梅田規子さんは、長年、ニューヨーク大学で音声研究の要職をおさめた後、心の研究に専念しました。

「音韻とか音節という言語単位が、それが現れる場によって、自由自在に変化する。私たちがどんなしゃべり方をしているかは、その現象が起こる場が決めている。私は、その変幻自在な変化を素直に受け入れて、何年もかけて、幾重にも重なり広がる大きな階層波を発見した。そして、その変化の動きこそが、私たち人間の命のエネルギーであるのみならず、生きとしいけるもの、そしてそれらを育む地球の自然が持つエネルギーだということを理解するようになった。

しゃべること、声ことばを使うということは、あまりにも自然な活動で、動の世界の営みを表している。動の世界は無意識の世界、情動の世界で、自然界の動きと軌を一にしている。私たちは声ことばの存在に無自覚なために、その動きの重要性、その影響力の大きさなどに、まったく気づいていない。私がそんなことに気づいたのは、音声を泥臭いやり方で、とことん見つめたからである。あの当時は、それ以外に音声の性質を把握する方法がなかった。今振り返っても、そんな時期にその分野に入ったのはたいへんラッキーだった。」

梅田先生の遺品である研究資料、23箱の段ボールをエンパシームファウンデーションでお預かりしている。磁気テープ、音声波形データ、論文の原稿と研究ノート。上の写真のような巨大な装置は、手のひらの機器におさまる現代。ひらかなければならないのは「心の路」である。心の路とは「心をこめ、身をもって学ぶ」ことを、支え、導き、助けることのできる環境、道具、人の和である。じぶんの体験と他者の体験がつながる縁である。それは、だれもが、ひと時の素手のふるまい、声ことばのふれあいを、きっかけとして、作法として、共感をわかちあえること。

声ことば、ふるまいの波の力を活かそう。

 (梅田規子先生の遺志を継いで)

出典:梅田規子・研究資料(エンパシームファウンデーション、エンパシーム研究所保管)『心の源流を尋ねて』