『ジップくん宇宙へとびだす』

Soar into the sky!(宇宙へ飛び出せ)

『ジップくん宇宙へとびだす』が忘れられません。

ジップくんは、テレビの中に吸い込まれました。
電波にのって宇宙へ飛びだしてしまいます。

5歳の時です。
いまでも、姉のセリフが耳の奥底にあります。

読み聞かせてくれた、声の響き。
3人で、宇宙に飛び出す気分でした。

「宇宙へとびだす」というフレーズ大好きでした。
そのことばの響きだけで、冒険気分になれます。

時々、思い出します。
トレイルで、オーク樹林の木漏れ日。
葉っぱの間から、青い空がのぞけた瞬間です。

なぜか、このフレーズが思い浮かびました。
理由はわかりません。

電波にのって飛んでいくというアイディア。
オモシロおかしいですよね。
「宇宙へ飛びだす」と口ずさみたくなります。
きっと、これまで何度も呟いてきたのでしょう。

幼年期に、声に出して「ものがたり」を体験することは大きな力になります。
いえ、本当は生涯を通して、です。

「読み聞かせ」ということばが一般的ですね。
でも、「読み聞かせる」ではないのでしょう。

読み歩み、読み語りあいです。
そして、聞き歩み、聞き分かちあいです。

共に感じる時間です。
英語ではRead aloudと言いますが、声に出すことで「空気」が共有されます。
一緒に冒険している空気。

ジップくんは姉が買ってくれた本でした。
本棚の、姉の好きだったジュール・ベルヌの探検シリーズの隣に置かれていました。

いつも、背表紙を眺めていました。
すべてが見えない体験として、身心に刻まれています。

作者のジャンニ・ロダーリは、こう言いました。

最高の贈り物は、買ったものではなく手づくり。

共に感じる体験。
それは、生涯のおくりものをいっしょに、手づくりでつくる体験です。

共に読み語る、手づくりの体験。

Make your own stories.

子どもの時の思い出がない?
問題ありません。
いまからでも、いくらでも。

出典:ジャンニ・ロダーリ『ジップくん宇宙へとびだす』、英語トレイル 1 (6) Make

I’m making my own story.

「さかなの気持ちになれる」

「おくりものは共感体験」

「未知に出会うには?」

「共に歩む事業の中で」

ジャンニ・ロダーリ