Emmpathemian, Pearson-Arastradero Open Preserve

雲の気分。

トレイルとは、山辺や丘陵地帯の細い小道をたどって自由に歩くことだ。
空と雲、木々のざわめき、路傍の花や虫と共に、五感に印をつけながら歩くことだ。
いま、雲になっていることだ。

トレイルは右に曲がり、左に折れ、前も後ろもないが、すべての道はつながっている。
ざらついた土の上を歩くと、自分の足音が湧き上がってくる。

風に漂う花々の香りに誘われて、こんな気になる。

もともとのじぶんは、空っぽ。
そのまわりは、目の前の草木山河。光があり、音があり、香りがある。
この空気が、じぶんだ。

そのまわりに体験の記憶や、人のことばが浮かんだり、並んでたりして、続いている。
地続きになっていて、わけへだてはない。

身のまわりの土壌に種をまこう。
種をまいておけば、いつか、芽がでてくる。
あとは、手入れをするだけ。

ひと息ひと息の、瞬間に感じていること。
それらを思い出し、思い浮かべ、思い返すこと。
それらを、声のことばで、空気の中に出したもの。

じぶんとは、ふるまいと思いを出力する、その連続現象。
種が芽生えて、じぶん自身に新しいつながりができること。

家にもどって、エンパシームで言ってみる。

Cultivate my soil.

(じぶんという土の手入れをするよ)

I am empathy. I was a little cloud today.

(じぶんが共感の存在。今日、雲の気分になった)

「一枚の葉っぱになる」

「共感の時つぶ」

「水滴のじぶん」

「水の作法 [手のかたちが覚えている]」

出典・参照: 坂口立考 『海の宮』 エッセイ「共感の精錬」