Empathemian, Sanborn County Park, California

There’s no living alone.(ひとりで生きるいのち、というものはない)

のびた:ねぇ、ドラえもん。ウィルスって生き物?
ドラえもん:いのちはあるか、って?
の:他の生き物にのりうつって、その力で増殖するんでしょ。
ド:そう。生きているように見えるよね。
の:生きてなかったら、死んでるの?それじゃ、ゾンビだよ。
ド:ウィルスは生命体だと主張する研究者もいるよ。
の:ただの物質なの?
ド:生き物はみんな、物質からできている。
の:何がちがうの?
ド:じぶんで、っていうところ。生命体の定義。

の:ウィルスってどれぐらいいるの?
ド:星の数よりはるかに多い。
の:じゃ、地球では圧倒的にいちばん多い生き物なわけね。
ド:そう。人間の体の中にだって何十種類もいるんだって。
の:細胞がウィルスを中にいれてウィルスを増やすんでしょ?
ド:そう。ウィルスが侵入して、細胞のしくみを利用するわけ。
の:細胞が中に入れてあげるの?
ド:望んでるわけじゃないと思うけど、ウィルスのホストファミリーになる。
の:だれかが突然中に入ってくると、我を忘れちゃうみたいなのかね。
ド:我を忘れてるかどうかわからないけど、一生懸命ウィルスをコピーしてあげる。
の:ウィルスって自分で増殖できないの?
ド:細胞の機能をつかって、増えるんだ。
の:道具を使って、じぶんで増えているってことじゃない?
ド:そういう見方もあるかもね。でもあくまで、ホストの細胞の力があってこそ。
の:細胞がのりうつられて、ウィルスになっているということでしょ?
ド:でも免疫力のほうが強くなってくると、もとにもどるんだよ。
の:ということはやっぱり、細胞がじぶんでウィルスを増やしていたってことじゃない?
ド:そういう状態を感染って呼ぶんだけど。
の:細胞が感染したんだから、感染している時はウィルス役だよね。
ド:なりきっているんだね、しばらく。

の:生きているってのは、だれが生きているの?
ド:いのちがある個体。いのちがあるから生きている。常識では。
の:なんとなく、変じゃない?生きているから、いのちなんでしょ。
ド:生きている、とは環境との相互作用があってじぶんで代謝すること。
の:ウィルスにとっては、細胞が環境なんでしょ。
ド:じぶんで代謝しないかわりに、他力で増えるスタイルともいえる。
の:じゃ、生きているんだね、共に。

Empathemian, Grinnell, Iowa

生命とは何か?という言い方をする時に忘れていることがあります。

「生きている」ということと、「生命体」という概念は、おなじではありません。
意味は同じようでも、捉え方、捉えている対象範囲がちがいます。

「生きている」とは、環境と相互にやりとりしていることです。
従って、「ひとりで生きている」ということはありえません。

生きている状態を個体ごとに捉えて生命体と呼びます。
それに対して、いのちは「みなが生きている」世界を踏まえたことばです。

いのちがあるから生きているのではありません。
生きていることが周り、つながりをふくめて、いのちなのです。

もちろん、人間がことばを使って考える世界において、そのように捉えられるということです。

ふだん私たちは、(生命体として)じぶんがいて、それが生きていると考えますね。
でも、本当は、生きているという現象(環境)があるから、「いのち」なのです。

・生命体:生きている個体

・生きている:周りも含めて起きている現象

・いのち=共に生きている

大和和尚さんは、こう言います。

「仏法に、共業ということばがあります。「きょうぎょう」ではなく、「ぐうごう」と読みます。業は(ごう)、サンスクリット語の「カルマ」の直訳で、行為という意味です。業とは、わたしがいのちとして存在しているということを、意味しています。地球上の存在のすべてが、行為をおこなっているのです。」

「共業とは、業を共にしている、ということ。お互いが関係しあい、助けあって、なりたっている。「おたがいさま」なのです。ふだん私たちは「じぶんと敵」という見方で生きています。でも、それは生命の本来のあり方ではありません。」

We all live together.(みな、共に生きている)

共業は、そのことを思い出させてくれることばです。

やさしい視点を持つことで、世界の見え方は変わります。
「やさしい」とは相手の方からみることです。
共感的な想像力が発揮されると、人はしぜんに、やさしくなります。

実はオウンゴール?

地球になる、サッカーボールになる。

じぶんがじぶんの相手になれば [ダーウィンとミミズ]

春花秋月これ心なり

出典・参照:大和和尚 『共業』

上の写真のリンクに共業についての短いお話を音声収録しています。