大理石になった空|ことばを移すと体験が生まれる②

「空の色が濁りました。」夏目漱石の『三四郎』の一場面です。透き通る藍が薄くなり、その上に白い雲が鈍く重なり、乳白、灰青、薄黄が溶けあう。「濁った空」は、光の散乱によって実際に起こりうる空の姿でもあります。けれども、三四郎はその空を以前にも見ていました。変わったのは、空ではありません。「濁る」ということばを得たのです。

Words seed your view.(ことばが、見方のタネをまく)

雨になった足|ことばを移すと体験が生まれる①

雨になった足。海になったスニーカー。ことばを移すと、見え方が変わります。「こどもの頃、雨が降って水たまりが洪水になると、それだけで高揚した。長靴をはいて水たまりに入ると、それだけで興奮した。夢中の果て、長靴の中も海になった。あの感覚が蘇える。」両足と豪雨、スニーカーと大海。別々のものが重なる時、新しい経験が生まれます。

Words seed your view.(ことばが、見方のタネをまく)

まぶす、あえる、つつみこむ|発想とは逆転させること②

乾燥マンゴーに唐辛子をまぶす。甘さと辛さ、異なるものを隔てず、近づけ、あえ、包みこむ。発明は一人の天才のひらめきとは限りません。すでにあるものを少しずらし、異なるものを重ね合わせる。何世代もの無数の手が、屋台の味を変奏し、育ててきた。発想とは分けて考えるクセを手放し、出会わせ、混ぜ合わせ、そこに新しい関係をつくること。

Unlearn the divide. Think the other way around. (分けるという発想を手放せ)

カギは未知へのひとり言にある ③|あえてじぶんにたずねる—Dare to Ask

教えたことを覚えたかは、テストでわかる。でも、何が身についたかは? その本人がじぶんだったら?身についてきた? 何か変わった? じぶんにとって意味がある? 正しい答えはいりません。あえて声に出してじぶんにたずね、ふりかえる。その体験が自問する力を育てます。じぶんから問いをもつことで、じぶんにとって大切な意味が生まれます。

Dare to ask yourself. (ひらきなおって、じぶんにたずねる)

カギは未知へのひとり言にある ②|だれにでもある成功体験—Dare to Ride

ひらきなおる。思い切ってやってみる。そのために、じぶんの成功体験をことばにして持ち運びましょう。Dare to Ride。初めて自転車に乗れた日も、転んでは立ち上がるくりかえしが、身体にバランスを刻み込みました。どうすれば乗れるか説明できなくても、身体は覚えています。心配いりません。動けば、身体が覚えてくれます。

Dare to ride.(思い切って乗ってみる)

カギは未知へのひとり言にある ①|Dare to Suck—Ed Sheeran

創作とは、よい結果をめざして数を重ねることではなく、まだ何になるかわからない、未知ににじぶんを向け、「1」を重ねることです。エド・シーランは、320曲から13曲を残した結果ではなく、その一曲一曲を生み出す時に「Dare to suck」とじぶんに声をかけます。下手でもいい。そのひと言が、未知へ踏み出す原因をつくります。

Dare to suck.(下手をさらせ)

ゆるす|声にして、手放す

ゆるすことは容易ではありません。ゆるすとは、ゆるめること、ほどくこと。しばっていたものをゆるめること。しばられているものは?じぶんです。たとえ、原因(とじぶんで決めていること)がだれのせいであろうとも、しばられているのも、しばっているのも、じぶん以外にはいません。ゆるすプラクティスはひとつ。声に出してじぶんに言うこと。

I forgive you.(ゆるすよ)

かぞえられるという力|味わう単位

「皿の上の果物を足すと、全部で何個ですか?」考えてみると不思議です。なぜ、ちがうものを足すことができるのか?私たちは、視覚、触覚、味覚で、違いを知っています。その一方で、そういう小さいことは、いったん忘れて、つぶのような「もの」として、抽象化する能力も備わっています。「小さいことは忘れて」答えよ、と言っているわけです。

Count anything.(なんでも数えてみよ)

五感から、見えない世界を思い描く|さかさまに考えてみる⑦ The Other Way Around

想像力とは、異質なものをイコールでつなぎあわせること。ひらめきは、五感を結いあわせるような営み。さかさまにすると気づきます。「古池や 蛙飛こむ 水の音」の誤解にも。長谷川櫂さんは、このように説きます。「芭蕉は、蛙が飛び込む音を聞いて古池を思い浮かべた。古池は「蛙飛こむ水の音」が芭蕉の心に呼び起こした心の世界である。」

Inspire all your senses.(五感を澄まして)

「あそぶ」プラクティス③(くみあわせてつなぐ)

エンパシームでできる「さかさまつなぎ」のあそびを紹介します。見出しにいれたタイトルをふたつ、当てずっぽうに選び、論理でつないでみます。「AだからBである」という因果関係でつなぐのではなく、さかさまにして「AなのはBだから」というふうに原因を推理するパターンでつなぎます。すると発想が膨らみ、意外なおもしろさが生まれます。

Give it a try.(ためしてごらん)