
No can practice for you.(だれも、じぶんの代わりに練習できない)
「すみません、能力、欲しいんですけど。」
「能力? 何の能力ですか?」
「何でもできるようになる能力とか?」
「スキルとか、自信とか、ですね?」
「えー、まぁ、そんな感じの。」
「はい、わかりました。」
変な光景です。
そんなもの、売っているはずないでしょ?
能力は、棚に並べて売れるものではありません。そもそも、それが何の能力であれ、自分の外から買ってきて、自分のものにすることはできません。
能力は、その人の内側に育つものだからです。もちろん、そのための道具や教材、レッスンやサービスは買えます。手本を見せてもらうことも、方法を教わることも、助けてもらうこともできます。
でも、そこで買えるのは、能力そのものではありません。
外から得られるのは、きっかけや手段や助けです。それを使って、やってみる。くり返す。失敗する。気づく。またやってみる。そのプロセスを引き受けるのはじぶんです。
外から手に入れられるものと、じぶんの内側にしか育たないもの。このふたつは、似ているようで、まったく違います。

You can buy lessons, not ability. (レッスンは変えても、能力は買えない)
ピアノも同じです。
ピアノの先生にお金を払って、レッスンを受けることはできます。でも、先生が弾くのを見ているだけで、ピアノが弾けるようにはなりません。
そんなことは、だれでもわかっています。ところが、私たちは日常では、これにかなり近いことをしています。
⚪︎ どうしたら自信がつきますか?
⚪︎ どうしたら上達できますか?
⚪︎ どうしたら続けられますか?
⚪︎ どうしたら自分に向いている仕事がわかりますか?
つい、答えを外に聞きます。そしてもうひとつ、答えを先に聞きます。
もちろん、人にたずねることが悪いわけではありません。本を読むことも、先生に教わることも、検索することも、AIに尋ねることも役に立ちます。
問題は、じぶんで考える、やってみる、確かめる、その前に答えをもらうことが当たり前になっていることです。
私たちは小さいころから、正解のある問いに答えることを、何度もくり返してきました。わからなければ、教えてもらう。調べれば、答えが見つかる。
じぶんで考える、やってみる前に、外に聞く方が早い。その習慣はとても便利です。
でも、自信、習得、上達、継続、勇気、生き方など、じぶんにとって大切こととなると、話は違います。
そこには、先にもらっておける正解がありません。じぶんで考え、やってみて、うまくいかなければ変えて、またやってみる。そのプロセスそのものが、答えをつくります。
外から得るものと、内側につくるもの。
そして、先にもらえる答えと、やってみた後に見えてくる答え。
この区別が、いつのまにか見えにくくなっています。
ピアノならわかるのに、じぶんの答えになるとわからなくなる。
外から得るものと、内側につくるものを取り違えていることに、気づかなくなっているからです。
能力を高めようとする時に、最も邪魔になるものがあります。
「答えは外にある」
「先に聞いたほうが得」
そんな暗黙の前提です。
これをいったん取り外しましょう。
Look within. (じぶんの内側を見る)
Try first. Ask yourself first.(まず、じぶんでやって、じぶんに聞いてみる)
答えは、先にもらうものばかりではありません。
やってみることで、じぶんの内側にできてくる答えがあります。
作(文・挿絵・声に出すことば・声):坂口立考
出典・参照:以下のエンパレットノートなど
暗黙の前提を入れ替える原理|Unlearning シリーズ(7回)
⚫︎話は逆です(結果を原因と思い込むクセ)|Unlearning ①
⚫︎答えは内側にある(答えを外に探すクセ)|Unlearning ②
⚫︎〇〇なんてものはない(概念を実体だと思い込むクセ)|Unlearning ③
⚫︎ 引き算せよ(足りないから足すと思い込むクセ)|Unlearning ④
⚫︎ おかげさまです(自分だけが原因だと思い込むクセ)|Unlearning ⑤
⚫︎ トライするから変わる(やる前に結論を決めつけるクセ)|Unlearning ⑥
⚫︎ だったかもしれない(ひとつの見方に決めつけるクセ)|Unlearning ⑦
