Empathemian『Learn to Practice」

「身体で覚える(前編)」では、文字を読むことだけに偏っている、と書きました。

すべての学びに共通する「秘訣」があります。
もっと身体を使い、小脳を活かすことです。

Learn to practice. Practice to learn.(プラクティスを学ぶ。プラクティスで身につける)

母語ではない、第二言語の習得。
たとえば、英語の学習は、この典型です。

ことばはオトでできています。
身体にはもともと、ことばを出す器官はありませんでした。
私たちの祖先は、息の風を利用してオトをつくり、パターンをつくる発明をしたのです。
それが、言語です。
先輩にあたる、ほかのいろいろな動物をまね、学んだのでしょう。

相手の出すオトとおなじようなオトを出せること。
そのプラクティスが習得の一歩です。
そのようにして、オトのリズムを身につけ、ことばを身につけます。
この原点を無視して、文字だけで勉強するのは、至難の技なのです。

酒井邦嘉さんは、こう言います。

「小脳は認知的な予測制御の機能を持つ。ことばを話す時に母語の文法が意識にのぼることはほとんどない。文法処理システムが大脳にあるとしても、この制御に基づいて小脳にメンタルモデルができるのならば、言語を生み出すプロセスの一部が無意識的であることの説明がつく。」

川内光男さんも、このように言います。

「小脳の機能は運動制御というのがこれまでの常識であったが最近の研究は、この考えを根底からくつがえし、小脳は高次認知機能で活動することがわかった。小脳の異なる部位は、 脳、脊髄などの多様な神経部位と結びつき、この多様な結合と対応してさまざまな機能と関わっている。」

「ヒトが身体を動かすとき、脳はかなり複雑な計算問題を解く必要があり、内部モデルを必要とする。ヒトの身体や環境の動特性は、生後激しく変化するので、あらかじめ内部モデルを遺伝的に決められな い。したがって、内部モデルは、シナプス可塑性にもとづいて学習で獲得しなければならない。」

「内部」とは、脳の中にあるという意味です。外界、つまり脳の外側にあるもののまねをすること。
入力と出力をシミュレーションする脳内の神経回路をさしています。
そこで、言語の運動に必要な司令をつくることはもちろん、「考える」という一見、運動を伴なわない機能に適応可能だ、というのです。

ほんとうに、身体を使って学び、身につけるのです。
文字を読むことがいけないのではありません。
忘れていることを思い出しましょう。
いえ、以前、していたことを、またやってみることです。

毎プラも英プラも、そのために、編み出されました。
・手を使い、口を使い、耳を使って。
・身体の姿勢を使って。
・道具や所作を使って。
小さなアクションを刻むことです。

私たちは、この世に生まれてきて以来、そのようにして膨大な量のことばや、
実に細かい技を、ラクに身につけてきたはずですよね。
なぜか、忘れてしまっているだけなのですから。
小脳が、あなたのプラクティスを待っています。

Learn to practice, practice to learn.(プラクティスを学び、プラクティスで学びを身につけよ)

Get it back.(とりもどそう)

「毎日がプラクティス」

「「姿勢」が考えをつくる」

ことばを身につける ③「運動のトレーニングとおなじように、適度の強度が必須」

出典・参照:『英プラガイド』、酒井邦嘉『言語の脳科学』『小脳の言語機能』、川内光男『小脳に学習で獲得される内部モデル』

「英プラで身につけるプラクティスの方法と習慣 ① プラクティスの土台「声のセリフ」

酒井邦嘉