Empathemian『Periodical Cicadas 2021』

The mind is an activity, not a repository.(心は活動。貯蔵庫ではなく)(注1)

しずかさや 岩にしみいる 蝉の声  (松尾芭蕉)

岩にしみ入るほどの、盛大なセミの声。
それなのに、なぜ「静かさ」?

セミの大群が鳴いていた夏が去ったからです。
思い出すことで、閑かさが感じられるのです。

想像の音が、静かな心を浮かび上がらせます。(注2)

今年の夏、アメリカ北東部の木々は、鈴なりのセミで覆われました。
17年ごとに現れる、周期ゼミ(Periodical Cicadas)です。
17年間、幼虫として土の中で暮らし、最後の数週間を地上で過ごすのです。
木の下に縦型のトンネルを堀り、木の汁を吸って少しずつ成長します。

17という数は、素数。
割れる数がないので、長い間、他の生き物と地上に出る周期が重なりません。
周期のちがうセミとの、交雑のバッティングを避ける知恵。

その数、数千億にものぼると言われます。
想像を超える数?
いいえ、想像することを忘れているだけかもしれません。

地球の生きる生命の大半は土の中、海の中にいます。
ウィルスや細菌は目に見えませんが、セミの幼虫は目に見える大きさです。
夏は過ぎ、地中で新しい命のサイクルのはじまったセミが、あなたの足下にも。

ファーブル博士によれば、セミは目がよい(5つ目がある)けれど、耳はそれほどよくない?らしいです。
なるほど、大音量でも「しずかに」に歌っているつもりなのかもしれません。

Fun to imagine a world beneath. (地中の世界を想像する楽しみ)

Fun to Imagine (7) [想像の行為がどこでもドアをつくる]

じぶんがじぶんの相手になれば [ダーウィンとミミズ] 

じぶんという土壌

あたりまえフィルターをはずす

共業(ぐうごう)[すべてのいのちは共に生きている]

Fun to Imagine (5) 水のネットワーク② [密林の奥底から想像する]

「空気に包まれて、忘れていた」じぶんにあとから気づく

出典・参照:アンリ・ファーブル『昆虫記』、奥本大三郎『ファーブル昆虫記』

Public Domain Review: Fabre’s Book of Insects

(*注1)アンリ・ファーブルのことば

(*注2)エンパレット心の世界は五感を結いあわす[さかさまにすると誤解にも気づく] をごらんください。

周期ゼミ

Periodical cicadas

ジャン・アンリ・ファーブル