて、イタリア語で「写真を撮って」と私に頼むのです。

私も、私の兄弟も、イタリア人に似ているとよく言われます。
イタリアも文化のバラエティが豊富ですよね。
いろんな顔の人がいます。

私の場合は、トスカーナ人とよく似ているようです。
決まってイタリア語で声をかけられるたびに、なんだか家にもどってきたような気分になります。
トスカーナの人が私の地元に来ると、おなじような気分になるかもしれませんね。」

エトルリア語は、インド・ヨーロッパ語ではありません。
トルコ語も、日本語もインドヨーロッパ語ではありません。
端的に言うと、インド・ヨーロッパ語でないことばは、日本語とおなじような語順です。
トルコ語は、日本語と同様、膠着語といって「てにをは」があります。

すると、もしかしたら、エトルリア語も?
想像がかき立てられますね。

旧石器時代のユーラシア大陸。
遠い昔を想像すると、言語もつながりがあったことでしょう。

エトルリアにつながる②へつづく

出典・参照:など

(*注1)現代のトルコにあった、ヒッタイト王国は製鉄の発祥として知られ、世界最古の製鉄遺跡が見つかっています。文明の栄えた地には多くの民族が移住、興亡もあったことでしょう。地中海沿岸には、交易に長けた海洋民族が住んでいたことも想像されます。民族の移動には、出元の環境・事情と、出先の環境・事情があります。エトルリアのあったトスカーナ地方は鉱物資源が豊富です。鉱物資源を求めた産鉄民や、海洋交易に携わった人たちが、イタリア半島のトスカーナ地方にやってきて、エトルリア文明を反映させたことが想像されます。

(*注2)ちなみに、デミルというトルコ語の名前は「鉄」という意味です。

エトルリア