Empathemian, Fremont Older Open Space Preserve

民俗学者であり、介護のあり方を追求する六車由実さんは、このように語ります。

「介護の現場では、非対称的な関係が固定されている。ケアする側(強者) vs ケアされる側(弱者)の関係には相互性がない。このため、言語以外に関心が向かない。メモをとらず、非言語コミュニケーションを過剰に扱い、ケアされる人の、相手の気持ち、思い、心の動きを解釈しようとする。ケアされる人は「隠された気持ち」を深読みして欲しいのではない。ケアされる人の行動を評価しようという考え・あり方では、信頼関係も相互理解も生まれない。

民俗学のフィールドワークのおける「聞き書き」によって、語られた言葉を正確に記述し、文脈に沿って解釈する。対等にむきあう相互行為によって、信頼関係を築く。何が語られたのかを忠実に記録し、理解し教えをいただく。相互のふれあいは「施設を利用する多数の中の単なる一老人」を「鮮やかな色どりの豊かな人生を送ってきた、特別なひとり」に変える。 介護の現場が社会へと開かれていくためにー。」

その人の人生を知ることでケアの仕方が変わる。
互いを認めあい「人生の豊かさ」を学ぶ
「驚き」こそ、いちばん大切。

ここで語られていることは、すべての学び、ふれあいにあてはまります。「えんろ」は、心を寄せ、相手のことばを聞き、書き、互いの学びを深める場です。

他者を助けることと自己の学びは一体。

介護も、支援も、臨床も、トレーニングも、みな「共感の学び」です。そのための場をつくり、心の路を育てることなのです。

出典:六車由実『驚きの介護民俗学』、東京新聞 2015年3月22日 「聞き書きで人生を豊かに」