The mind is not a vessel to be filled but a fire to be kindled.(心は満たすための容器ではない。火花を散らすところだ)

プルタルコスのことばから。
脳のニューロン(神経細胞)の働きは「発火(fire)」です。
火花を散らすかのように活発な活動で、互いの結びつき(wire)を強めます。

記憶はどこにありますか?
脳の中ですよね。
確かに、記憶の働きをつかさどる器官は脳です。
でも、記憶という現象が起きるのは、脳の中だけではありません。

記憶とはためておくものではなく、思い出すことです。

Memory is stored in the space surrounding you.(記憶は身の回りの空間の中に蓄積される)

記憶は「内側」にはありません。

・ある場面を見て、思い出す
・あることばが響いて、思い出す
・ある香りに包まれて、思い出す
・ある味に刺激されて、思い出す
・ある感触にふれて、思い出す

きっかけは、じぶんの「外側」にあります。
身の回りの環境にじぶんが包まれることで、想起するのです。

記憶は、行為の中に。
ふるまいに包まれて。
身につけているから、思い出せます。

Memory is refined over time.(記憶は時間の中で精錬される)

詩人ウィリアム・ワーズワースは、こう言います。

「詩は力づよい感情が自然にあふれ出たもので、それは静かに回想された情緒から生まれる。」

時間をかけて、洗練された情緒が詩になるというのです。

詩は記憶の精錬。
毎日、静かなひと時をつくり、
ことばを声で紡ぐことで、心の火花が精錬されます。

出典・参照:プルタルコス『饒舌について』、ウィリアム・ワーズワース「抒情歌謡集」、以下のエンパレットなど

ふりかえる力で身になる

思い出すから記憶になる

その場になれば、思い出す。

記憶のサイエンスとプラクティス ① ことばを覚えるには?

プルタルコス

ウィリアム・ワーズワース