思い出すことはつくること
詩人・長田弘さんは、このように言います。
記憶は、過去のものでない。
それは、すでに過ぎ去ったもののことでなく、
むしろ過ぎ去らなかったもののことだ。
とどまるのが記憶であり、
じぶんのうちに確かにとどまって、
じぶんの現在の土壌となってきたものは、記憶だ。
記憶という土の中に種子を播いて、
季節のなかで手をかけてそだてることができなければ、
ことばはなかなか実らない。
じぶんの記憶をよく耕すこと。
その記憶の庭にそだってゆくものが、人生とよばれるものなのだと思う。