
そもそも「解決」は、できない。でもかならず「克服」できる。
私たちは、「問題」は解決すべきもの、だと習ってきました。
問題に直面した時に、解決するための知識を探しにいきます。
でも、いくら知識を集めても、解決できないことがあります。
たとえば、「悲しみ」は、解決することはできません。
なくしてしまうことはできないからです。
死別・離別の悲しみは、解決するのではなくて、乗り越えるものです。
なくしてしまうことではなく、克服するのです。
克服とは、悲しみの心を抱き、そこから、生きていくことのありがたさが感じられるようになることです。
『スーホの白い馬』というモンゴル民話の絵本があります。
大切に育てた白馬を理不尽に奪われたスーホ。
体に矢を射られ、瀕死の状態で白馬は戻ってきたものの、翌日死んでしまいます。
が、悲しみにくれるスーホの夢に白馬が現れ、自分の体で楽器をつくるようにと、スーホに告げます。
この世のいのちはなくなったけれど、楽器になり、音色になって、スーホと共に生きます。
悲しみから生まれた白馬。
モリンホール「馬頭琴」と呼ばれる楽器と共に。
私たちは、人間であれ、馬であれ、ものであれ、「こころの世界」でも生きています。
解決できない世界だからこそ、克服するという知恵を、私たちは身につけることができるのです。
Nurture your mind.
You are not alone.(共にいるよ)
出典・参照『スーホの白い馬』