英語習得の最大のボトルネックを克服する「2秒」

英語習得のボトルネックは「ワーキングメモリ」

覚えることは、すべての学びの土台です。
聞く、話す、読む、書く。

それはつねに、一瞬で覚えて、ことばの出し入れを処理する「心の作業現場」を必ず通ります。この働きがワーキングメモリです。

「ことばを使える」基本は、耳に届いた瞬間に消えていく「音のまとまり」をワーキングメモリで処理できることです。

そして同時に、音・リズムを、文字やイメージと結びつけ、長期記憶に送る働き。また、そこからことばを引き出して、一瞬の内に組み立てる働き。

くりかえしによって、これらの働きが相互につながり、スムーズな流れになることで、ことばを使えるようになるのです。

学びには、ワーキングメモリがクリティカルに重要であることが科学的に明らかにされていながら、だれもができる、日常英語のプラクティスに即した具体的なトレーニング、支援方法が、ほとんどありませんでした。

ことばを身につけるワーキングメモリは「2秒」

ワーキングメモリの制約が、英語学習の最大のボトルネックです。

母語の習得でもクリティカルですが、外国語の習得に到っては、このボトルネックを抱えたまま「闇雲に勉強を続ける」ことが、学習そのものの大きな負担になります。また、残念ながら、最も肝心な問題に触れないままでは、学習が身につきません。

英プラは、2秒以内に覚えられる「音のつらなり」の処理にフォーカスします。

なぜなら:

(1)日常会話のほとんどは2秒以内のセリフ(長い文を話すのではなく、ひと息で区切れ、音のまとまりがある)

(2)一度に覚えられるのは、2秒で言えるセリフ(文字を読んで覚える時もワーキングメモリが音のまとまりに変える)

(3)聞きとれるのは、じぶんが2秒で言えるセリフ(じぶんで言えないセリフは、ワーキングメモリが処理できていない)

エンパシームを使うことで、ワーキングメモリのトレーニングをしながら、英語を効率的・効果的に、身につけることができます。

 


エンパシームだからできる「2秒単位」のプラクティス

ことばを身につける基本最小単位は、身体を使って「出し入れ」とくりかえすことのできる、2秒という時間です。

英プラは、2秒単位で、ひと息でしっかりと声を出す運動と、その情景をイメージするデュアルタスクを、15分〜30分の間で、くりかえしを最大化するプラクティスです。(*注1)

・2秒でアウトプットし、2秒で手本と比べ、2秒でじぶんをふりかえる(*注2)
・2秒単位のデータ化、視覚化、定量化(フィードバックのベース)
・すべてを2秒のものさしで構成した、一貫した総合プラクティス

その中に「数秒待つ」という間をいれるプラクティスが、ワーキングメモリのオーバーフローを抑えることにつながり、また、瞬く間に通り過ぎる「弱く短い音のまとまり」(チャンク)を捉えるトレーニングの効果を高めます。(*注3)

「2秒単位」のチュータリングプラットフォーム

英プラはさらに、英語で生活する、米国在住の大学生を中心としたチューター体制を整えています。
エンパシームだからこそできる、2秒単位のプラクティスデータ(声のデータ)をシェアできるしくみ。
チューターから個別のピンポイントアドバイスを受け取れます。

相手を思う心、伝えるふるまいは、ことばの原点です。
エンパシームを使って同じようにチュータリングをする彼らからの働きかけ、前向きなアドバイス。
本当にふれあいつながることが、プラクティスの途切れを防ぎ、継続を支えます。

具体的な事例で示すエンパレット(と動画)

「英語の習得とワーキングメモリ」について詳しく解説したエンパレット

ことばを身につける ①「ワーキングメモリは、心の玄関」

ことばを身につける ②「処理することを学ぶ、処理したものだけが身につく」

ことばを身につける ③「身体トレーニングとおなじように、適度の強度が必須」

ことばを身につける ④ 「心の(ことばの)ものさし」をつくる

ことばを身につける ⑤ 「ほんの3分でも変化が生まれる」

本エンパレット動画について

英プラトレイル1 テーマ10 Do it nowから。

If you don’t have time to do it right, when will you have time to do it over?

このことばについての「プラクティスストーリー」があります。

いますれば、やり直せる (何度でも)

このセリフの背景を知ることで、ぐっと身近に感じられるようになります。

英語版エンパレットと動画

Empatheme Cultivates Your Working Memory

Why can’t I hear it?

Share Your Practice on Empatheme Platform

 


本文中の詳細の脚注説明

(*注1) デュアルタスク(同時並行に処理する作業)とは?

ワーキングメモリは、一時的に情報を保持するだけでなく、同時並行で情報を処理する「統合する過程。特に言語の習得では、音のまとまりで処理つつ、相手にあわせてことばを紡ぐ想像過程。リアルタイムの状況で瞬時に行われるには、持てる認知機能がフルに稼働する必要がある。プラクティスの中で、「手本に近づけようと、イメージを思い浮かべる、そのつもりになって演じる」という心の働きを伴っておこなわれるように、ひと息の間合いといった無意識的に身体で身につけていくこと。エンパシームは、そのようなプラクティスにおいて「発話と包む、心のふるまいの現れる場の周辺情報」を同時に捉えている。

(*注2) 2秒単位の発話、ひと息のセリフを視覚的なカタチで捉える(挿絵の、セリフ色粒表現)

シード(Seed)は、音節ごとに色粒図形されたつらなりとして表現された、ひと息のセリフ。これをプラクティスの単位とする。くりかえすセリフを視覚的なカタチをもってふりかえり、手本との比較、じぶん自身の変化(上達)をふりかえることで、気づくことが大切。ただ声に出すのではなく、いったん覚えて演じるじぶん自身のふるまい、それをふりかえり、また他者と共有できるしくみによって、ワーキングメモリを鍛える目的にもかなう。

(*注3) オーバーフロー(容量からあふれてしまう)・チャンク(小分けにした、まとまり化)について

ワーキングメモリの容量は限られているだけでなく、日常ではあらゆる阻害要因がある。原理的に、耳に届いたは、瞬間に消えていくばかりか、いったん聞きのがしたら取り返せない。このため、入力情報を逐次にチャンクにして、圧縮した階層化・抽象化し、長期記憶化をする一方、そこから引き出して瞬時に処理している。物理的な要因だけでなく、心理的な要因も大きい。くりかえしのプラクティスによって慣れることは、処理速度を上げるだけだけでなく、予測、想像、知識を動員して対処する力を育てる。ネイティブの発話が聞き取れない時、「速いから」と感じるが、実際には「(短い)音のまとまり」を捉えられていないこと、そのため、次々に入ってくる音のまとまりに対処できないから。

なお、コンピュータのRAM(メモリ)も容量があり、同時並行で多くのタスク(アプリ)を処理しているが、メモリの制約をオーバーすると、かたまってしまったりするのと似ている。別の比喩でいえば、キッチンの調理スペースが小さいと、料理をつくるの時間がかかる。一度の処理できなくなる状態がオーバーフロー。

(*注4) エンパシームは「よりそいあえるコミュニケーションプラットフォーム」

以下のエンパレットにて。エンパシームは、音声を録音するだけでも、後から2秒の区切りをつけるだけでもない。学習者のふるまい全体(その中の無意識的、意識的なふるまいの流れ、発話包む情報)を捉えている。詳しくは以下のエンパレットにて。

 

(*注5)(絵図内)メンタルレキシコン、語彙フレーズについて

語彙フレーズ (Lexical Phrase)とは、出現頻度の高いセリフ、まとまりフレーズ、慣用的表現。ひとつの単語ではなく、つながった語句で、音・リズムをチャンク化して、ワーキングメモリの処理を速める言語処理単位として機能する。また長期記憶でも相互のつながりをもって言語の習得全体に関わっている。

メンタルレキシコンは、長期記憶にあることばのネットワーク。音、意味、文字、イメージ、チャンク、スキーマ、体験記憶などのつながりをもった、いわば「心の中のことば辞書」。意味、定義が固定された辞書とはちがい、その人の心の働きと密接にある。単語をバラバラに知っていても、使えない。音・リズムとイメージがプラクティス(くりかえし)によってつながり、使えるようになる。長期記憶も、作業現場であるワーキングメモリが出入り口であり、丸暗記のような覚え方ではなく、身体を使ったふるまい、心の働き(想像する、演ずる)が大きく影響する。

言語の習得についてのエンパレット


本文・概念図・脚注で参照している論文・著作

Alan Baddeley: 『Working Memory』『Word Length and the Structure of Short-term Memory』
Morten H. Christiansen, Nick Chater『The Now-or-Never Bottleneck: A Fundamental Constraint on Language』
Norman Segalowitz『Cognitive Bases of Second Language Fluency』
Nelson Cowan『Magical Number Four』
Torkel Klingberg『The Overflowing Brain』
Amber Bloomfield, et all『What makes listening difficult?』
Nattinger and DeCarrico『Lexical Phrases: An Essential Brain-Adaptaive Requisiton』
Paul Pimsleur『Memory Schedule』
Tracy Packiam Alloway『Improving Working Memory』

門田修平『英語のメンタルレキシコン」『シャドーイング・音読と英語習得の科学』
白井恭弘『外国語学習の科学』
村野井仁 「アウトプットと第二言語習得」
酒井邦嘉『言語の脳科学』
芋坂直行『脳とワーキングメモリ』
芋坂満理子『ワーキングメモリ: こころの制御基盤とその脳内機構』
湯澤美紀『多感覚を用いたシンセティックフォニックス』
菅井康祐『日本語母語話者は英語をどのように聞いているのか』

ほか多数