Caregiver guiding an elderly woman with a walker in a bright room, wheelchair nearby in a care setting.
Empathemian『Resilience』

Keep your self-agency. (じぶんを動かす力を保つ)

今日かもしれない。
明日かもしれない。
心臓が、最後の鼓動を打つのは──

担当する医師たちは、これまで何度も、そう告げてきました。

カズコさんは、生まれながらに不整脈があり、長く心臓の病気を抱えてきました。
心房細動から脳幹梗塞で倒れて、一年半。95歳です。

それでも、今日のリハビリにつとめます。

声を出し、ことばを返す。
左手で、書く。
棒につかまり、左足で立つ。

60年前の思い出、パリの「オー・シャンゼリゼ」を歌います。
声を絞り出して。

オーシャンゼリゼ♪(肉声を絞りだして歌うカズコさん)

Empathemian「Resilience」

あなたの顔を見ていると、元気になります(口を動かすスピードも以前のように)

カズコさんは、私の母です。

脳の手術後、構音障害によって、顔や喉の筋肉が思うように動かず、声もことばも、うまく出せなくなりました。

それでも、リハビリによって少しずつ声が戻ってきました。いまでは、ことばを返し、歌もうたえます。

これは、特別な人の、特別な話ではありません。

人は、生きているかぎり、戻ろうとします。

傷つけば、癒そうとする。
弱れば、補おうとする。
崩れれば、立て直そうとする。

いのちは、生きているあいだ、回復する働きをやめません。(*注1)

昔の身体へ戻る、のではありません。変わっていく身体で、できることを取り戻していくこと。その身体で、ふだんのじぶんに戻ることです。

人は、寿命を迎えるその時まで、回復しつづけます。いつものじぶんへ戻れること。

それが、レジリエンスです。

Be yourself. (本当のじぶんになる)

Aspirationは、なりたいじぶんに向けて、ことばを声にすること。
Resilienceは、いまのじぶん、いつものじぶんに戻るために、ことばを声にすること。

本当のじぶんになるには、まず、じぶん自身に向けて、じぶんをさらけだすことです。
飾らず、ごまかさず、いまのじぶんに真実を語ること。

この母の姿と肉声をここに出すことも、私自身のプラクティスです。

レジリエンスは、じぶんをじぶんをさらけだす、声の力。

むずかしいプラクティスではありません。

Be yourself.

このことばを、声にしてみてください。

Build the practice within.(じぶんの内側に、戻るしくみを身につける)

作(文・挿絵・声に出すことば・声):坂口立考
出典・参照:Joe Dassin ♪『Les Champs-Élysées』、以下のエンパレットノートなど

(*注1) 生誕34,192日目。1年半前に倒れる前とおなじように話せるようになっています。「私、よくしゃべれるようになったでしょ?」そのとおりです。聞いている方の聞き取るプラクティスが足らないだけ。

いつものじぶんに戻る|Resilience

⚫︎ 「折れない・負けない・あきらめない」とは?|Resilience ①
⚫︎ 「メンタルが強いか、弱いか」ではない|Resilience ②
⚫︎ 勝者は、敗者の自覚から|Resilience ③
⚫︎ いつものじぶんをつくる|Resilience ④
⚫︎ 心の免疫力をつくる|Resilience ⑤
⚫︎ いのちある限り、回復できる|Resilience ⑥
⚫︎ 心をしなやかにする手入れ|Resilience ⑦