Empathemian, A byson

We are mind.(人間は心の存在)

わたしたちは、太古の昔から「心のひと」です。

ラスコーやアルタミラよりさらに1万年以上古い、フランスのショーヴェ洞窟。
アルプスがまだ氷に覆われていた時代に、このあたりは多くの動物と人間が暮らしをともにできる、氷の谷間でした。
壁画の描かれている洞窟は、入り口から何百メートルも入った奥まったところにあります。

発見者で研究を指揮してきたジャンマリー・ショーヴェさんはこう言います。

人間は、「ホモ・サピエンス」(知の人)というよりも、「ホモ・スピリチュアレス」(心の人) だ。

「動物を描く」とは、どういう営みでしょうか?
人間の精神にとって根源的なこと。
生きているものを描くことそのものが精神的な営み、心のできごとです。

ところで、真っ暗闇の中で、どうやって描いたのでしょうか?
壁画には一切のススが残っていません。
火は離れたところに置いたのでしょう。

その場を想像してみてください。
洞窟壁画自体が、影絵のように、舞台照明をうけた劇場になっています。
笛の音の音響効果。
きっと、たいへんな演出がなされたのではないか。
想像が掻き立てられます。

土、炭、樹液、獣脂、赤鉄鉱を材料にして、指で描く。
ひとりの人がひと筆で輪郭を描いています。
平面ではなく、曲面、くぼみや盛り上がり、岩壁そのものに描くことによって、躍動するバイソン、トナカイ、マンモス。

描き手の手の特徴をあらわす痕跡から、ひとりの人が描いていることがわかりました。
また、従来の定説とは異なり、洞窟壁画のアーティストの多くが女性であったかもしれない、とショーヴェさんは語ります。

「未開人の儀式」といったことばに、惑わされないようにしたいですね。人間は今も昔も、「心の人」なのです。

出典・参照: ドキュメンタリー映画『世界最古の洞窟壁画・忘れられた夢の記憶』、以下のエンパレットなど

「ホモ・エマパテマ 人間は共感する存在」

「包む世界全体が魂」

「エンパシー:共感はじぶんの心の証」

「ショーヴェ洞窟」