![](https://ja.empatheme.org/wp-content/uploads/2023/05/やりとりのインナースピーチ.jpeg)
Inner speech is a phrase you can replicate in your brain instantly.(インナースピーチとは脳内で即座に再現できることば)
インナースピーチは頭の中で発話することです。
脳内で即座に再現できるできるセリフ。
なぜ「再現」というのか?
頭の中で、以前に聞いたことばを「音で再現」するからです。
以前に聞いたこと?
そうです。どんなことばも、もとをたどれば、はじめは外から入ってきます。
タネをまくのとおなじです。
空っぽの畑に、突然、花が咲いたり、実がなったりはしませんね。
そのようにして、私たちは生まれてからこのかた、
はじめは両親や兄弟、周囲の人の肉声をタネとして、
じぶんという畑にまいて、育ててきたのです。
ことばは音でできています。
空気に触れ、気づかぬうちに受け入れています。
くりかえされる声のことばは、
何度も脳内で再現されるようになり、インナースピーチになるわけです。
声の出し入れによって脳内に再現できるようなること。
それが母語習得の道筋です。
![](https://ja.empatheme.org/wp-content/uploads/2023/05/インナースピーチはタネから.jpg)
外国語の場合は?
第二言語でも、ことばの習得の原理はおなじです。
でも、現実の環境が異なります。
したがって、通常は別のルートをたどります。
身につけた母語(第一言語)をベースにして学びます。
文字で単語を覚え、意味を母語で理解する、という方法。
知識として学ぶわけです。
しかも、学校の科目として勉強するというイメージが強い。
知識だけではできないのは?
ことばは音声の身体運動だからです。
音でことばを処理することは、運動です。
肉声を聞いたり話したりする、脳と身体の運動。
運動の記憶がないと脳で処理ができません。
なので、そのプラクティスが必要です。
「運動として身につける」プラクティス。
ふだん日本語を話すような瞬間的な処理を、ある程度、外国語でもできるようになること。
それが、そのことばを使えるようになることです。
![](https://ja.empatheme.org/wp-content/uploads/2023/05/57D3DE17-7EEE-4088-9871-303A8B4914CC.jpg)
Vocalize and internalize your inner speech.(肉声でインナースピーチを身につけよう)
聞き取れるためには、声でに出すことが不可欠です。
聞くという現象自体が、脳内で声を出すことだからです。
その意味で「聞くことと話すことは一体」といって差し支えありません。
プラクティスの基本は「まねる」ことです。
まねるとは「手本を再現する」ことです。
と言っても、いきなりはできません。
それでよいのです。
まねようとすることです。
徐々に音とリズムを近づけていくことです。
じぶん流(日本語のカナモジで単語ごとに発音する)から、離れようとすることに意味があります。
それがインナースピーチ化のプラクティスになります。
第二言語のインナースピーチ化は、白紙状態の脳内に、ことばのタネをまき、
くりかえし、ふりかえり、育てていく継続的なプロセスです。
インナースピーチ化すると?
どのようなことができるようになるのでしょうか?
![](https://ja.empatheme.org/wp-content/uploads/2023/05/インナースピーチ.jpg)
Develop your inner speech.(インナースピーチを育てよ)
言い換えると、何をどれだけやったら、どれぐらいのことができるようになるか?
その目安、イメージが欲しいですね。
エンパシームの英語トレイルでは?
セリフのやりとりをインナースピーチ化します。
ひとつセリフを覚えるだけでなく、
そのセリフを使って、やりとりのパターンを、いくつもつくれるようになります。
以下の動画をごらんください。
こんな会話です。
おなじセリフが3つの場面(パターン)で使われています。
①
♣️ 他のことは気にしないことだな。
♦️ うん、そうね。それが大事。
②
♣️ いちばん大切ものはさ、気力さ。
♦️ まさに、そう。
③
♣️ それだよね、まさに。
♦️ 何のこと?いい話?
That’s the thing.
「それだよね」「まさに」といったニュアンスのセリフです。
4つの単語(that, is, the, thing)がつながり、
いろいろな場面で使われます。
単語の意味、フレーズの意味を知っていても、
どんなやりとりで使われるかのパターンを知らないと使えません。
演劇やドラマの会話とおなじです。
セリフは、じぶんだけでなく、相手とのやりとりの中にありますよね。
じぶんのセリフしか知らないのでは、セリフを出せません。
あたりまえのようですが、とても重要です。
インナースピーチは、意識せずとも、対話形式なのです。
![](https://ja.empatheme.org/wp-content/uploads/2023/05/やりとりを身につける.jpeg)
The essence of language is interaction.(ことばのエッセンスはやりとりにある)
インナースピーチは「つながり」をもっています。
つながりを持っているからこそ、インナースピーチ化できる、とも言えます。
私たちの脳には「音を生成するしくみ」が備わっています。
ことばは、音で(音の運動で)記憶されます。
くりかえしプラクティスすれば、運動の記憶を定着させ、自在に出力できるようになります。
その時、相手のセリフもセットで再現できること。
それが習得の近道です。
ひとつでなくて、ふたつ一緒に?
そうです。そうすると、覚えるのがぐっと楽になります。
あなた自身、知らないうちに日本語を駆使できるようになりました。
そのことを少し想像してみてください。
音で覚える。
セリフのやりとりで覚える。
そうするからこそ、楽に覚えられるのです。
意外に思うかもしれませんが、実は、文字で覚えるにせよ、音も使っています。
思い出す時、使う時、ことばは「音の列」として脳内に出力されるのです。
英語は「勉強だ」という思い込みを捨てると、
道がひらけます。
セリフの脳内再現、インナースピーチ。
ひとつのセリフにつき、3つ以上のパターンを身につけられると、
かなり「使える」かんじがするはずです。
動画の対話をもう一度、聞いてみてください。
パターンの③は、テーマのセリフ”That’s the thing.”と(いきなり)声がしました。
すると「え?何のこと?」という反応が自然にでてきますよ。
それに続いて「何かいい話?」というセリフも。
”That’s the thing.”は、そのような対話の構図の中で、
インナースピーチ化します。
字面を覚えるのではなく、間にある空気感のような、
やりとりのパターンとして内面化されるのです。
インナースピーチ化とは「つながり」を受け止めるセンスなのです。
ひとつひとつ覚えようとすると、とても大変なことが、音のやりとりよって楽におぼられます。
母語はそのようにして、意識することなく、おぼえて、身につけてきたのですから。
インナースピーチ (9) 音を一列に生成する「運動の記憶」へもどる
出典・参照:『英語トレイル』miniプラ動画、および以下のエンパレットなど