心の世界は五感を結いあわす

古池や 蛙飛こむ 水のおと

『松尾芭蕉・奥の細道』について、長谷川櫂さんは、このように説きます。

  

「ふつうこの句は、古池に蛙が飛びこんで水の音がしたと解釈されるが、本当はそういう意味の句ではない。「古池や」「蛙飛こむ水のおと」の順番にできたのではなく、最初に「蛙飛こむ水のおと」ができて、あとから「古池や」をかぶせた。このうち最初にできた「蛙飛こむ水のおと」は、じっさいに聞こえた現実の音を言葉で写しとったもの。

一方、「古池」は現実の古池ではない。なぜなら、蛙が水に飛びこむ音を聞いただけで、蛙が水に飛びこむところは見ていないから。芭蕉は、蛙が飛び込む音を聞いて古池を思いうかべた。「古池」は「蛙飛こむ水のおと」が芭蕉の心に呼び起こした幻影。」

空気・じかん・音のつぶ

5歳の夏休みでした。その箱のふたを開くと、箱ぜんぶが機械でした。出っ張った2本の棒、小さな四角い箱、それに丸いボタンがついています。

父は、タイヤのようなものをふたつ、片方の車輪の真ん中を片方の棒に、もう片方の車輪をもう片方の棒にはめました。車輪はヒモでした。そのヒモで、四角い箱とふたつの車輪を結ばれました。ガチャリと音がして、そのヒモがくるくると回りだしました。

「なんだろう、これ?!」思わず、そう言いました。

父がレバーをガチャリとすると、キュルキュルという音がしました。もう一度ガチャリとすると、「なんだろう、これ?!」なんと、声が飛び出してきたのです。それは、ぼくの声だと思いました。

ふしぎ

そこから とびだしてきた!
みんな おとのなかに はいってる
おとのなかに、ぼくも くうきも

おとのほうが
みえるへやよりも ずっとひろい
おとなのに よくみえる

えは そのはんたいの ふしぎ
とまっていたのに みんな うごきだす