Empathimian 『Varve』

安田喜憲さんは、「環境考古学」という新しい道を切りひらきました。その中核概念である「花粉と年縞」を発展させ、「文明の環境史観」を唱えます。

「花粉分析とは、地中の堆積物に含まれる花粉の化石を調べる分析手法である。花粉は強い膜を持っているので、落下したところが湿原や湖底など、紫外線や酸化作用を受けにくいところでは何万年も残る。花粉は種類によって形が異なるので、その形によって種類がわかる。花粉分析によって、数万年の過去、森の変遷や気候変動を再現することができる。」

「昆虫の化石や、地中の堆積物にも過去の環境を知る大きな手がかりがある。湖底の堆積物を採取すると、白と黒の縞模様が発見されることがある。白い層は春から夏にかけて繁殖する珪藻(けいそう)が堆積したもの、黒い層は秋から冬にかけて粘土鉱物が堆積したもので、これを「年縞(ねんこう)」と呼ぶ。樹木の年輪のように、年縞を上から1本ずつ数えて算出した年代は、限りなく歴年代に近い。」

失われていたものが、蘇ってくるようですね。ところで、エンパシームの記録「エンパグラフ」も、この話に通じています。エンパグラフは、じぶんの手や声、空気の様子など、ふるまいの小さな「つぶ」がたくさん集まったものです。ひとつひとつは、花粉のように取るに足らないものと思われがちでも、集まり、つながり、色々なパターンができると貴重な「じぶん情報」になります。

「データからの復元・再構成」といえば、科学的でそのためのテクノロジーも登場し、共通点は多いのですが、いちばん本質的なことは、それが人間の想像力を活かし、意味を見出すということです。
もちろん、それ以前に、自然のふるまいー花粉にせよ、声にせよーが、存在することも。

じぶん土壌に記憶されている、縞模様。

じぶんでつくる縞模様だから、かならず気づくことがある。

出典:安田喜憲「文明の環境史観」