Empathemian『共に歩む Swiss Alps』

佐伯胖さんは、こう訴えます。
「世の中には、あなたの助けを待っている人がたくさんいます。あなたが何かをしてあげることで喜んでくれる人がいるのです。そういう人たちに目を向け、「何か」をしてあげてください。

あなたの周囲にいます。それはあなたに「勉強しろ」とせまる人とはちがい、ただあなたが身を向けてくれるのを待っている人たちです。それは、実は世界中にいるのです。私たちはそういう人たちに囲まれ、期待を寄せられ、じっと待たれているのです。

そういう人たちに共感することで、私たちは「学び」に駆り立てられるのです。これはあなたが誰かの「役に立つ」ことを意味するとはかぎりません。自然界の物事が、あなたによって「知られること」を待っているのです。そういう世界は、あなたが心を寄せて、「いまだに知られていないこと」を「知られるように」してくれるのを待っているのです。

そういう「知られてくることを待っている」世界と親密に対話することで、科学の探求がはじまり、文芸の世界が創出され、「美」が紡ぎ出されるのです。そういう世界に「共感」することから、私たちは「学ばないではいられない」衝動に駆り立てられるのです。」

「共感」とは、そのように「他」(者でも、物でも、事でも)との関係を見出し、関係をつくり、そして関係の中に生きることです。

本来、人が「知る」ということ、「行為する」ということの根底には、「共感」があるはずです。そこから出発すれば、「学ぶ意欲」も「する意欲」もわき起ってくる、というより、まさにそのかかわる「他」によって喚起され、引き出されるはずなのです。

エンパシームは、その実感をうるための、手のひらの鏡です。

出典:佐伯胖『共感・育ち合う保育のなかで』