Empathemian『Grow From Within』

Grow from within. (内側から育つ)

人は、外から育てられるのではなく、内側から育つ。

そう言うと、では、教えることや、支えることには意味がないのか、と思われるかもしれません。

話はむしろ逆です。

人の内側で何が起きているかを知ると、外からの関わり方が変わります。

「内側から育つ」7つのストーリーでは、これまであたりまえだと思っていた見方が、何度もひっくり返ります。

⚫︎ 型は渡せても、調整は渡せない

逆上がりも、自転車も、やり方を教えることはできます。

手本を見せることもできます。

けれども、身体の傾きや力の入れ方を感じ、思ったようにならないところをじぶんで調整することまでは、外から渡せません。

できるようになるために必要なのは、教わったことをそのまま実行することではありません。

じぶんでやってみる。
思ったようにならない。
その違いに気づく。
すこし変えて、またやってみる。

プラクティスとは、この自己調整のくりかえしです。

You can teach the form. You can’t make the adjustment for them. (型は教えられる。でも、代わって調整はできない)

⚫︎ 見方を逆にすると、見えてくるものがある

「うまくいかないことは減らしたい」と思いがちです。でも、思ったようにならなかったからこそ、違いに気づける。うまくいかない差分そのものが、自己調整の材料になります。

また、できる人ほど、よく教えられるとも思いがちです。けれども、できるようになると、できなかった時のじぶんには戻れません。

本人に代わって調整するのではなく、本人が気づき、調整していくプラクティスによりそう。ここで「教える人から、よりそう人へ」という姿が見えてきます。

でも、ここで次の問いが生まれます。

よりそうとは、いったい何によりそうのか。

その問いをたどると、視線はさらに本人の内側へ向かいます。ことばは人の内側でどう育つのか。同じことをしていても、なぜ育ち方は違うのか。人をじぶんから動かすものは何か。

最後にたどり着いたのは、「たのしい・うれしい・おもしろい」という、ごく素朴な力でした。

You can hand over the form. Not the growth. (渡せるのは型。育つのは内側)

内側が育つ|Grow From Within ① 外から人は育たない

人は、外から教えられたことだけで育つわけではありません。逆上がりも自転車も、じぶんでやってみて、思ったようにならず、違いに気づき、調整することで身につきます。答えも、本人の中に問いが生まれてから届く。プラクティスとは、教わったことをじぶんの中で働かせ、自己調整をくり返す時間です。人が育つのは、ここからです。

内側が育つ|Grow From Within ② 教えたと身についたは同じではない

魚が一匹も釣れなくても「釣りをした」と言えます。同じように、教えれば「教えた」と言えます。でも、それは相手が身につけたことを意味しません。釣り方やコツは教えられても、実際にやるのは本人です。「教える」と「身につける」の間には、本人がじぶんでするプラクティスがあります。教えるしくみはあってもプラクティスが欠落しています。

内側が育つ|Grow From Within ③ やって、うまくいかないから、はじめてわかる

自転車は転ばないように教わったから乗れるようになるのではありません。ふらつき、転び、その結果に気づき、ほんの少し調節する。そのくりかえしが「乗れる」に変わります。プラクティスとはこのきめ細かな自己調節です。下手なじぶんをそのまま出すからこそ、差が現れ、気づきが芽吹く。前の経験が次の一回に生かされ、身についていくのです。

内側が育つ|Grow From Within ④ できる人には、見えないものがある

できるようになると、身体や認知の働きが変わり、できなかった時のじぶんには戻れません。だから、相手に何が見え、何が聞こえているか、その内側を直接体験することはできません。お手本ややり方を示すことはできても、代わって調節はできない。じぶんでやってみて、気づき、調節する。そのプラクティスによりそうことが外からできることです。

内側が育つ|Grow From Within ⑤ ことばのタネをまき、育てる

人から届いたことばを、じぶんの声で響かせる。それが、ことばのタネをまくことです。声にし、聞き、思い出し、経験と重ねるたびに、ことばは内側で生まれ直し、心の働きになります。じぶんを励ましたことばを、今度は人に届ける。ことばは声となって人から人へ渡り、それぞれの内側で育つ。そのプラクティスのエッセンスは、あなたの声です。

内側が育つ|Grow From Within ⑥ 同じことをしていても、育ち方はちがう

同じことをしていても、育ち方はちがいます。教わったことが同じでも、いつのまにか、じぶんのやり方でプラクティスしているからです。その過程を映すと、十人十色、さらに一人十色の姿が見えてきます。くりかえす中で生まれる小さな予感や自問に気づき、そこに人がよりそう。その一回一回が、じぶんの内側を育てていきます。

内側が育つ|Grow From Within ⑦ たのしい、うれしい、おもしろい

知識や体験があっても、それだけでは人には伝わりません。相手のコンテクストに届くには、じぶんでストーリーをつくることがいる。未来を想像し、問いをことばにし、見方を変える。そのプラクティスが、たのしい、うれしい、おもしろいという内側の力を引き出し、じぶんを次へ動かしていきます。外から答えを得るだけでは、人は育たないのです。

内側が育つ|Grow From Within

⚫︎ 内側が育つ|Grow From Within ① 外から人は育たない
⚫︎ 内側が育つ|Grow From Within ② 教えたと身についたは同じではない
⚫︎ 内側が育つ|Grow From Within ③ やって、うまくいかないから、はじめてわかる
⚫︎ 内側が育つ|Grow From Within ④ できる人には、見えないものがある
⚫︎ 内側が育つ|Grow From Within ⑤ ことばのタネをまき、育てる
⚫︎ 内側が育つ|Grow From Within ⑥ 同じことをしていても、育ち方はちがう
⚫︎ 内側が育つ|Grow From Within ⑦ たのしい、うれしい、おもしろい

作(文・挿絵・声に出すことば・声):坂口立考
出典・参照:以下のエンパレットノートなど