エンパレットのカテゴリー Nurture 心を養う

克服とは、新しい意味をつくること|草間彌生・水玉と鏡

草間彌生さんは、じぶんを苦しめる幻覚や強迫イメージを、水玉や網にして表し続けました。消すのではなく、カタチにして、関係を変える。草間さんは「self-therapy」と呼びます。表すことは、芸術家だけのものではありません。声にする、書く、描く、つくる。克服とは新しい意味を生み、じぶんと世界との関係をつくり直すことです。

My life is a dot lost among thousands of others.(私の人生は、無数の水玉の中のひとつ)

耳のことばは、時をかけて響いてくる|母のことば

「十字架を背負って生きるのよ。」そのことばはいつも私の心にありました。長い間、「重荷を克服して生きる」という励ましに聞こえていました。30年がたち、あの日のことを書きました。描いてみると、ずっと脳裏にあった光景を、じぶんの外に置くことができました。十字架とは重荷を担ぐことではありませんでした。そのことに気づいたのです。

You’re not alone.(ひとりで生きているのではない)

大理石になった空|ことばを移すと体験が生まれる②

「空の色が濁りました。」夏目漱石の『三四郎』の一場面です。透き通る藍が薄くなり、その上に白い雲が鈍く重なり、乳白、灰青、薄黄が溶けあう。「濁った空」は、光の散乱によって実際に起こりうる空の姿でもあります。けれども、三四郎はその空を以前にも見ていました。変わったのは、空ではありません。「濁る」ということばを得たのです。

Words seed your view.(ことばが、見方のタネをまく)

雨になった足|ことばを移すと体験が生まれる①

雨になった足。海になったスニーカー。ことばを移すと、見え方が変わります。「こどもの頃、雨が降って水たまりが洪水になると、それだけで高揚した。長靴をはいて水たまりに入ると、それだけで興奮した。夢中の果て、長靴の中も海になった。あの感覚が蘇える。」両足と豪雨、スニーカーと大海。別々のものが重なる時、新しい経験が生まれます。

Words seed your view.(ことばが、見方のタネをまく)

まぶす、あえる、つつみこむ|発想とは逆転させること②

乾燥マンゴーに唐辛子をまぶす。甘さと辛さ、異なるものを隔てず、近づけ、あえ、包みこむ。発明は一人の天才のひらめきとは限りません。すでにあるものを少しずらし、異なるものを重ね合わせる。何世代もの無数の手が、屋台の味を変奏し、育ててきた。発想とは分けて考えるクセを手放し、出会わせ、混ぜ合わせ、そこに新しい関係をつくること。

Unlearn the divide. Think the other way around. (分けるという発想を手放せ)

カギは未知へのひとり言にある ③|あえてじぶんにたずねる—Dare to Ask

教えたことを覚えたかは、テストでわかる。でも、何が身についたかは? その本人がじぶんだったら?身についてきた? 何か変わった? じぶんにとって意味がある? 正しい答えはいりません。あえて声に出してじぶんにたずね、ふりかえる。その体験が自問する力を育てます。じぶんから問いをもつことで、じぶんにとって大切な意味が生まれます。

Dare to ask yourself. (ひらきなおって、じぶんにたずねる)

Young woman wearing a gray t-shirt and denim overalls brushing her teeth with a white toothbrush.

じぶんを動かす|Self-Agency ⑦ 自走(明日につなぐ)

プラクティスは、やったら終わりではありません。終わりまでていねいにし、練習と練習の「あいだ」も大切にする。ことばを思い出し、後でもう一度声にすることで、覚えたことを必要な時に取り出しやすくします。内なる声も使いながら、今日の体験を明日へつなぐ。その小さなくり返しを毎日のしくみにすると自走する力が少しずつ育っていきます。

Keep it with you. (そのまま、持っていく)

Woman seen from behind holding a smartphone with a messaging app open, typing outdoors in a park.

じぶんを動かす|Self-Agency ⑥ 自覚(じぶんに気づく)

「わかった」と思っても、たいていはまだぼんやりしています。「わかった気」で体験を流さず、じぶんの軌跡をたどって反芻する。気づいてから書くのではなく、一行書くことで気づきやすくする。さらに、気づきやフィードバックを次の行為に返し、またふりかえる。この循環を重ねることで、じぶんのふるまいが見え、自覚が育ちます。

Write one line. (1行しっかり書く)

Young girl wearing a white T-shirt and denim overalls sits at a table, speaking with expressive hand gestures indoors.

じぶんを動かす|Self-Agency ③ 自信(やってみる)

自信がない。でも、そもそも何回やったでしょう。まだ失敗すらしていないのに、失敗を先回りして避ければ、できるようになる機会まで失います。自信は、やる前にあるものではありません。まず一回やってみる。思うようにいかなくても、予想が経験に変わります。演じて、くり返す。その一回一回が、じぶんでできる自信の原因になります。

You haven’t even tried it once. (まだ、一度もやってみていない)

Person holding a smartphone outdoors, screen shows a photo of two people smiling together.

じぶんを動かす|Self-Agency ② 自助(じぶんを助ける)

母語の音やリズム、これまでの学び方は、自己流として身体にしみこんでいます。問題はそれに気づかないまま「練習した」と思ってしまうこと。自助とは、お手本の力を借り、じぶんでは見えない自己流に気づき、修正することです。まねることは低次の練習ではない。お手本を再現しようとして初めて、違いが見え、自己流を少しずつ変えていけます。

Listen closely. Follow the model. (よく耳を傾け、お手本をまねる)