Fun to connect.(つなぐと楽しい)

こんな遊びがあります。
ためしてみませんか?

過去の日記から、タイトルをふたつ、当てずっぽうに選びます。

試しにいま、やってみると:

(A)「チリミリを思い出す」
(B)「先は読めないから、おもしろい」

(A)と(B)を、ある論理でつなげます。

2通りのパターンがあります。

(1):(A)である。それは(B)だから。
(2):(B)である。それは(A)だから。

すると、ふたつの命題ができあがります。

(1)チリミリを思い出すなぁ。それは「先が読めないから、おもしろい」からだ。
(2)先が読めないから、おもしろい。それは「チリミリを思い出す」からだ。

あてずっぽうに選んだふたつのフレーズには、何の脈絡もありません。
しかも、たまたま、その日にじぶんで書いた日記のタイトルです。
無理に、つないでみるわけです。

当然、意味をなさない場合もあります。
でも、意味をなす場合もあります。
すこし踏み込んで考えているうちに、脈絡をつくることができます。

この論理は、AだからBである、という因果ルートではありません。
さかさまにして、AなのはBだから、というふうに、原因を推理するパターンです。

ことばを補って考えてみると、意外なおもしろさが生まれます。
このような発想、推論形式をアブダクション(abduction)と呼びます。(*注1)

「ふたつのセリフをくみあわせる」

Give it a try.(ためしてごらん)

ところで、チリミリって何?
チリミリ(Txirimiri)とは、スパイン北部、バスク地方の典型的な霧雨を指します。(*注2)
さきほど、たまたま、ランダムに選ばれたタイトルが「チリミリを思い出す」でした。
この遊びの趣旨は、たまたま選んだふたつを、発想パターンに入れて想像を膨らませることです。

(1)チリミリを思い出すなぁ。先が読めないから、おもしろいのだ。
霧雨が降ったので、チリミリを思い出した。
バスク地方を旅行した時のこと。
霧雨が降ると、いつも「チリミリ」を思い出すのはなぜだろう?
その理由は、「先が読めないから、おもしろい」ということなのだろう。
つまり、意外なことがおもしろいといつも思っているから。

(2)先が読めないから、おもしろい。それはチリミリを思い出すからだ。
意外なことが起こるから、人生はおもしろい。
なぜ、そんなふうに思うのかな?
それは、霧雨でチリミリを思い出すように、話が逆転したりするからかもしれない。

この話のもとは、バスク地方のチリミリで、日本の霧雨を思い出したこと。
日本の霧雨に似ているな、と。
その思いを抱いてから、今度は、霧雨に出会うたびに、チリミリのことを思い出す。

あれ?話が逆転している?
日本の霧雨を思い出すのではなくて、チリミリという語感とバスクの農村を思い出す、なんて。

霧雨の思い出はあるけれど、「これだ」という霧雨を思い出すのはむずかしい。
でも、バスクの町を訪れた時の、あの霧雨はそれをバスク語でチリミリということを知った時の、おどろき。
これ、きっとオノマトペなんだろう。日本語とおなじように。

霧雨には音がない。
音がないけれど音で表される。

音のないことも音で思い出す。
じぶんが何を思いつくかなんて、予想がつかないなぁ。
未知。チリミリ現象も、未知。

といった具合に、想像がツラツラとつながって出てきます。
このあそびは、テーマとパターンをセットすることで、自由連想を促します。

出典・参照:『毎プラガイド』以下のエンパレットなど

(*注1)アブダクションについてのエンパレットは:

プラクティスの意味③(フィードバックとフィードフォワード)

(*注2)バスク語は、古い言語です。日本語とおなじ語順と言われます。チリミリはオノマトペでしょうか。

「あそぶ」プラクティス ① (道をゆく)

「あそぶ」プラクティス ② (カタチとリズム)

Basque Language

(付記)西成活裕さんが、ご自身の「言葉つなぎ遊び」を紹介しています。

「小学生の頃、紙を切って遊んでいるときに今でも続けている楽しい遊びを思いついた。
まず、適当に切った紙の小片それぞれに単語や短文を書く。」

「次にその紙をたくさん箱に入れ、そこから一枚ずつ合計二枚の紙を適当に取り出す。
最後に、取り出した順番にその二枚に書かれた言葉をつなげ、肉付けして文章を作る、という遊びだ。」

「これを40年近く続けてきて、気がついたことがある。「自分とは関係ない」言葉は人生には無いということだ。何を見ても自分と関係しているように思えてくるから不思議である。そうなると様々な情報が飛び込んでくるようになり、どんどん世界は広がっていく。」

日本経済新聞(2017.5.12) 言葉つなぎ遊び 東京大学教授 西成活裕

言葉つなぎ遊び

つながりを生み出す発想ツール。
本エンパレットも著者の少年期からの「さかさまつなぎ」のあそびですが、発想がとても似ています。
どんなことでもつながりますよ!

実は、エンパシームをつかって、このあそびができます。
その日の見出し(Deed)に書きいれる1行のタイトルをつかうのです。