Empathemian 『一回ずつ、歩む』

庭師の大野さんと、こんな会話がありました。

立:こんにちは。ぼくも登りました。2度目です。
おおの:ああ、それはそれは。ありがとうございます。
立:ありがとう、といわれたのは初めてです。
お:今日でね、5,670回です。
立:えー?!ゴセンナナヒャクですか?
お:そうです。毎日登っていますから。
立:りゅうがい山のあの坂を毎日ですか!?
お:そうです。山頂から一望に見渡せますからね。
立:いつ登るんでしょう?
お:朝日を見て、夕日を見て。
立:1日2回登るんですか?
お:はい。カメラもってね。
立:はじめて登ったときのことは覚えてます?
お:昔から登ってたんだけどね、数え始めたんです。
立:じゃ、ほんとはもっとたくさん登っているんだ。
お:ええ、でも数え始めてからでいいんです。
立:1日も休まないんですね。
お:雨の日も、雪の日も、風の日も、雷の日も。
立:夏の暑さにも冬の寒さにも、負けずですね。
お:楽しいからね。
立:何がいちばん楽しいですか?
お:毎日景色がちがうことかな。
立:同じところに立って、同じものを見ても。
お:同じじゃありません。いつもすこし違います。
立:そんなに続けられる秘訣は?
お:そんなにとは感じないね。1回ずつだから。
立:一度も、途切れなしでしょう?
お:おかげさまでね、手足が動いてくれるから。

ものごとは、1回ずつ、つながっていく。

り:途切れるも、途切れないもなく、ですね。
お:今年中に、6,000回になりますよ、きっと。
立:数えるんですね。
お:数えるのも楽しいね。

One step at a time.(ひとつずつ)

ひとつひとつが、ありがたい。

立:その気持ちが、ものごとを続ける秘訣ですね?
お:そうだね。でも、それ以外のことはあんまり考えないほうがいいね。

立:構えたり、飾ったりしないってことですね?
お:そうそう。話をね、大げさにしないほうがいい。
立:考えると、余計なエネルギーを使っちゃうからでしょうかね。
お:そうじゃないかな。やる気よりも、平気が大事。
立;ふだんの、落ち着いた気持ちですね。
お:「続ける方法」とか、「続かない理由」とか、考えるとむずかしくなります。
立:後から理由をつけるだけなんですね。
お:そう。だから、続きだしてからふりかえればいいです。

「三日坊主」なんて言わないで、いいんですね。

発想を転換しましょう。
静かにすわって、一瞬の間をあける。
それが3日続いてから、ふりかえれば、じぶんで気づくことがあります。
エンパシームの「ゐ」がありますか?

Just be neutral.

「じぶんに手入れをするプラクティス [あゐてにふすいま]」

「肝心なことをひとつだけ」

「心の溝を克服するために (3)」

付記:現在、大野さんの山登りは、7000回に近づいています。