Empathemian, Barcelona, Spain

柳澤桂子『いのちとリズム』から。

「宇宙には、10の22乗個の星があり、10の80乗個の素粒子がある。生命が誕生してからこの方、太陽は10の11乗回の昇ったり沈んだりしている。人間は地球上に10の9乗回繰り返され、独りの人間を構成している細胞は6の14乗回繰り返されている。

宇宙の中の時間的/空間的な繰り返し現象にまで考えを進めるとき、生きていく上での安心感が、この繰り返し現象の予測になりたっている、という考えに導かれる。

繰り返されるものごとが強く記憶に残るというばかりでなく、繰り返されることをより確かなことと認識する機構が、私たちの脳の中には存在する。その繰り返されるものが危険なものである場合には、私たちはそれを避けようとするが、特に好ましいものでなくても、一般に繰りかえしそのものの中に、私たちは安心感、安らぎを感じるのではないか。

わたしたちの身の回りに見られる時間的/空間的な繰り返しの間の関連に整合性を感じた時、私たちは、安堵を覚える。母親が赤ちゃんの背中をおなじリズムでたたく時、なぜ赤ちゃんは安らくのであろうか。三、三、七拍子の応援の拍手の中に、なぜ私たちの心は踊るのであろうか。

確率的に正しい判断をするために重要な自然の秩序のもつ特性のひとつは、繰り返しということ。生命の認識メカニズムは、身の回りから同一なもの、繰り返されるものを取り出して記憶するというように進化してきたのではないか。そして、ひとつの経験の繰り返しの頻度と確率の高さを関連づけて認識しているように思われる。」

くりかえしは、いのちのリズム。

くりかえしは、宇宙自然の力。

このじぶんにも、備わった力。

出典:柳澤桂子『いのちのリズム』