Empathemian『Inner Speech』

Inner speech shapes thoughts.(内語が思考をつくる)

人生を物語る数字。
80年ぐらい生きるとして、ざっくりと概算してみます。

心臓の働き(心拍数:1分間に12〜16回):24億回
息の出し入れ(呼吸数:1分間に15-20回):7.3億回
まばたきの回数(1分間に15-20回):5億回
歩く回数(歩数):1.5億回(*注1)

どれも、すごい数になりますね。
では、心の働きや、脳の運動を表す数字はどうでしょうか?

思う数:3億回(1分間に11回)
何らかの思いがわきあがる瞬間の回数です。(*注2)
無意識的ものも含め、もやもやした想念のようなものから、後から思いかせるものまで。
この中に、ことばで捉えられるものが入っています。

私たちは、息をして、身体を動かし、そして心も働かせています。
心の働きの最大の友はことばです。
つねに、ことばを生み出し、使って生きています。

Empathemian『内語、いろいろな呼び名』

Inner speech reflects your world.(インナースピーチはじぶんの世界をうつす)

ことばは、人とのコミュニケーションだけに使われるのではありません。
声に出さなくても、心の中で使っています。
考える時、覚える時、思い出す時。
思考をつかさどるものは、心の中で発するじぶんのセリフです。

心の中でつねに使いながら、気づいていないことば。
それが、インナースピーチ。
内語(Inner Speech)と呼ばれます。

ふだん、ほとんど気づいていません。
が、認知、思考のプロセスとして、心の中で発せられることばがあります。
この内的言語を使って、考えることができるのです。

インナースピーチのほとんどは、じぶんに関係することです。
心の状態や思考をいったん表現してみて、気づいたり、確かめたりできます。
その意味で、じぶん自身との対話なのです。

内なる声(inner voice)とか、じぶんに語る(self talk)といった表現もあります。
自己との対話(internal dialogue)と呼ぶと、すこし大げさに聞こえるかもしれません。

ふだん、そんなにじぶんに何か言っているのかなぁ?
心当たりはあるけれども、漠然としてどれぐらい使っているのか、じぶんではわからないところがありますね。

その理由は、人間の活動のほとんどは、無意識的だからです。
声に出す発話も、心の中のセリフも、無意識的なものが多いのです。
そして、ことばが紡ぎだされるときは、自動的な運動です。
ひとつひとつのことばや、音の連なりを考えながら話すのではなく、一気に、つまり自動的に発せられるのです。

Empathemian『Inner speech reflects your world』

内語は、日常的に心の中で言っていることばすべてを指します。

「何、これ?」
「そうか、なるほどね。」
「あー助かった」
「さんよんろくのはちはちごーいち」
「牛乳、牛乳」
「気にしない、気にしない」

内なることばは、思いの数中でのどれぐらいを占めるのでしょうか?
ざっと見積もって、思いの数の3分の1と推定します。(*注3)
個人差もあり、また、たくさん使う時、そうでない時などがあります。

1日16時間、さらに夢を見ている間にも、短いセリフが湧き上がります。
1分間に2-3回。
他愛もない掛け声のようなものも、インナースピーチの一部です。
生涯を通して、短いセリフを1億回以上発している、と考えられます。

Embrace your inner speech.(心の中のことばを大切にしよう)

There’s a chance a few times in every minute or 100 million times in life.(1分に2-3回、人生で1億回のチャンスがあるんだから)

日々、いろんなことが頭に浮かびます。
何かの場面を思い出す時は、だれかのセリフが頭の中でくりかえされたりしますよね。
他人の声がじぶんの中で聞こえる時、それは、じぶんの心の中のことばとして訪れます。
つまり、じぶんのインナースピーチになっているわけです。

ギリシャの哲学者プラトンは、心の中で発話することが考えることだと説きました。
「私は幸せだ」と思う時も、それは、ことばなしに感情が表現されている、ということではありません。
幸せという抽象化された概念(ことば)を使って、じぶんにセリフを語っているのです。

インナースピーチは、人生を通して絶え間なく起こる、膨大な数の出来事です。
じぶん(self)をふりかえることは、インナースピーチを使うことそのものです。
それなのに、私たちは漠然としか、心の中のことばを捉えていないようです。(*注4)

インナースピーチ 心の中のことばを抽出する(2)内語は意識のとびらへつづく

出典・参照:以下の文献、エンパレットなど

(*注1)心拍数(1分間に12〜16回)、呼吸数および瞬き数(4-5秒に1回)と違って、歩数には個人差もありますが、1日5000歩として算出。それぞれ寿命80年で概算。

(*注2)「思いの数」の概算について。人間の平均寿命で処理する単語の数は、およそ35億。人は、平均して4万語以上を記憶していて、毎日10時間以上、それらのことばを使った脳内作業を行なっています。現代の日常は、平均7時間をオンラインで過ごす。仕事での文書処理はもとより、個人の時間も、ネット記事を読み、YouTubeやSNS、ビデオ、音楽など。会話では10000語を発し、脳は、1日に約15万にもおよぶ単語を処理しています。実際の言語使用の単位は、単語ベースではなく、文やセリフ、大半は1-2秒の短いフレーズです。換算すると、1日3万フレーズ。起きている時間(および夢)を16時間において、1分間に30フレーズを処理していることになります。数秒ごとに、脳は言語的な刺激を受け、認知・思考の働きがくりかえされます。心の中に何らかの思いがわき起こる瞬間、広い意味での思考回数はどれぐらいでしょうか?

ダニエル・カーネマン博士は、1日起きている間に、2-3秒間、何らかの思いが立ち上がる心理的瞬間は、20000回と推定しています。起きている16時間のあいだで、1分間に21回ほど、心理的なモーメントがあると言います。この中で言語されないイメージや想起なども多く含まれると考えられることから、言語に関わるものとして約半数を広い意味での思考と想定すると、1分間に10-11回。生涯に積算すると、3億回。(出典:Daniel Kahneman『Living, and thinking about it』

(*注3)インナースピーチの頻度について。心の中のことばを厳密に数えることはできませんが、できるだけ推定するための、いくつかの調査研究および論文があります。思考や想像に占める割合の調査には、結果にバラツキ(26%ー68%)がありますが、低く見積もり、簡素化して、思考・想像の1/3と想定します。1分間に2-3回の頻度で起こる、短いことば。一方、思いは言語的な処理にトリガーされているとしても、全体の2/3は、刻々と浮かんでは消えるかのように、時間的にも後から意識化・言語化しづらい、ということ。読んだり聞いたりしたことも2/3以上は忘れてしまう、という研究もあります。インナースピーチは、内的に概念を凝縮化し、また対話的な想起として力を発揮しますが、個人差もあります。ことばにして出すことで、じぶんの心の中で起こることを捉える習慣をつけやすくなるとも言われることと関係するでしょう。

(出典)Ben Alderson-Day & Charles Fernyhough『Inner Speech: Development, Cognitive Functions, Phenomenology, and Neurobiology』、Russell T. Hurlburt & Christopher L. Heavey 『Measuring the Frequency of Inner-Experience Characteristics』、Alain Morin 『Inner Speech and Consciousness』、Jeremy Skipper 『The neurobiology of language and consciousness』

(*注4)カーネマン博士の論文から20数年たち、現代生活のおけるオンライン依存は急速に高まりました。平均で、1日の稼働時間の半分近くをインターネット上で過ごしているのです。これは、1年365日のうち、100日以上オンライン生活をしていることになります。そこで扱われている情報量は上記に示したような膨大な量になります。そこでわき起こる思考・想像回数も膨大になっていることでしょう。そのうちのごくわずか一部の、大切なことばを、じぶんの声にだして抽出することには大きな意味があります。3億回の思い、1億のインナースピーチといった大きな数は、ことばの数ではなくて、脳の処理・心の働きの回数です。何億語を出し入れすると言っても、ふだん使うことばは、せいぜい数百語です。人生のうちにほんの何回かしか、出入りしないことばもあれば、youとかIとか、毎回のように使っていることばもあります。実際の使用単語の頻度は、極端に偏っており、大半の単語は、100万分の1の頻度。のべ少ないことばのくりかえしとつながりで、固有のことばネットワークをつくっているからです。(エンパレットことばは寄りそいあう① [言語の本質はつながり]で詳しく解説)。つまり、1日、ほんの数分の、声に出す場・時間をもつことで、じぶんにとって人生のことばを抽出し、精錬させることができる、といえます。インナースピーチをカタチに出し、それを使うことです。エンパシームはそのしくみです。

天然資源のアナロジー(出し入れする声セリフこそ)

Self-Talk(ポジティブ思考よりも、じぶんに気づくこと)

内語をふるまう

内語に親しもう

人生は2秒単位でできている①(一瞬の単位)

人生は2秒単位でできている②(発話の単位)

人生は2秒単位でできている③(思考の単位)

ゼロ人称のじぶん①(発話以前のわたし)

ことばを身につける ⑤ 「ほんの3分で変化が生まれる」