挿絵:Empathemian 『Penka』

Voice it out. (声に出してみよう)

あまい あまい かぶになれ。
おおきな おおきな かぶになれ。
うんとこしょ どっこいしょ。

どこかで、聞いた覚えがありませんか?

ロシア民話をトルストイが構成し直して絵本にした『おおきなかぶ』の一節です。

おじいさんは、おばあさんを呼び、おばあさんは、孫を呼び、孫は犬を呼び、犬は猫を呼び、猫はねずみを呼び、みんなで掛け声をかけ、力をあわせて、大きなかぶを引っこ抜く話です。

それだけです。
でも、かけ声のリズムがあり、記憶に残ります。

かけ声には、みんなの努力をひとつにあわせる力があります。
それだけではありません。
いつか思い出せる「ことば」として、じぶんと共にいて、助けてくれる力になります。

大きなかぶの話の内容は忘れていても、おなじリズムで声をかけるから、かんたんに思い出せるのです。

It’s the rhytem that remembers you.(リズムがじぶんを覚えている)

チャーヌットゥ、パチャーヌットゥ。
ひっぱって、ひっぱって。
ロシア語では、こんなふうに聞こえます。

ひと息の、声のリズム。
それが、力を備えたことば。
思い出せるのは、音とリズム

意味を覚えようとせずに、まず、声のリズムを刻むことで、ふだんは忘れていることが、思い出されます。
身体動作と声のリズムが一体になり、あとになってから、記憶を復元するすごい力になるのです。

Believe it or not, your voice is very powerful. (声にはおどろくほどの力がある)

「声をかければ、じぶんでひらく。」もあわせてごらんください。


出典・参照:トルストイ『おおきなかぶ』、以下のエンパレットなど

声は、じぶんと宇宙を結ぶ路

真実とは?[くりかえす声のことばでできている]

インナースピーチ 心の中のことばを抽出する(1)思考を形づくる内語

肉声は心の中心にある(音とイメージをつなぐもの)

Wikipeida「おおきなかぶ」