
Write less, say more.(簡潔にすれば、より多く伝わる)
作家アーネスト・ヘミングウェイは、簡潔な表現の独特なスタイルで知られます。
『老人と海』。読みやすさを測るある指標では、Grade 4小学校4年生)ほどとされる文章です。
短い文。平易なことば。むずかしい表現はありません。
⚪︎文を短くする
⚪︎簡潔なことばを使う
⚪︎余計なことを省く
これだけなら、だれでもできそうです。
いえ、そうはいきません。
ヘミングウェイは、『老人と海』について、村の人々や暮らしをすべて書けば、千ページを超える作品にもできた、と語っています。
でも、そうしなかった。
何を書くかだけでなく、何を書かないかを選んだのです。
ただ、短く書く、ということは、できないものなのです。
知っている大切なことを、あえて書かない。すると、物語はかえって強くなる。
書かれていない背景を、読む人が想像する。
説明されていない気持ちを、場面から感じる。
少ないことばの向こうに、大きな世界が立ち上がる。
Less is more.(削ることで、より深く伝わる)
短く書くとは、削ることです。 いったんアウトプットしたものを捨てることです。
そのためには、減らすプラクティスがいります。そして、そのプラクティスの回数を増やすことです。
less(簡潔にする)とは、more(もっとプラクティスがいる)ということ。
制約の回数が大切。
もう一語へらせないか。もう一文なくせないか。もう一度、制約をかける。その回数だけ、何を残すかを選び直します。
文字数制限は、制約のひとつです。でも、文字数を目安にしても、大事なことを書こうとすると、つい長くなってしまうもの。
なので、物理的な紙面も制約にすると、手助けになります。
ただ、短くするだけでは、すばらしい内容を伝えることにはならないのでは?その疑問はどうでしょうか。
いいえ、削る、省く、捨てるという行為が先にあり、そのくりかえしの中に、世界のすばらしさを伝える姿勢ができてくる、と考える。
そうすることで、研ぎ澄ました作品ができます。
制約は、世界を狭くするためにあるのではありません。じぶんの中にまだ使っていない力を引き出し、表現の世界を広げるためにあります。
The short answer is doing that thing.(端的に言うなら、まずそれをやってみることだ)
文学作品に限りません。
どうしたらうまくなるのだろう?
まず、それをやってみることだけ。そして、いらないものを捨てる。
これはすべてのプラクティスに通じる話です。
In order to write about life, you must first live it.(人生について書くには、まず生きなければならない)
作(文・挿絵・声にだすことば・声):坂口立考
出典・参照:Ernest Hemingway『The Old Man and The Sea』、以下のエンパレットノートなど
Hemingway Editor
(*注1) 読みやすさの指標 (Readability)で測ったもの。こちらで紹介しています。
