Empathemian, Yucatan, Mexico

Fun to imagine deep inside.(奥深くを再現する愉しみ)

北米ユカタン半島には、まだ密林に埋もれたままのマヤ文明遺跡が数多くあります。
昨年、メキシコとグアテマラの国境の密林で、最大規模の建造物が確認されました。(*注1)

ライダー(LIDAR) 測量技術によって密林の奥深くが立体イメージとして浮かび上がります。(*注2)
測量の結果から多くのことがわかります。(*注3)
また、想像力を深める補助となり、これまで謎とされていたことが解明されていくことでしょう。

忽然と消えた古代文明。
そんなふうに言われてきました。
いいえ、文明は、忽然と現れたり、消えたりはしません。

近年、ライダー測量を駆使した研究成果に、古代クメール王国があります。

アンコールワット遺跡で知られるクメール文明もまた、マヤ文明とおなじように「密林に忽然と消えた」とされていました。

なぜ、密林に埋もれたのか?
なぜ、衰退したのか?

ヒントは「なぜ、どのように繁栄したか」にあります。
測量による密林の復元で明らかになったことは?

Empathemeian『A letter ffrom Angkor』

王国の水路ネットワークが崩壊していたのです。

クメール王国は:

・モンスーン気候の最安定期に発展していた。

・ピークを過ぎてから、数十年の連続した、極端な干ばつがあった。

・長い干ばつ期のあとに、大洪水にみまわれていた。

「水のネットワーク」をつくりあげることで繁栄した文明。
その給水システムの崩壊、エネルギー・経済基盤の喪失によって王国は衰退へとむかいました。

マヤ文明の崩壊ともよく似ています。
気候変動の大きさ、環境の変化に、それまでの繁栄基盤を支える方法がなかったのです。

洪水で水路が壊れただけではありません。
自然環境を利用するエンジニアリングによる、大きなインフラを突然、変えることはできません。

大きくなったエネルギー需要も経済規模を支える方法がありませんでした。
繁栄とおなじ道を通って、文明が衰退したのです。

文明が、忽然と密林に消えたのではありません。
人々が徐々に都市を放棄して、場所を移って行ったため、密林にもどったのです。

光のテクノロジーによって、密林や地中の物体をイメージにすることができるようになりました。
でも、文明に支えられた精神文化を見るには、そのイメージから想像を深める必要があります。

冒頭に紹介した発見にも、こんな見出しがついていました。
「マヤ文明で最大の建造物見つかる。文明観を覆す発見」(*注4)
これまでの文明観とは「王の権力で奴隷が働いて、巨大な建造物をつくっていた」というイメージでしょう。
貧富の差もない社会で、よくそんな巨大なものをつくれたな、と。

浮かび上がってきた絵図から想像される世界は、そうではありませんでした。

常識となり、思い込みとなった世界観を変えるには、きっかけがいります。
テクノロジーの補助で、見えないものを深く想像するきっかけがたくさんあります。

見えないものを見るだけでなく、見えるものからしっかり想像することです。

Fun to Imagine(4) 水のネットワーク①[見えないものを実感する方法]

見えるものをしっかり見よう

共感の精錬 (1) アルマデン水銀鉱山遺跡を訪ねて(フォトエッセイシリーズ)

エンパシームは体験の光粒(マヤ遺跡にて)

出典・参照:The University of Sydney 『New discoveries redefine Angkor Wat’s history』、坂口和子『裸足の訪問』 

(*注1) アグアダ・フェニックス  Aguada Fénix

(*注2)LIDAR (light detection and ranging) レーザー光を照射した物体からはね返って時間で測量する技術。

(*注3)地球の気候変動による環境の変化は、現在の環境に残されています。木の年輪や大地につもった花粉やプランクトン死骸の堆積によって、地球の数万年の「記憶サンプル」を採取し、復元することができます。湖底の土の堆積物を掘り出し、年縞(ねんこう)を調べます。こちらのエンパレットに。

地球のふるまいの縞模様 [気づきのカプセル]

(*注4)「マヤ文明で最大の建造物見つかる・文明観を覆す発見」

アンコール・ワット