
「レジリエンス (Resilience)」 ということばがあります。
何かがあっても、負けないで元気を取り戻せること。回復力のことです。
レジリエンス、こころの回復力こそ。
藤田紘一郎さんは、こう言います。
人間が本来もっている「こころの回復力」を引き出す新しいパラダイムが必要になっている。
「レジリエンス」すなわち、「心の免疫力」に目をむけよ、と。
「こころの病」が増加する一方の現代社会。こころの問題は、単に「脳の問題」ではありません。免疫系、つまり食べ物や腸内細菌までもふくめた、体全体の問題です。
精神科・心療内科だけでは「こころの病」は治りません。人間本来の回復力をひきだすために、当事者が自分自身をトータルに見つめ直すことが必要です。
私たちの免疫の約70%は腸内細菌によってつくられています。500種、100兆個の細菌が存在する腸内細菌草叢(マイクロバイオータ)。腸内細菌が減少すると免疫力が低下します。セロトニンの95%は腸でつくられますが、不足すると、疲れやすくなり、集中力を持続できなくなり、うつ病の原因にもなります。
「清潔」を求めすぎるあまり、除菌、抗菌が、腸内細菌さえも安心して腸にすめない環境をつくりだしてしまっている事実に、目を向けなければいけません。
「お医者さんと患者さん」の問題ではなくて、それ以前、それ以上に、ひとりひとりが、じぶんの「身心」にむきあうことなのです。
負けない心は、何もガムシャラにがんばることでも、無理を強いることでもありません。
じぶん自身にやさしいまなざしで、語りかけることです。
Be resilient.(心の免疫力を高めよう)
出典・出典:藤田紘一郎『こころの免疫学』