
You can’t build a house from the roof.(屋根から家は建てられない).
一枚の紙に、人の絵を描いてみてください。どこから描きますか?
多くの人は、頭から描くでしょう。顔を描き、身体を描き、手足をつけていきます。靴から描き始める人は、あまりいません。
では、家の絵ならどうでしょう。どこから描きますか?
屋根からでしょうか。そのほうが描きやすいのではないでしょうか。屋根を描き、その下に壁や窓をつけていく。
では、今度はレゴで家をつくってみてください。
屋根から組み立てることはできるでしょうか。
できません。
まず土台があり、その上に壁があり、最後に屋根があります。構造に従わなければ、形をつくれません。
これは、単なる順序の話ではありません。土台、柱、壁、屋根は、ばらばらに並んでいるのではなく、互いを支える関係にあります。上にあるものは、下にあるものなしには成り立ちません。
絵の中では、屋根から描けます。頭の中でも、完成した家を先に思い浮かべられます。ことばでも、「家」と言えば、一瞬で家全体を示せます。
しかし、現実の家は、屋根からは建てられません。構造を無視して家はつくれない。土台なしに家は存在しない。
一事が万事。(First things first)
ここには、「思い描く順序」と「現実に生み出す順序」という、二つの順序があります。
私たちは、この二つの世界を同時に生きています。
想像の世界では、完成した姿から始めることができます。時間を飛び越え、まだ存在しないものを思い描くこともできます。
現実の世界では、身体が動き、周囲の環境に働きかけ、リアルタイムにものごとが進みます。そこでは、土台から積み上げるしかありません。
つまり、「思う」と「つくる」は、反対向きに進みます。
思うことは、完成形から始まります。つくることは、土台から始まります。
しかし、この二つは対立するものではありません。
完成した姿を思い描くから、向かう先が生まれる。土台から積み上げるから、その思いが現実になる。
私たちは、思いを描きながら、土台をつくる。その往復の中で、また新しい思いが生まれます。
これが、人が何かを生み出すということの構造です。
そして、ほとんどの場合、何かをつくりだして、はじめて、思ったり考えたりすることができます。
想像の世界は、時間の制約がなく、物理の制約もありません。現実の世界には、時間の制約、物理の制約、そして認知の制約もあります。
でも、その制約のおかげで、私たちは、ものごとに気づくことができ、深く考えることができます。
結果は、頭の中でつくれる。
原因は、頭の中ではつくれない。
だから、プラクティスは、土台づくりから始めるのです。
結果は頭の中でつくれる。原因は頭の中ではつくれない。(You can build the result in your head. But you can’t build the cause there.)
⚫︎ タネをまかずに実はならない|First Things First ③ ものごとには因果がある へ続く(明日配信)
作(文・挿絵・声に出すことば・声):坂口立考
出典・参照:以下のエンパレットノート
「First Things First シリーズ」:
⚫︎ 歩ける前に走れない|First Things First ① ものごとには順序がある
⚫︎ 屋根から家は建てられない|First Things First ② ものごとには構造がある
⚫︎ タネをまかずに実はならない|First Things First ③ ものごとには因果がある
⚫︎ あとからダシは入れられない|First Things First ④ ものごとには不可逆がある
⚫︎ 鏡の前に立たなければ、じぶんの姿は映らない|First Things First ⑤ 認知には法則がある
⚫︎ 上達に迂回路はない|First Things First ⑥ プラクティスには法則がある
⚫︎ 他人の結果はまねられない。原因をまねよ。|First Things First ⑦ プラクティスには絶対原則がある
