
The ear opens before the world does. (耳は、世界より先に開いている)
赤ちゃんは、生まれる前から、耳を持っています。
目は、まだ開いていません。手も、足も、まだじぶんの意思では動きません。
でも、耳は、もう働いています。
母の声。
心臓のリズム。
外とから伝わる振動。
赤ちゃんは、何も知らない、未知の世界に対して、すでに開いているのです。
持っていない力では、何かをすることはできません。
あるのは、いま、すでにある力だけ。
赤ちゃんにとって、はじめの手の持ちの力は、耳。
そして、「耳のことば」で、はじめの一歩を踏み出すのです。(*注1)
You don’t walk because you can, but because you aspire.(歩けるから、歩くのではない。向かうから、歩くのだ)
その一歩からはじめて、次の力を生みます。
聞く。
感じる。
手を伸ばす。
試してみる。
そして、いつか歩けるようになる。
歩けるから歩き始めたのではありません。
向かおうとしたから、身体が変わり、歩けるようになったのです。
前に道があるから歩くのではありません。
歩いた後に、そこが道になります。
Aspiration. Life is becoming.(人生は、ねがいになること)
私たちは皆、そうやって未知の中へ一歩を踏み出してきました。
偉人・達人の話ではなく、私たちのすべてがすでに通ってきた道。
自転車に乗れるようになった時もそうでした。
ことばを話せるようになった時もそうでした。
新しいことに挑戦するときも同じです。
ここまで、Aspirationをいろいろな角度から見てきました。
⚫︎ 最大の未知は、じぶん。
⚫︎ 未知には、先に正解がない。
⚫︎ 必要になるのを待たず、続けることで必要性が育つ。
⚫︎ やっているうちに、「できそう」という予感が生まれる。
⚫︎ 響いたことばを、じぶんの声にして思いを育てる。
⚫︎ 歩いてきた後に、夢が見えてくる。
どれも、未来の答えを先に知ってから進む話ではありません。
最初から未来のじぶんを見ることはできません。
でも、小さな思いに向かって一歩を出すことはできます。
その一歩が、次の自分をつくります。
Aspirationとは、まだ存在しない自分へ向かう力です。
未知へ向かうことで、じぶんが変わっていく。
Believe in your aspiration and trust your wings. (じぶんのねがいを信じて、じぶんの翼を信じて)
作(文・挿絵・声に出すことば・声):坂口立考
出典・参照:以下のエンパレットノートなど
(*注1) 「耳のことば」とは、私たちがふだん声でやりとりしていることばのことです。文字として読むことばではなく、声として聞き、感じ、受け取り、返すことばです。人は、生まれる前から、音やリズムを通して世界とつながっています。
一方、文字によって読む・書くことで伝えることばは、「目のことば」と呼ぶことができます。私たちは、便利な「目のことば」に頼るほど、もともと備わっていた「耳のことば」の力を忘れがちです。未知に向かう力を養うのは、人間の肉声。
未知にじぶんを向ける力|Aspirationシリーズ(7回)
⚫︎じぶんこそ、最大の未知|Aspiration ①
⚫︎「正解を教えて」依存症|Aspiration ②
⚫︎「やらなくても困らない」が、いちばんの壁|Aspiration ③
⚫︎ できそう、という予感|Aspiration ④
⚫︎ 響いたことばを、じぶんの声にする|Aspiration ⑤
⚫︎ 夢は、後からできる|Aspiration ⑥
⚫︎ 未知へ向かう力が、じぶんを変える|Aspiration ⑦
Aspirationシリーズ(まとめ)

じぶんこそ、最大の未知|Aspiration ①
出発点は、自分自身がまだ知られていない存在だということ。人は外の世界の未知には向かいますが、自分の中にまだ発見されていない可能性があることを忘れています。Aspirationとは、完成した自分を目指すことではなく、まだ知らない自分へ向かう力です。
「正解を教えて」依存症|Aspiration ②
未知に向かう時、人は外に答えを求めます。正しい方法、正しい答え、失敗しない道を探します。しかし、未知には最初から正解はありません。答えを受け取ることではなく、自分で試し、自分で確かめ、自分で道をつくることが必要です。Aspirationとは、正解を探すことではなく、自分自身で道をつくる力です。
「やらなくても困らない」が、いちばんの壁|Aspiration ③
では、なぜ人は動けなくなるのか。能力がないからではありません。やらなくても、今は困らないからです。必要にならないものは後回しになります。変化は起きません。だから、人は必要になるのを待つのではなく、自分の中に必要性を育てる必要があります。Aspirationとは、答えを得る力ではなく、自分で進む力です。声に出すことで、それができます。
できそう、という予感|Aspiration ④
自転車に初めて乗れた日のことを覚えていますか。補助輪を外す時が来て、何度も転んでは立ち上がり、乗れる時が来ました。「もっと乗りたい」という思いがあったからです。その思いがプラクティスを生み、くり返しが力になります。Aspirationとは、内側から生まれ、じぶんを動かす力。あなたはすでにその力を使った経験があります。
響いたことばを、じぶんの声にする|Aspiration ⑤
では、その思いをどう育てるのか。それは、声にすることです。心に響いたことばも、受け取っただけではまだ外から届いたものです。自分の声にした時、そのことばは自分の内側で働き始めます。声は、思いを伝えるためだけではありません。自分自身に思いを届ける働きがあります。Aspirationとは、ことばのタネを声にして、自分の中で育てる力です。
夢は、後からできる|Aspiration ⑥
私たちは、夢があるから歩くと思っています。しかし、実際には、歩いた後に夢が見えてくることがあります。最初はただ興味があった。少し続けていただけだった。その時は意味がわからなかった。でも、後から振り返ると、それが自分の源流だったと気づく。夢は、未来に置く完成図ではありません。Aspirationとは、歩いた道をふり返った時、そこに見えてくる力です。
未知へ向かう力が、じぶんを変える|Aspiration ⑦
そもそも、人間は最初から未知へ向かう存在です。赤ちゃんは、生まれる前から耳をもち、まだ知らない世界に開かれています。私たちも、未来の答えを先に知って進むのではありません。じぶんからやってみる。続ける。その中で「できそう」という予感が生まれ、思いが育ち、歩いてきた後に道や夢が見えてきます。前に道があるから歩くのではなく、歩いた後に、そこが道になる。Aspirationとは、まだ存在しないじぶんへ向かう力です。未知へ向かうことで、じぶん自身が変わっていきます。
