Empathemian『Trumpet Vine Memorial』

You’ll see it if you continue to walk.(歩いてけば、出会えるよ)

母から、一通の郵便が届いた。
中に橙色の小冊子。

凌霄忌りょうしょうき
冒頭から。

「道を隔てた隣家ののうぜんかずら。
鮮やかな橙赤色の花で窓枠がいっぱいになっている。

絡みついて登った花が、大きな緑色の樹のいただきから幾本もの蔓を垂らして咲く姿は、
まるでオレンジ色の傘のようだ。
凌霄花という中国名は、この花が大空に高く登るさまをみて名付けたのではないだろうか。」

「何時も咲き出すとハッとさせられる花。
漢字から受ける花のイメージ、「りょうしょうか」と発音する花のイメージが共通していて、
どこか孤高のすがすがしさを抱いた。

凌霄という語には、現実の俗世界を超越するという意味があり、凌霄の志ということばもある。
それが和名の、のうぜんかずらになると、とたんに蔓性植物の濃密さが想起されて、さわやかなイメージから遠くなる。」

「この花は遠くからでもよく目立つ。
赤味がかかったオレンジ色の花は、群がって咲くと目をみはるほどの鮮やかさだが、
花びらのひとつひとつは濃淡があって、思ったより不透明だ。」

母がだいぶ前に書いた、エッセイの冒頭。

のうぜんかずらがひときわ精彩をはなっていた梅雨明けの日曜日、
ストーリーは、ある人が訪ねてくることから始まる。

そうだったんだ!
たまたま、思い出して送ってくれたのだが、この冒頭を読んで、ある謎が氷解した。

ふだん、いつも通り抜ける、近所の路地。
片側のフェンスを覆う蔓状の植物。
あれが、のうぜんかずらだったのだ。

なるほど、だから、Chinese Trumpet Vineと呼ぶのだ!

毎日のように、目にしていても、見えていないことがあります。
単に名前を知っても、見えていないこと。

でも、ひとつのきっかけのおかげで、
それまで、見えていなかったことが、わかります。
そして、よく見えるようになります。

日々、歩いていれば、いつかチャンスがあります。
気づくきっかけが訪れるのです。

歩くとは?

・空をあおぐこと、じぶんの息に気づくこと。

・雲をみること、じぶんの影をみること。

・鳥の音をきくこと、じぶんの足音をきくこと。

・花の香をかぐこと、風にふれること。

・対話をすること、思い出すこと。

・歌をうたうこと、じぶんのことばをみつけること。

歩くと、ふりかえれる(2)へつづく(明日の配信後にリンクされます)

出典・参照:坂口和子『凌霄忌』、以下のエンパレットなど

モーリス・メーテルリンク『花の知恵』

思い出すから記憶になる」

気づく① 気づくとは何に気づくことなのか?(裸の王様は何に気づいたか)

お地蔵さまはじぶんの鏡

モーリス・メーテルリンク