Just draw an Enso.(円をかくだけで)
エンパシームをお使いになっている、セラピストのユリコさん。
アメリカでカウンセリングのお仕事をなさっています。
ユリコ:エンパシームって理想的ですね、私にとっては。
立考:どんなところが?
ユ:はじめ、円を描きますよね、指で。(*注1)
立:少し待ちます。
ユ:それで、静かにゆっくりと。
立:声を出して、心がひらくかんじ?
ユ:そう。それで、何も求めない。
立:何も求めないー
ユ:それって核心だと思うんです。
立:なるほど。
ユ:じぶん中心というか、脳の思考回路。
立:でも、それ、じぶんではわからないですよね。
Open your heart.(心をひらいて)
ユ:カウンセリングは、病気の人にするもの、と思われていますよね。
立:ええ、社会の固定観念がありますよね。
ユ:カウンセラーに話して、治るのかい?って。
立:病気は人と話し合うものじゃない、と。
ユ:気持ちは抑えるものだ、と子どもの時から言われてますから。
立:アメリカでお仕事されていると、日本とはだいぶちがいますよね?
ユ:カウンセリングを受ける、というのはふつうのことですね。
立:じぶんではできないですからね、聞いてもらう、というのは。
ユ:だれにだって心が乱れたり、閉じてしまったりすることはあります。
立:その人に寄りそうのですね?
ユ:そうすることで、その人の心がひらくように。
立:何か、治る方策をくれるんじゃないかって期待がありませんか?
ユ:もちろん、あります。でも、アドバイスをするのではないのです。(*注2)
立:聞くだけで、何もしない?
ユ:心がひらかれるように、待ちます。
Let it go.(手放して)
立:エンパシームでも、はじめ、何をするんですか、やったらどうなるんですか?って聞かれます。
ユ:それですよね。目的ばかりで生きていないんですから。
立:何でも答えを求めようとする、っていうんでしょうか。
ユ:じぶんを苦しめているのは、求めすぎていることに気づかないから。
立:それに、じぶんで知っていることで決めてしまう、というのもありますね。
ユ:ゆだねることで、心がひらくのだと思います。
立:じぶんで決めないでいいのですね。
ユ:エンパシームも、じぶんとの対話というか、声に出すこと、そうやって心をひらくことだと思うんです。
立:手放すこと。
ユ:そうやって、なんとなく意味があるのかな、ってことをやってみることが大事。
立:そうすると、気づくことがあって、すこしずつ変化があらわれてくる。
ユ:そう思います。
Connect with yourself.(じぶんとつながる)
立:何ていいますか、世の中も、頭の中も暗黙の決まりごとに縛られていますね。
ユ:メールや電話とかSNSとか、用事というか、目的がないとコミュニケーションできない。
立:そうですね。
ユ:用事がないと連絡できないし、来たら返事をしないといけないし。
立:でも、コミュニケーションはもっともっと広いはずですね。
ユ:エンパシームってちがいますよね。
立:何かをしてくれるというよりも、することによりそう、というかんじ。
ユ:それがありがたいんですよ。
立:メディテーション(瞑想)も、もともと、じぶん自身に関わる、つながる、という意味です。(*注3)
Let it be.(ゆだねて)
ユ:あーしたら、こうなります、っていう決められた世界だと思っているから苦しくなる。
立:それをなんとかしようと戦っている、と。
ユ:カウンセリングに来られる人のお話をうかがっていると、いつもそれを感じます。
立:じぶんですね。
ユ:じぶん自身というか、もちろんその環境もありますけど、じぶんでじぶんを苦しめています。
立:なんでもじぶんでやっている、と思い込んでいますからね。それをゆるめないと。
ユ:じぶんでできることなんて大したことないな、ゆだねればいい。他力というか。
立:
ユ:そう、それです。じぶんがゆだねることが先にですね。
立:じっとよりそえれば、変わりますね。
ユ:変わるといいますけど、失われていたものが戻ってきてくれるんですよ。
You’re not alone.(みんなおなじ)
ユ:エンパシームで声を出すだけでいいんですよ。別に求めない、というところが原点だと思います。
立:そうですね。
ユ:大事なことはじぶんでは気づいていない。
立:だから、ことばを声に出すと、その気づいていないことに少しずつ輪郭ができるんでしょうね。
ユ:指で円をかくだけ。ひと声だすだけ。あとはゆだねて。
立:それをはじめに説明しようとすると、むずかしいですね。
ユ:気づくためにやるんですか?って言われますから。
立:そこのところに、寄りそえたら。それでいいの?それでいいです、って。
ユ:マインドフルネスとあわせて紹介できるといいな、と思っています。(*注4)
Let it go – あゐてにふすいま (相手にゆだねて)
出典・参照:以下のエンパレット、『修養トレイルガイド』
(*注1)ゆっくりと、円をえがく。
(*注2)実証にもとづく、心理療法のひとつ Acceptance and Commitment Therapy
(*注3)瞑想について相互存在のじぶんに気づく
(*注4)マインドフルとは、じぶんの友になること