Empathemian, Sunnyvale, California

柳田邦男さんは、こう語ります。
「人生を旅にたとえるなら、誰しも生涯、平坦なところを歩いているわけではない。山や谷や暴風雨などと遭遇することはしばしばある。予想もしていなかった障害物に道をふさがれたら、大抵の人はたじろいで、しばらくはどうしてよいかわからなくなってしまうだろう。そんな時、私の脳裏に浮かんでくるのは、母が口ぐせにしていた言葉だ。

しかた、なかんべ
なんとかなるべさ

この二つの言葉は、私がパニックに陥ったりうつ病になりそうになった時に、どれほど防いでくれたかわからない。」

柳田さんは、こどものころ、全身に記憶されたお母上の姿と口ぐせの言葉を支えにして、困難を乗り切ってきたと言います。

「仕方なかんべさ、という言葉は、単なるあきらめではなかった。人間にはどうにもならない運命というものがある。そういう運命のいたずらにさからっても力が尽きてしまう。悲しみや苦しみを背負いながらも、コツコツ働いていけば、いつか必ず良い日が来る。だから「何とかなるべさ」というのだ。」

「なんとかならない」と、自分で決めることはできないのですから、あとは委ねればよいのです。
英語の表現にもあります。

It will be OK.
Things will turn for the better.

空を見上げて、じぶんに言ってみる。それは、じぶんの声に託されたことばの響きを聞くことです。


出典:柳田邦男『自分を見つめるもうひとりの自分』、『英プラ』 トレイル 1 (16) Things can turn for the better.