
「素」ということばほど、とても身近で、大事なことばは、他にあまりないかもしれません。
素とは、手を加える前の、もともとの、自然のままの、素(もと)になるものです。物事の、はじまり以前の、シンプルな、姿、形、質。
素のつくことばをあげてみましょう。
素手、素顔、素肌、素足、素心、素ぶり。
素直、素朴、素人。素性、素養、簡素、質素。素地、素材。元素、要素、素子。素敵な、素晴らしい。
素読ということばがあります。『論語』の学習では、素読という方法が用いられました。
声に出して、ことばを読む。繰り返し、自分の声で出力することで、文字通り、身につけることです。
文章の解釈、つまり「正解」を教わるよりも、まず、自分の中に取り込むこと。
取り込んだ「声ことば」は、じぶんの一部になります。
そうして、いつでも引き出せるようにすることが「まなびの土壌」になるのです。
人に教わったことばは、何もしないままだと、すぐに忘れてしまいます。
一方、じぶんのふるまいで身につけたものは、じぶんで学ぶ糧になり、いつでも思い出すことができます。
身につくのは、じぶんのふるまいだけ。
素直に、シンプルに、ありのままの、自然なふるまい。それは、呼吸、そしてじぶんの声。
じぶんの声で、じぶんの体に出し入れすることだけが、身につくのです。
飾らず、構えず、考えすぎず。
素のふるまいが、じぶんをつくる素材になり、じぶんの素地をつくります。
エンパシームをつくることが、そのまま、素のふるまいになります。
Keep it simple.
素の力を引き出すことだけで、できる。
Practice Empatheme.
出典・参照:『英プラ』 トレイル 1 (21) Keep it simple.