Empathemian『銅鐸の音色を想像して』

Listen to what you can see.(見えるものに耳を澄ます)

「目と耳の結婚」って何だろう?

スリリングな話から、想像をつないでいきましょう。

「民俗現象が急速に衰退している今日、残存文化を調査し、文献記録をたどるだけでは、日本の古代に遡行することはできない。カギとなるのは、古い地名、人名、神社名、伝承。この4つを組み合わせることで、日本人の信仰や意識の古層を把握することができる。」

谷川健一さんは、この方法論を駆使して日本文化の古層を解き明かし、日本の民俗学の創成・発展に大きな功績を残しました。

大陸から日本列島にもたらされたのは、稲作文化だけではありません。
とても大きな影響をもったのが金属文化です。
ところが、従来の日本民俗学は「稲作文化」偏重で「金属文化」に注意を払っていませんでした。

谷川さんは、言います。

「中国の江南地方は、倭の水人の原郷とも思われる漁業の色彩の濃い海浜であるが、他方では中国で金属文化が最もはやく開けたところである。南方系文化の一環として金属文化に同伴するものが稲作文化であった。原始的な金属器文化が弥生時代以降日本列島の各所に定着していた。そのあとを追って、鉄と馬と古墳を伴う、北方系の文化がもたらされた。」

日本列島には、南方系と北方系文化が到来し、吸収され、融合して発展しました。

Empathemian『谷川健一先生』

「南北両文化の結合を、象徴的に「耳」と「目」の結婚と呼ぶことができる。」(*注1)

日本古代の歴史・民俗を「耳と目が結びついた」融合現象として捉える話は、とても示唆的です。
この視点によって、起源も由来もわからなくなってしまっている、多くのことが解明されるからです。

いえ、それだけではありません。
私たち人間に備わっている力も、おなじアナロジーで捉えられるからです。
話が飛躍するように聞こえるかもしれませんが、実は、人間の言語、思考、想像をつかさどる脳の中も、おなじような現象が起きています。

ことばは、音のつながりとイメージを結びつける働きです。
目(視覚)と耳(聴覚)が結びついて言語ができているのです。

視覚が得意なことは、空間を捉えること。
聴覚が得意なことは、運動を捉えること。

両者が結びついたところに、言語が生まれたのです。(*注2)
人類の進化の歴史でも「目と耳の結婚」があったのです。

視覚と聴覚をバランスよく使うことが、とても大切。
「目と耳の結婚」は、プラクティスの核心のストーリーへとつながっていきます。

毎プラ、英プラでも、また新しいエンパレットにも近日、掲載していきます。

なお、「目と耳」と書きましたが、谷川さんのお話は「耳と目」でした。
現代は圧倒的に目の優位の時代です。
備わっている、耳の力をもっともっと活かせるように。
ヒントはこれくらいにしておきます。お楽しみに。

出典・参照:『谷川健一全集〈第9巻〉民俗1―青銅の神の足跡・鍛冶屋の母』、以下のエンパレットなど

(*注1)古代の初期天皇は「〇〇ミミのミコト」という和名が付けられています。

(*注2)ことばの本質(前編)[意味を一方的に伝える道具ではない]など参照。

思い出しながら生きている [じぶん民俗学]

共感のまなざしがじぶんをつくる

共感の精錬 (12) 付記 ① 水銀・人間の心・エンパグラフ

銅鐸