
Build your inner immunity.(心の免疫力をつくる)
レジリエンスとは、心の回復力。
何があっても、元気でいることではありません。元気を取り戻せることです。
そのために、人間には、もともと回復力が備わっています。
傷がふさがる。
骨がつながる。
風邪が治る。
疲労が回復する。
これらは、身体がじぶんでしていることです。それを「自然治癒」と呼びます。
薬は、その働きを助けることはできます。しかし、ときには副作用もあります。また、症状を抑えることが、そのまま回復を意味するわけではありません。(*注1)
心もおなじです。
心の調子は、脳だけを切り離して考えることはできません。
食事、睡眠、運動、そして免疫。
そして、腸内細菌を含む身体の環境。
それらは互いに関わりあっています。
腸は、身体の中でも大きな免疫組織をもつ場所です。腸内細菌も、免疫の調節や身体の恒常性に深く関わっています。(*注2)
たとえば、セロトニンの約95%も腸でつくられています。セロトニンは、脳や腸で働く神経伝達物質のひとつで、気分の安定、安心感、睡眠、食欲などに関係します。不足すると、疲れやすくなり、集中力を持続できなくなり、うつ病の原因にもなります。
だから、心の回復力を育てるとは、心だけを鍛えることではありません。人間が本来もっている回復する力を引き出すことです。
そのためには、生活環境にも目を向ける必要があります。
感染を防ぐための清潔は大切です。その一方で、「菌はすべて悪い」と考えることもできません。私たちの身体は、多くの微生物と共に生きているからです。
清潔を求めすぎるあまり、除菌・抗菌のしすぎで、腸内細菌さえも安心して腸にすめない環境をつくりだすことにもなります。
Be calm.(落ち着いて)
そして、もう一つ大切なのは、ふるまいです。
心は、頭で考えるだけでは回復しません。
思い切り笑う。
笑顔で「ありがとう」と言う。
だれかの役に立つ。
人の話に耳を傾ける。
じぶんから声をかける。
こうした日々のふるまいが、人と人をつなぎ、安心できる場をつくります。
落ちこんだ時にも、じぶんが戻ってこられるところを、日ごろからつくっているのです。
レジリエンスとは、特別な精神力ではない。強い心で、我慢して、つらさに耐えることでもない。身体を整え、人とつながり、じぶんからふるまうこと。
Build on what you already have.(備わった力の活かして)
そもそも、プラクティスとは、外から新しい力をつけ足すことではありません。
あなたに本来備わっている力が働くように、日々のふるまいによって、その土台を整え、育てていくことです。
その土台の上で、新しい力や技能を身につけるために鍛える。それがトレーニングです。
レジリエンスも、まずはプラクティスから始まります。
声に出して、じぶんにことばをかける。
そのことばを、じぶんの手で書き残す。
じぶんの肉声を、じぶんに響かせる。
じぶんの手で、ことばを残す。
そんな小さなプラクティスが、あなたが想像するよりも、はるかに大きな助けになります。
それは、じぶんの内側にもともとある、元気を取り戻す力を、いつでも働かせられるように育てることなのです。
作(文・挿絵・声に出すことば・声):坂口立考
出典・参照:以下のエンパレットノートなど
(*注1)例えば、風邪で熱が出るのは、身体が免疫を働かせているためです。熱はつらい症状ですが、同時に病原体と闘い、回復しようとしている身体の反応でもあります。私たちは、熱という不快な症状ばかりに目を向けがちです。しかし、本当に大切なのは、熱を下げることではなく、身体が回復することです。
そのためには、十分な休養や睡眠、水分や栄養をとることが欠かせません。薬は症状を和らげ、回復を助けることはできますが、それ自体が身体を治すわけではありません。回復の主役は、人間が本来もっている免疫の働きです。
(*注2)私たちの免疫細胞の多くは腸に集まっています。腸内には数百種以上、数十兆個もの細菌がすみ、腸内細菌叢(マイクロバイオータ)をつくっています。これらは、食べ物の消化だけでなく、免疫の調整や身体の恒常性にも深く関わっています。
いつものじぶんに戻る|Resilience
⚫︎ 「折れない・負けない・あきらめない」とは?|Resilience ①
⚫︎ 「メンタルが強いか、弱いか」ではない|Resilience ②
⚫︎ 勝者は、敗者の自覚から|Resilience ③
⚫︎ いつものじぶんをつくる|Resilience ④
⚫︎ 心の免疫力をつくる|Resilience ⑤
⚫︎ いのちある限り、回復できる|Resilience ⑥
⚫︎ 心をしなやかにする手入れ|Resilience ⑦
