Imagination takes you anywhere.(想像でどこへでも行ける)
のびた:ハローウィンだね。
ドラえもん:うん。昔、子どもの頃、ハローウィンなんてなかったけど。
の:ハローウィンってアメリカでしょ?こどもの祭り?
ド:もともとは、古代ケルトのお祭りだよ。
の:ケルトって?
ド:古代のケルト人、ケルトの文化。
の:ケルト人て、どこにいたの?
ド:ヨーロッパ中に。
の:今は?
ド:アイルランドやスコットランド。
の:ケルト語をしゃべっている人もいるの?
ド:いるよ。ゲール語。
の:ヨーロッパ中にいたって言ったよね?
ド:地名に残っている。ポルトガルとか、スペインのガリシアとか。
の:ふーん。ガルっていうのがケルトってこと?
ド:そう。フランスも昔は、ガリア。ケルトの地っていう意味。
の:アメリカは?
ド:特にアイルランドの移民が多かったから。文化が継承された。
の:それでハローウィンもあるんだね。
ド:死者の霊が帰ってくる日。
の:あぁ、お盆みたいに?
ド:そう。古代は、世界中、おなじような文化があったんだ。
の:へぇーそうなんだ。
ド:メキシコの死者の日のお祭りも有名。
の:あ、ガイコツの祭りでしょ。映画で見たよ。(注1)
Dreams remember you.(夢がじぶんを思い出す)
の:死んだ人が本当に帰ってくるの?
ド:思い出すことで、ね。
の:時々、夢に見るよ。死んじゃっている人もいろいろでてくる。
ド:夢は、いつもハローウィン。いつだって、お盆だね。
の:でもさ、夢って変だよね。
ド:どうして?
の:だって、死んだ人が出てきて、いっしょに何かしたり。
ド:思い出すことにわけへだてはないんだよ。
の:わけへだてって?
ド:死んでるとか生きているとか、区別はない。想像の世界は。
の:でも、もういないはずの人が出てくるのに、なんで不思議に思わないんだろう。
ド:もういないはずだから出てくるんだよ。そうやって思い出されるんだ。
の:でも、なんか腑に落ちないなぁ。
ド:「いないはずだから出てはいけない」とか、「それは間違っている」、なんていう「しばり」はない。
の:しばり?
ド:そう。考えにしばられていること。思い込み。そんなきまりはないってことさ。
の:そうかなぁ?常識じゃないの?
ド:それ、常識。それにしばられている。でも、夢ではそのしばりがとける。
の:しばりがとけるの?
ド:考えてごらんよ。夢が変というけど、死んだ人が出てくるだけじゃないでしょ?
の:知らない場所だったり、空を飛びはねたり、すごいことができる。。
ド:そうでしょ。ありえない話ばっかり。
の:夢は空想だから?
ド:ていうか、空想は夢だけじゃないよ。
の:そうか。ふだんも空想してるね。あれが食べたいとか、どこそこに行きたいとか。
Your words seed your dreams.(ことばが夢を育てる)
ド:想像して、なりきっている時はじぶんでは気づかない。
の:夢の中ではなりきっている、ってことなの?
ド:そう。気づかないっていうか、それが本物。場面ごとにね。
の:場面ごとにって?
ド:夢は短い場面が次々にでてきて、後から思い出すと、つながっているように思えるもの。
の:たしかに、どんどん話が変わるよね。
ド:夢は、出て来る人のセリフでできているんだよ。
の:セリフって、話すことばのこと?
ド:そう、じぶんとみんなのセリフでできている。
の:そう言われてみればそうかも。
ド:何もせずにぼんやりしているって夢あるかな?
の:そうだなぁ、なさそうだね。
ド:ことばは、いつも生きている。
の:あーそうか、セリフだから死んだ人も生きているんだね。
ド:生きているってのは、人の心の中に出てくることなんだよ。
の:死んでも生きているんだね。想像の中では。
ド:生きているっていうのは、その時々で、いつも、生きていること。
の:前に、「心の中に生きている」って話があったね。
ド:夢もひとつの空間。ぼくたちは、いろんな空間、複数の次元で、同時に生きているんだよ。
出典・参照:英語トレイル1 Come on!、ラフカディオ・ハーン『心』、以下のエンパレットなど
坂口和子 『骸骨のにぎわいーメキシコの死者の日』
(*注1)Coco (邦題「リメンバー・ミー」)