共感素を、みんなでつくろう。
エンパシームによって、じぶんに身近な世界がこれまでと違って感じられるようになりました。きっかけは、さかのぼって、あとから生まれます。エンパシームで短いことばを声にすると、そこに後から意味が生まれてきます。ねがいとは、ねがう気持ちをくりかえすプラクティスのこと、そのものです。そして、それは植物のように育つものなのです。
エンパレットのカテゴリー Inspire 発想
エンパシームによって、じぶんに身近な世界がこれまでと違って感じられるようになりました。きっかけは、さかのぼって、あとから生まれます。エンパシームで短いことばを声にすると、そこに後から意味が生まれてきます。ねがいとは、ねがう気持ちをくりかえすプラクティスのこと、そのものです。そして、それは植物のように育つものなのです。
「共感の精錬」というテーマでつづるフォトエッセイ(13回シリーズ)です。サイエンス、アート、ヒストリー、フィロソフィー、テクノロジー。分野のわけへだてなく、想像を自在に結びあわせる試み。現代の文明社会をよりよく生きる手がかりは、すべての人の「じぶん」という資源を精錬することにあります。共感を精錬するプラクティスこそ。
現代の文明社会をよりよく生きる手がかりは、すべての人の「じぶん」の中にある。きっかけは、思いが精錬され、実感に変わる時である。じぶんを資源として、きっかけは後から遡ってできる。その縁をもとにして新しい源泉ができる。ひとりのじぶんが資源になり、素材になり、未知の可能性になるという循環の回路をみんなでともに歩むことができる。
共感の力を引き出し、それを「より多く感じられる」ようにはからうために、人間の英知であるサイエンスの力も、創意工夫の結晶としてのテクノロジーの力も、心身のふるまい作法というアートの力もあわせることはできるはずである。心がけや心構えは、頭だけではできない。共感的な想像力を引き出す、小さな作法化をして身につけることこそ。
鉱物資源は外から直接見ることはできない。だから表出される場所を探り、垣間見るしかない。同じように「ありのままのじぶん」があるとすれば、じぶんという土壌から表出する、無意識のふるまいに垣間見るものだろう。想像の鉱床から原石を採り出して抽出する過程。それは心の働きが表出する、小さなひと時をつくることだ。
カリフォルニアは日本列島に似ている。火山があり、温泉があり、鉱脈がある。古い大地の活動で熱水鉱床のあった大地。中央構造線は断層である。断層にそって水銀鉱床が見つかった。サンタクルス山脈も、サンアンドレス断層とよぶ、カリフォルニアを貫く大地の裂け目に沿って走っている。断層はかつて、熱水によって鉱脈ができたの証でもある。
アルマデン鉱山跡を歩きながら、日本列島の丹生の路にも思いをはせる。日本は丹の産地すなわち水銀朱という地下に眠る天然資源を探しあて、それを採掘して精製した技術と産業経済史の宝庫でもある。アルマデンで拾った鉱石のかけらには、地球の歴史が凝縮されている。じぶんが地球だったら、この岩石は皮膚の一部であり、来歴の記憶なのだ。
丹(に)は、朱色の鉱石。古来より、文明の興亡、人間の歴史・文化に特別な影響を与えてきた希少資源。硫化水銀(朱)と水銀(ミズカネ)。地球という私たちの住処にはわずかしかない特殊な鉱物が、人間のいのちの営みとも、想像の世界とも深い関わりを持ってきた。日本列島も、古代から現代まで、各地に刻印を残してきた鏡のような存在である。
アルマデン水銀鉱山遺跡自然公園。歴史文化遺産地域全体が、生態系の保護を目的とした自然公園ハイキングトレイルになっている。カリフォルニアの歴史、そこに映る文明の象徴、人間の営みの証がここに凝縮している。ここは、丹(に)の生まれる所。丹生(にう)に関わるあらゆるイマジネーションを精錬し、ひとつのストーリーに仕上げたい。
「おどろきは、知ることのはじまり。」ソクラテスのことば。(書物を残さなかったソクラテスのことばは、プラトンによって残されたものなので、プラトンのことばでもあります。)おどろくとは、ふしぎにふれること。身のまわりに、たくさんあります。静かに心をひらけば、自然にやってきます。近づき、ふれて、じぶんと結びつけてみることです。
Things are wondrous. You don’t have to wonder.(世界はふしぎ。無理しておどろかなくても)