Empathemian 『谷川健一先生』

澄み渡った秋の夜空にくっきりと浮かぶ月を見上げると、谷川健一先生を思い出す。

多くを生きるとは、多くを感じること。

それは宇宙に脈動し遍満(へんまん)する生命のリズムを感受すること。

これまで私は、谷川先生のことばに勇気づけられ、「独りで学ぶ」ことを学んできた。

心がひらかれていれば、何とでも、つながれる。

共感のまなざしと姿勢が、じぶん自身をつくる。

初めて出会った著作『青銅の神の足跡』以来、魅了されてきた。
膨大な著作のどれを読んでも、論証のエッセンスを凝縮させた表現が随所にちりばめられていて、想像力をかき立てられる。
どこをとっても明快な方法論と、丹念で徹底的な検証作業に裏打ちされている。
圧倒的な説得力と、その場に居合わせているかのような臨場感がある。

最も魅了されることは、実証的な方法の上に想像力を働かせれば、目の前の世界とつながることができるという秘密が惜しげもなく語られていることだ。

じぶんという人間が、大地の母とも、いのちの宇宙とも、確実につながっている。
共感のまなざしで、世界とふれあう、かかわりあうことができるのだ。

谷川先生は、こう言って励ましてくれる。
「じぶんで始めればよい。自ら学び取る姿勢によってこそ、人は学ぶのだ。すべては独学。ただ、独りよがりにならないよう、じぶんの師を持て。」

わけへだてなく、じぶんで、まなぶ。

With empathy, you can learn by yourself.

月を見上げるたびに思い出す。月の光が不思議な力になって、素直にそのことばを信じることができる。

「多くを生きるとは?」

「じぶん民俗学」

「共感をうつす [フォトグラフ]」

出典:谷川健一『青銅の神の足跡』『独学のすすめ』、坂口立考『丹生のみち、共感の精錬・海の宮16号』

谷川健一