Empathemian, In front of Eigar, Switzerland

You fear being fearful.(怖い、のではなく、怖くなる気持ちをおそれている)

勇気に文法があるの?

はい、あります。
でも、文法とは、本を「読んで覚える知識」ではありません。
プラクティスして身につけるふるまいが、文法です。

ちなみに、英語の文法もおなじです。
文法か?会話か?といった分類をすると、「文法なるもの」がどこかにあるように錯覚してしまいます。
文法は、ことばを使うことで、自然に身につけるルールです。
ことばを出し、入れ、相手を想像するプラクティスの中にあります。
プラクティスを身につけた時、その中に文法ができているのです。

さて、勇気もおなじようなところがありそうです。
のびドラ会話で、いっしょに考えてみましょう。

勇気って何をすること?

のび太:ねぇ、ドラえもん。勇気ってどこにあるの?
ドラえもん:なんで?
の:だって、勇気を出せって言うでしょ。
ド:心の中にあるかって?
の:出せ、っていうからには、中に入っているはず。
ド:なるほど。「心はどこにある」って話したよね。(*注1)
の:勇気をもらうとか、勇気づけられるとか、言うでしょ。
ド:勇気は、ものじゃないからなぁ。
の:目に見えない「もの」なんでしょ?

ド:勇気は、行動。行動として表すこと。
の:あ、勇気ある行動とか、よく言うね。何すればいいの?
ド:人を助けること。
の:人を助けることが勇気なの?
ド:助けるって、思い切ってすること。人がしないことをすること。
の:怖がらないことなんでしょ。
ド:怖い時に、怖がらない気持ちをつくろうとすること。
の:ん?勇気のある人は、怖くないんでしょ?
ド:そうじゃなくて、その気持ちを克服するんだよ。

何が怖いの?

の:克服?怖くなくてもさ、身体が動かないよ。
ド:心のどこかで失敗を怖れているんだよ。
の:みんなそうなの?
ド:もちろん。生きているものはみんな、怖い気持ちを持つもの。
の:じゃ、怖い気持ちはなくならないんでしょ?
ド:そう。だから、克服するしかない。その気持ちよりも、もっと強いものをつくることで。
の:もっと強いものって何?
ド:支えになるもの、つまり、勇気づけてくれるもの。
の:えー。そんなものがあるなら早く知りたいなぁ。
ド:じぶんだけじゃない。心全体をつかって、克服するんだ。
の:ふーん。で、どうしたらいいの?

ド:のびちゃんは、何が怖いんだと思う?
の:お化けとかじゃないのにね。雰囲気が怖いのかな。
ド:先のことはわからない。だからいろいろ考えちゃうんだ。
の:失敗は恐れるものじゃないの?
ド:ちがうよ。失敗はプロセス。必ず通る道。
の:でも、いやだよね。失敗したら。
ド:何でいやなのかな?
の:怒られるからだよ。
ド:だれにも怒られない、だれもみていない時は?
の:そうだなぁ。ま、とにかく、怖いんだよ。
ド:怖いと感じる元になるものがあるんだね。

Empathemian, On the Trail, Switzerland

Embrace the joy of unknowing.(未知の愉しみを大切に)

先のことは、だれにもわからない

の:元って何?
ド:不確実ってこと。
の:リスクをとるってこと?
ド:リスクは怖いとか危険という意味じゃないよ。
の:ちがうの?
ド:未来は決まっていないから、不確実。未知。
の:未知ね。で、どうしたらいいの?
ド:向きあうことだよ。
の:向きあうって?
ド:素直に受けいれること。
の:受け入れるって、どうするのさ?
ド:じぶんにできることをすること。
の:できることをする、って、いつもやってるけど。
ド:うーん、どうかな?
の:なんで?ふだんしていることが、できることをするってことでしょ。
ド:本当はできるのに、しないことがあるんじゃない?
の:えーと、まぁ、そう言われればそうだけど。
ド:人を助けようと思っても、その場になると素通りしちゃたりとか。
の:うん。ドラえもんみたいにいつも親切にはなれないなぁ。親切って勇気なんだね。
ド:それから、トライしてみたらいい時に、しないとか。
の:しないつもりじゃないけど、つい、しないままで。
ド:そういうもの。できない話はどこにもないのにね。
の:先がわからなくて、行動すれば勇気なの?
ド:先のことはだれにもわからない。
の:だから?

I am encouraged.(勇気づけられる)

勇気は、その一歩のこと

ド:怖いもの知らずのことじゃないよ。
の:でも、思い切ってやれ、って言うんでしょ?
ド:勇気は、じぶんの「外に出す」から、勇気。
の:何を出すの?
ド:一歩。
の:一歩?一歩でいいの?
ド:一歩踏み出すこと。
の:それがなかなかできないんだよ。
ド:そう、だから、そこに気づくことが勇気の第一歩。
の:気づけばいいの?
ド:「やればできる、でもやらない」というふうになっているじぶんにね。
の:でもさ、一歩じゃ何にもならないよ。何歩もあるんでしょ?
ド:ないよ。一歩あるだけ。
の:一歩だけでいいの?
ド:「一歩しか歩けない人」はいないよ。
の:あー、うまいこと言うね。
ド:一歩歩ける人は、何歩も歩ける。つまり、みんなそう。
の:一歩目がないと二歩目がない。
ド:そのとおり!一歩踏んで、あとは、それをくりかえすだけ。
の:そうか。一歩があればいいのか。
ド:そう思えたら、もう、一歩踏んでいるよ。

勇気の文法 ②(いきなり、勇気は出てこない)へつづく

出典・参照:以下のエンパレットなど

(*注1)心はどこにあるの?

本当のじぶん? [ひとりが勇気の姿]

ポルケとパラケ [勇気のカギ]

真実を語る勇気 [じつは、素はひとつ]

ひとりを自覚する勇気がじぶんの証 [だれにも知られない努力こそ]

小さな修養の原理②(プラクティスだけが唯一の持ちもの)