Caregiver guiding an elderly woman with a walker in a bright room, wheelchair nearby in a care setting.

いのちある限り、回復できる|レジリエンス ⑥

医師から何度も「今日かもしれない、明日かもしれない」と告げられながら、95歳のカズコさんは今日もリハビリを続けます。回復とは、昔の身体に戻ることではありません。変わっていく身体で、いつものじぶんに戻ること。人は寿命を迎えるその時まで、回復する力をもち続けています。レジリエンスとは、そのいのちの働きです。

Keep your self-agency. (じぶんを動かす力を保つ)

心の免疫力をつくる|レジリエンス⑤

レジリエンスとは、何があっても元気でいることではなく、元気を取り戻せること。人間には、傷を癒し、疲れから戻る力がもともと備わっています。心もおなじです。心だけを鍛えるのではなく、食事、睡眠、運動、そして笑う、感謝する、耳を傾けるといった毎日のふるまいが、安心感を育みながら、本来の回復力を引き出し、心の免疫力を育てます。

Build your inner immunity.(心の免疫力をつくる)

いつものじぶんをつくる|レジリエンス④

「プレッシャーに負けた」ということばを、よく耳にします。でも、プレッシャーの中で現れるのは、特別なじぶんではなく、いつものじぶんです。プレッシャーが原因だと思うと、「もっとがんばれ」「ここで力を出せ」とじぶんを追い込みます。プレッシャーの中で必要なのは、特別なじぶんになることではなく、いつものじぶんに戻ることです。

Resilience. You need your everyday self to return to.(回復力ー戻る先は、いつものじぶん)

Figure skating awards ceremony on an ice rink: three skaters stand on the podium (1st in purple at center, 2nd in navy on the left, 3rd in red on the right) while a fourth skater in blue watches from the foreground.

勝者は、敗者の自覚から|レジリエンス ③

敗北のあと、「相手が強かった」「経験不足だった」と結果を説明します。けれど、次を変える原因は、試合の前、プラクティスにあります。敗者になるとは、自分を責めることではなく、今までのプラクティスでは届かなかったと引き受けること。そこから、いつものプラクティスに戻り、また挑戦する。続けているかぎり、敗者のままではありません

Embrace defeat. Return to your practice.(敗北を受け入れ、プラクティスに戻れ)

Woman in a purple shirt and cap swinging a backhand on an outdoor tennis court at sunset.

「メンタルが強いか、弱いか」ではない|レジリエンス ②

「メンタルが強い」とは、勝敗という結果だけを評した比喩にすぎない。勝てば強いと言われ、負ければ弱いと言われる。結果から原因がつくられ、負けた者は弱い人にされてしまう。だが脳には攻めると避けるの二つのモードしかなく、日々のプラクティスがその切り替えを左右する。育てるべきは強いメンタルではなく、立ち直るプラクティスである。

Stay on.(そのままで)

「折れない・負けない・あきらめない」とは?|レジリエンス ①

折れない、負けない、あきらめない。すべて結果をあらわすことばです。私たちは、その結果を先に掲げ、そこへ向かおうとします。でも、順序は逆です。レジリエンスとは、崩れないことではなく、崩れたところから、ふだんのじぶんへ戻る力です。必要なのは、戻るためのプラクティスです。かんばることばの前に、まず戻ることばを持つことです。

Practice returning.(戻ることをプラクティスする)

Side profile of a female tennis player with a highlighted brain diagram, focusing on the amygdala labeled in the head.

心の切り替えモード③|逃げるモードに入った瞬間に勝負に負ける

勝負は相手に負けるのではありません。Approach(向かう)からAvoidance(避ける)へ切り替わった瞬間に負けが始まります。Approachではドーパミン、Avoidanceではコルチゾールが優位に働き、この二つのモードは同時に成り立ちません。スキルだけではなく、それを発揮できる「状態」が勝負を決めるのです。

Get back to your practice. (いつものじぶんに戻れ)

あべこべを試してみよう|カエルのおでかけ

絵本『カエルのおでかけ』。カエルにとっての「いいお天気」は雨の降る日です。カエルの気分になると見える世界。いったん「さかさま」になってみると、物事は意外によく思えてきます。心が軽くなります。私たちの日常にもにたようなことが、たくさんあります。声に出して言ってみると、その声がひびいて、ただのあべこべではなくなりますよ。

Try the other way round.

母も時なり②|いま共に生きている

道元禅師の『正法眼蔵』に、「前後際断」ということばがあります。起きている時と寝ている時では、時間と存在のあり方がちがう。冬が春になるのではなく、春が夏になるのでもない。冬には冬のあり方、春には春のあり方がある。生もその時のあり方である。死もその時のあり方である。その時は、その時としてある。今という時を生きているのです。

Death is within life. (死は生の内側にある)

The heart is counting up, not down,
until the final beat.(鼓動は、カウントダウンではない。いのちがたたまれるその時まで、数えあげている)

Close-up of an elderly hand resting over a younger hand, conveying care and connection in a painted scene.

母も時なり①|いのちの舟に乗っている

まなざしがことば。手の温もりがことば。指に入れる力がことば。うなづきの間がことば。耳を澄ます静けさがことば。声をしぼり出す息がことば。口を動かす気配がことば。ことばが届いたとわかる仕草がことば。半身が動かないことでも、声が出せないことでもない。いま向きあっているのは、持てる力を使い尽くし、今の生き方で生きている母の姿。

Life enfolds.(いのちは、内側へたたまれる)