![](https://ja.empatheme.org/wp-content/uploads/2022/08/しゅわの顔.png)
It’s the sound in action.(それは、運動中の音)
このエンパレットのテーマは、英語のプラクティスそのものではなく、「思い込みと気づき」です。
すべての言語には、母音があります。
アゴの下に手をあててください。
声をだしてみましょう。
必ずアゴが下がりますね。
母音とは、口の中の空間が共鳴する音です。
口の中は、大きくわけると、舌の前と後ろで、「部屋」がふたつ。
アゴを動かすと、口の周り全体が連動します。
舌の位置をずらすと、部屋の形が変わります。
大きな部屋と小さな部屋のサイズと比率で変わる、共鳴音。
それが母音です。
![](https://ja.empatheme.org/wp-content/uploads/2022/08/英語の母音空間.jpeg)
ところで、英語でいちばんよく出てくる母音は何だと思いますか?
eかな?
いいえ。実は、eの逆さまの記号əで表す母音です。
schwa(シュワ)と言います。
もちろん、
日本語では「あいまい母音」と名づけられています。
あいまいな音って、どんな音?
たとえば、こんな音です。
動画(英プラトレイル1(30)より、What’s that animal called?をごらんください)
アニマルということば。
実は、animalの、iや、aがシュワです。
日本語の音イやアとはちがうのです。
これらが、なぜ「あいまい母音なのでしょう?
実は、あいまいな音を出すのではないのです。
舌が移動中で、ちょうど力の抜けた、いわばニュートラルポジションに来る時の音なのです。
いろいろな音を連続的に出すために動いている口の筋肉の運動。
その途中の音。
どおりでいちばん多いはずです。
筋肉の力が抜けた、弱く、短く、速い音。
動きの途中の音。
それがə(シュワ)です。
上の図は、母音の特徴を表す共鳴(フォルマント周波数)の座標です。
舌の前の空間のサイズと形、舌の後ろの空間のサイズと形。
母音マップの真ん中へんに、シュワəがあるわけです。
![](https://ja.empatheme.org/wp-content/uploads/2022/08/母音空間 英語と日本語.jpeg)
英語の特徴と、日本語の特徴を比べると、おもしろいことがわかります。
フォルマント周波数帯域、つまり、口の中の空間サイズと形がちがうのです。
英語の母音は、舌の前の空間も、舌の後ろの空間も、日本語よりずっと大きい。
といっても、いくら何でも口の中のサイズが何倍もちがうはずはありません。
英語のほうがアゴの動きが大きいということです。
空間が小さいほうが周波数が高くなります。
まさに、ことばは声の身体運動です。
筋肉の動きによってカタチをつくることで、音を創造しているのですね。
英語はさらに、日本語よりたくさんの母音、そして子音(息を出す時の風切り音)があります。
したがって、日本語の音の体系にあわせた脳では、捉えきれない複雑さがあるわけです。
Language learning is about unlearning what you already have.(ことばの学習は、すでに身につけているものに気づくこと)
このエンパレットの趣旨は、英語のプラクティスそのものではなくて、ものごとの捉え方です。
「あいまい母音」という名前がついているので、そのような音があるのだと思ってしまいますよね。
むしろ、運動中のポジションといったほうがよいでしょう。
それは、もちろん、絵をみて覚えるのではなく、手本をまねて声を出すことによって感覚を身につけるものです。
何かを身につけるためには、いますでに身につけているものに気づけるようにしむけることが大切です。
ひとりでは、なかなかむずかしいですが、それでも、ちがいに気づくことが原点になるということを知っていると楽になります。
英語の学習は、「気づき」の典型的な例です。
すでに身につけていて、無意識に使っている、じぶん自身の母語を知ることなのです。
日本語の母音について、考えることなどほとんどないと思います。
でも、実は、そこにも学びのカギがはいっているのです。
以下のエンパレットは姉妹編として、あわせてお楽しみください。
また、miniプラ動画は、英プラのリソースとして、プラクティスのできる300を超えるライブラリーです。こちらから。
出典・参照:英プラで配信する「ツボ」、以下のエンパレット、miniプラ動画など。