プラクティス「やきおにぎり」

おいしい焼きおにぎりとは?香りをかぎ、音を聞き、色を見て、丹念に、手を動かす。みまもる姿勢が、おいしさに変わる。すべては自然の力。その現象のまわりを、手入れするだけ。あせらずに、楽しみ待つこと。人のためにつくるから、心がこもる。みんなでわかちあえるから、おいしい。七輪炭火の焼きおにぎりは、じぶんをプラクティスする場。

Relish your moment.(この時を味わおう)

学びの原点は、みて、ふれて、感じること。

ヘンリー・ソローは言います。「ゆっくりすることが哲学のはじまり。知恵は調べることでなく、じっくりみること。」木、花、葉、土、水、空気。あらゆるいのちにふれることです。はじめに共感があり、体験を深め、自然について繊細になること。その後から、知識が結びつき、学ばれるのです。自然の営みに触れることが学びの原点です。

Slow are the beginnings of philosophy. (ゆっくりすることが哲学のはじまり)

人はじぶんの物語を語って、生きている。

「生きるとは、人生の出来事ではなく、思い出すことである。思い出して、どのように語るかである。」ガルシア=マルケスは、最後の著作『Vivir para contarla』(生きて、語り伝える)で、生きることと物語をつくることは同じことなのだと言います。人は、じぶんの物語を、そして生きる意味を「物語る」ことで生きています。

Memento Vivir.(生きているってことを思い出して).

思い描きを生きる [ねがいを行動にする]

想像とは何をすることでしょう?絵を描くフリをすること。イメージをつくる「ふるまい」をすること。そのつもりになること。そのものになること。自分の中に「正解」を求めて「人生」にじぶんをあてはめるのではなく、じぶんが思い描く行為を本当にすること。それは、ねがうこと。その小さな断片をつなげていくことが、生きていくことです。

Life isn’t about finding yourself; it’s about creating yourself.

すむ

Relax.(身心を楽にして)

和語の響きには、ものごとのふるまいや様子を表すコンセプトが宿っています。すむとは、静かに待ち、おちつくことです。何かいろいろな努力をしないと「澄んだ心」にならない、と構える必要はありません。静かにすわり、息をゆっくり吐くことです。エンパシーム「あゐてにふすいま」の[ す ]は、ひと息ぶん、すむ「間」です。

ひとつひとつ、思い出して、後からじかんを生きている

断崖から転落した私を救ってくれたのは、崖の中腹に生えていた、ふた股に分かれた不思議な樹でした。九死に一生を得たのです。何十年前の体験?いいえ。あの体験を思い出すことで、後から「じかん」を生きているのです。思い出して、後から、その瞬間を思い浮かべて、生き直すことが、ひとつひとつの瞬間を生きていることなのでしょう。

Every moment is life.(思い出す瞬間のすべてが生きている時間)

We are all connected [つながりを生きている]

ツツさんのことばに耳を傾けてみましょう。ことばは、身体を使って出し入れする音声のつながりが、意味やイメージとつながり、さらに記憶や想像とつながる現象です。つながりとは、そのようにして、人びとの心がふれあうことです。私たちはすでに、世界とのつながりを生きています。生きることは、つながりに気づくことです。

We are all connected.(わたしたちはみな、つながっている)

i am life [じぶんに持ちものはない]

ブッダは言いました。「じぶんのふるまいだけが唯一のもちもの。」私の記憶、私の想像、私の記録。私の家族、私の友人、私の会社。私の成果、私の幸福。私の人生。本当に、私の持ち物なの?いいえ。生きている、このいまの、ふるまいだけが、じぶんです。i am life. (じぶんはいのち)と言ってみると、新鮮な風が吹きこんできます。

My true belongings are my actions.

自然とのふれあいの中にある[テクノロジーの本質]

テクノロジーとは?人間の力を補ってくれる便利なもの、しくみ。でもそれだけではありません。テクノロジーは、人間がつくり、使うものです。人間は自然の一部です。人間は、自然とのふれあい、かかわり、共に生きる存在です。テクノロジーの本質もそこにあります。「わけへだて」はせずに「自然とのふれあい」から考えることがいちばん大切です。

We are nature-made.

思い出しながら生きている [じぶん民俗学]

谷川健一さんは言います。「民俗学は、歴史学とはちがい、現在から過去へと思い出していきます。」私たち人間の記憶は、歴史年表のように記録されているのではなく、思い出すことば、情景によって、その都度、演出されます。私たちは、 声でことばを紡ぎ、思い出しながら生きています。思い出すことで、想像をつくりながら、生きる存在です。

We are because we remember.(思い出すことで生きている)