Empathemian, Belgato Park Ridge Trail, California

のびた:ねぇ、ドラえもん、人間ていつからことばを話すようになったの?
ドラえもん:ずいぶん、むかしだよ。
の:動物もことばを話すんでしょ。
ド:もちろん。
の:昆虫も話すの?
ド:うん、人間とはちがう「話し方」だけどね。
の:声はないんでしょ?
ド:でも、身体を使って音を出しているでしょ。
の:それぞれ、じぶんにあった仕方で音をだすんだね。
ド:そう。動物は、肺の空気を出す時の音の変化が声になる。

の:声で話す前はどうだったの?
ド:身体をつかって合図。身ぶり、手ぶり、表情。
の:いまと変わらないね。
ド:ものを叩いたり、引っ掻いたりして音をだし、それもことばのように使っていたらしい。
の:なんでそんなことわかるの?
ド:道具の歴史はものすごく古いんだ。それに、人間の話す音に、今でもその名残りがあるから。
の:名残りってどういうこと?
ド:手を使うことは、英語だったらTではじまることば。日本語だったら「た行」の音。
の:えーと、たたく、とる、つまむ、とか?
ド:そうそう。tap, tick, takeとか。つまり、それまでは手で出していた音を声でまねられるようになったわけ。
の:へぇーおもしろいね。
ド:世界には何千も言語があるけれど、基本的なことばの音は意外に似ているんだって。(*注1)
の:そういえばさぁ、前もそんなこと言ってたよね、
ド:ことばは、ジェスチャーからはじまったって話ね?(*注2)
の:そうそう、それ。
ド:仮説だけどね。いずれにしても、音声言語は身体を使う「ことば全体」の一部だよ。

の:身ぶり・手ぶり、顔の表情で、気持ちが伝わるんだよね。
ド:そう。のびちゃんのママが怒る時は?
の:雰囲気ですぐわかるよ。何も言う前から。
ド:そういうセンスを身につけているんだよ。ことばの前に。
の:ことばのセンス?
ド:相手との間の空気を、身体・五感で感じ取れるっていうこと。
の:そうか。ママの怒った顔を見る前に、ドカドカ近づいてくる音がするもんね。
ド:ハハハ。声で話せるようになる前から、音を立ててリズムをつけてたんだよ。
の:立って歩いて、声でことばをつくれるようになる前に?
ド:それまで身体や道具で出していた音が、ことばになった。
の:楽器や歌からことばになったの?
ド:人間のことばは、いろんなことが平行して起きて、創発したんだろうね。

Empathemian, Belgato Park Ridge Trail, California

言語というと、意味とか論理とか、それに文字を思い浮かべますか?

たしかに、ことばのおかげで考えることができ、思い出すことができ、人と心をわかちあうことができます。
その根源は、身体を使って出す音とリズムにあります。
人とふれあい、つながり、わかちあうという営みが、ことばの本質です。

声の音とリズムが、身ぶり、手ぶり、表情と結びついて、それをイメージできるからことばになるのです。
ことばは、人間に備わった五感をつかって、総合的なセンスで、ふれあうこと、やりとりすることです。

総合的なセンスって?

英語のsenseは、日本語でいう感覚、こころにぴったりすることばです。
ことばの習得にもっとも根源的なことは、センスを身につけることです。

生まれた時から、死ぬ時まで、私たちはそのセンスを磨き、手入れをしながら生きています。
センスは、後から付け足すようなオマケではなくて、生きるための本質的な力です。
日々、私たちは、何もしていなくても、生きているだけで、センスを磨いたり(あるいは、鈍くしたり)、高めたり(あるいは低めたり)しているのです。

新しいことばを学ぶ時。たとえば、英語の学習でも、実はセンスを身につけるプラクティスが必須です。
スープをつくる時に、後から出汁をいれられないように、センスづくりは、いちばんはじめから大切なことなのです。

First things first. (ものごとには順番がある)

いちばん誤解されていることのひとつかもしれません。
スポーツであれ、楽器の演奏であれ、どんな職業的なスキルであれ、はじめから不可欠な基礎があります。
それは、感覚を身につけること、そのベーシックなプラクティスをすること。
やさしいことから順に、くりかえして練習する土台をつくることです。

ことばのセンスを身につける、シンプル(複雑ではなく)で、ミニマル(それさえあれば成長できる)なプラクティス:

・しずかにすわること

・耳を傾けること

・相手を想像すること

・ひと息でセリフを出すこと

・間合いを入れること

・じぶんの声を聞くこと

・ふりかえってことばを添えること

・人とわかちあうこと

なんだ、そんなことなの?
そう思うぐらい、シンプルなことこそ、いちばんはじめから必要なのです。
土台のない家を建てるのはたいへんです。
土台があれば、その上に築いていくことができます。

To err is necessary. (間違えることが必要条件)(*注3)

英プラ「センスを身につける」イメージ空間のネットワーク

ことばの本質(前編)[意味を一方的に伝える道具ではない]

ことばの本質(後編)[思いが伝わるふれあい・共感的想像]

出典・参照:英プラトレイル「なりきりコース」ツボノート

(*注1、*注2)エンパレット「ふれあいそのものが、ことばだった」をごらんください。

That makes sense.(センスということばについて)

(*注3)Alexander Popeのことば 「To err is human. To forgive is divine.」より

アレキサンダー・ポープ