小さいだるまちゃんと、小さいてんぐちゃんが遊んでいました。「それ、なあに?」「これは、てんぐのうちわだよ。」「ふーん、いいものだね。」

小さいだるまちゃんは、うちへ帰って言いました。 「てんぐちゃんのような、うちわがほしいよう。」 大きなだるまどんが、たくさんうちわを出してくれました。「こんなうちわじゃないんだけどな。」だるまちゃんは、いいことに気がつきました。

だるまちゃんのヤツデの葉っぱを見て、てんぐちゃんはいいました。「ずいぶん、いいものをみつけたね。」だるまちゃんはいいました。「うん、でもーてんぐちゃんはいい帽子をかぶってるね。」

だるまちゃんは、またうちへかえって「てんぐちゃんのような帽子がほしいよう」と言いました。大きなだるまどんは、たくさんぼうしを出してくれました。「こんなぼうしじゃないんだけどな。」だるまちゃんは、いいことを思いつきました。

だるまちゃんのおわんの帽子を見て、てんぐちゃんは「いいぼうしがあったね。」と言いました。だるまちゃんは、うれしくなって言いました。「うん。だけど、てんぐちゃんは、いいものはいてるね。」

だるまちゃんは、うちにかえり「てんぐちゃんのような、はきものがほしいよう。」といいました。大きなだるまどんは、たくさん、はきものを出してくれました。「ぼくのほしいのは、ちがうんだけど。」 だるまちゃんは、またいいことに気がつきました。

だるまちゃんは、おもちゃのまないたをはいて、ひもで結びました。それを見て、てんぐちゃんは、「すてきな、はきものだね。」といいました。その時、とんぼが飛んできて、てんぐちゃんの長い鼻の先にとまりました。てんぐちゃんはとんぼをつかまえました。だるまちゃんは、「てんぐちゃんは、いい鼻をもってるなぁ」と思いました。

家にかえってーさあ、だるまどんは、こんどは何をだしてくれるかな? つづく。

お話:加古里子『だるまちゃんとてんぐちゃん』。